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Carole King「Tapestry」(1971)

コロナ禍、皆さん、身も心も疲労感・徒労感に襲われた2,3年だったのではないでしょうか?
このキャロル・キングのアルバムはベトナム戦争に追われた60年代後半以降、アメリカ人の心を癒すかのようなタイミングで発表されました。時代は繰り返す・・・。今、まさに必要とされているアルバムかもしれません。

「つづれおり」=内省的で寂寥感漂うアルバムというイメージがあるかもしれません。そういったイメージでこのアルバムを聴くと、①「I Feel the Earth Move」のR&B的なノリに驚かれるかもしれません。この曲、大好きなんですよね。チャールズ・ラーキーの力強いベースとダニー・クーチのブルージーなギターがなんともいえません。
アップした映像はなんとガンズのスラッシュとの共演映像。「ロコモーション」が続いて演奏されてます。ロックなキャロルもいいですね~。

キラーチューンの②「So Far Away」。やっぱりいい曲ですね。アコギはジェームス・テイラー。この当時のJTとキャロルの音楽は飾りっ気のない素朴なところが味わい深く、心に響いてきます。

シングルヒットした③「It's Too Late」。このアルバムを知らなくても、この曲は知っている方は多いと思います。この曲、じっくり聴いてみると、ラテンフレーヴァーも垣間見られ、結構凝った作りであることに驚かされます。60年代、職業作家だったキャロルにとって、ポップスを作ることは呼吸をするのと同じくらい、ごく自然で簡単なものだったのかもしれません。ただこの曲は、大量消費型のポップスというよりも、もっと普遍的なものを感じさせます。チャールズやダニーといったバックの面々の貢献も大でしょう。

JTもカバーした永遠の心の歌、⑦「You've Got a Friend」。これも名曲ですよね。この曲の詞が持つ普遍性が、どれだけの人を救ったことでしょう。所謂バブル期にはこうした曲は、全く青白い歌だとバカにされたと思われますが、昨今の状況下においては、こうした曲が多くの人に支持されるのでしょう。アップした映像はキャロルが歌姫3人を従えた名演。

あのクインシー・ジョーンズもカバーした⑩「Smackwater Jack」。
軽快なR&B調ロック。アップした映像を見るまでは、この曲の楽しさがあまり分からずにいたのですが、この映像のキャロル、実に楽しそうに歌ってます。そしてこのキャロルの横で一緒にピアノを弾いているのがRalph Schuckett。ジョー・ママのキーボーリストですね。彼の熱演が光ります。

このアルバム、全曲スタンダードナンバー化した楽曲で、まさに完璧な名盤なのですが、その最後を飾るのがゴスペルタッチの⑫「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」。
もともとはソウル界の女王であるアレサ・フランクリンへ書いた曲で、アレサは1967年にこの曲を発表。ヴォーカルには自信を持っていなかったキャロルが、あえてLady Soulが歌った楽曲をセルフカバーしたことに大きな意義があると思います。

他にも「Home Again」「Beautiful」「Will You Love Me Tomorrow?」・・・。名曲が詰まってます。「安らぎ」を求めてこのアルバム聴きながら過ごすのも一考かと思います。

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