James Taylor「Dad Loves His Work」(1981)
私的な感情も織り交ぜたJT、80年代幕開けの作品
私の大好きなジェイムズ・テイラー。特に70年代の作品「Gorilla」「In The Pocket」「JT」あたりのAOR系JTサウンドが大好きです。
80年代はJTにとっては低迷期にあたるのかもしれませんが、その幕開けとなった本作、「Dad Loves His Work」。これもタイトなリズム隊に支えられて、素晴らしいJTサウンドを聴かせてくれます。
ジャケットは素晴らしいJTの満面の笑み。しかし本作発表の翌年にJTはカーリー・サイモンと離婚してしまいます。つまり本作収録時は結婚生活の末期にあたり、恐らく私生活では相当苦労していただろうと推察されます。
カーリーとしては「もっと家庭を顧みてほしい」と思っていたと云われています。JTのその返答が本作タイトルである「Dad Loves His Work」というのは皮肉。もっと違う言い方もあったのでは、と思ってしまう位ストレートですね。
一方で①「Hard Times」では
♪ and I want you back again
I may be wrong for you baby,maybe I'm wrong
But I love you just the same ♪
とカーリーへ未練たっぷりな心情を吐露しております。
こんなヘビーな歌詞なのに、サウンドはいたって明るい、爽やかなAOR系。ほのぼのしたリラックスムード満天の楽曲です。コーラスのデイヴィッド・ラズレーが盛り上げてくれます。
それにしてもリック・マロッタのタイトなドラムは曲を引き締めてくれますね~。こうしたスローなシャッフル系楽曲は、なおさらタメが要求されますので、ドラムって重要になってくるんですよ。
シングルカットされた②「Her Town Too」。これは盟友J.D. Southerとのデュエットです。後期イーグルスのようなメロウな香り漂うAORサウンド。この曲はリアルタイムで聴いてました。
JTのなかではちょっと異色な楽曲かもしれませんが、私はこの曲大好きです。
しかしこの曲も歌詞はどうも私的な雰囲気が漂います。
♪ Well people got used to seeing them both together
But now he's gone and life goes on ♪
これぞJT節というのが④「I Will Follow」や⑦「Only for Me」。こうした曲が私のツボなんですよね。JTの書くメロディは本当に優しいですね~。リックのドラムがタイトなので、よりAORに近い楽曲に聴こえますが、メロディがいいので、アコギ1本でも耐えうる作品です。
⑥「Stand and Fight」では、ほんのちょっとloudなJT流ロック。ここでもコーラスのデイヴィッドが大活躍。JTもノリノリな様子が伝わってきます。
圧巻なのがエンディングトラックの⑪「That Lonesome Road」。重厚なゴスペルタッチのアカペラが印象的。コーラスにはあのピーターアッシャーも加わってます。
この曲、後のJTのコンサートのエンディングで歌われることが多いようです。こんな素晴らしい曲をアカペラで歌われたら、間違いなく鳥肌が立ってしまいます(笑)。
私的な感情が多分に入り雑じっていると思われるのですが、本当に素晴らしいアルバムです。
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