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The Beach Boys「20/20」(1969)

寒いですね…。こんな時だからこそのビーチボーイズ(笑)。多分絶対誰もこの時期にはおススメしないと思いますし、ましてやBBの中でも地味な本作…。でもここには強力なナンバー、私が大好きなナンバーが2曲収録されてます。

1969年発表のキャピタル・レコードからの最後の1枚。「ペット・サウンズ」発表後、ブライアンが廃人となってしまい、他メンバーが奮闘していく時期の1枚(ジャケにブライアンの姿はありません)。

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正直、このアルバムは賛否両論あるでしょうね。シングル楽曲が好みなら①~③のみ、ペットサウンズが好みなら⑥⑪⑫辺りでしょうか?
本作は、ブライアン・ウィルソンが当時コカインに溺れて廃人同然の状態にあったことから、他のメンバーが自らの力を結集して制作されたアルバムといえます。
このバラバラ加減が、本作の評価を落としてしまっている主要因と思われます。

そして本作で一番力を発揮したのがカール・ウィルソンでしょう。彼のヴォーカルは本当に素晴らしい。そのカールが最高にいい仕事をしているのが②「I Can Hear Music」。これは1966年のロネッツのヒット曲ですが、このオリジナルを数段凌ぎ、ビーチボーイズがオリジナルではないかと思わせるほどの仕上がりになってます。特にイントロの分厚いコーラスと間奏のアカペラ。やはりビーチボーイズはスゴイ。
個人的には、このアルバムはこの楽曲を聴くためにあると思ってます。
それにしてもアップした映像のマイク・ラブ、怖いですね。グループ中、一番のお調子者ですので、変人ではないと思うのですが・・・(苦笑)。

近年の映像でCCM系アーチストのKathy Troccoliとの素晴らしいコラボ映像もありましたので、こちらもアップしておきます。なんと元気な最近のブライアン、ブルース、マイク、アル、現役BB全員が居ります!!! アカペラ部分、皆、楽しそうですね~。

メンバーがそれぞれの持ち味を発揮しているのが本作の特徴ですが、私が一番気になっているメンバー、ブルース・ジョンストンは実は本作で初めてオリジナル曲を発表してます。ブルースはもともとはビーチボーイズのメンバーではなく、ブライアンの後釜に入った人物です(恐らく正確にはグレン・キャンベルが後釜に入り、そのグレンの後という形だと思いますが)。
ジャケの写真も心なしか、遠慮気味に写ってますね。
そのブルース、初めてのオリジナル曲が⑥「Nearest Faraway Place」という美しいインストナンバー。初めて本作を聴いたとき、実はこのインストナンバーを飛ばして聴いていたのですが、今聴いてみると、実に繊細で美しい曲ですね。ブルースがペットサウンズを意識して作ったらしいですが。今ではこのアルバムでもう1曲の大好きなナンバーとなってます。

他の楽曲では①「Do It Again」ではマイクがブライアンを引っ張り出して、またまたお気楽にカリフォルニア・ガールズを歌っているし、④「Be With Me」ではデニスが壮大な楽曲を作り、頑張ってます。またアルは後にCCRのカバーでも有名なフォークソング⑦「Cotton Fields (The Cotton Song)」をカバーして、アル独特の個性を発揮してます。

⑪「Our Prayer」、⑫「Cabin Essence」は幻のアルバム「Smile」に収録される予定だったナンバー。この「20/20」に収録されるには、あまりにも違和感のあるナンバーで、当初はこの曲の持つ素晴らしさを全く理解できませんでした。2004年にブライアンが「SMiLE」を発表したのは記憶に新しいところですが、そのなかに収録されているのを聴いて、初めてそのイノセントな感覚に驚いた次第です。1969年当時、このエンディングトラックの2曲はどう受け止められていたのでしょうね。

全体的にこの「20/20」、キャピタル時代の最後のアルバムということもあり、かなり寄せ集めてきな印象は否めませんが、実は各々の楽曲のクオリティは高いですね。
最後の2曲に感動しつつも、やはり私は①~③、特に②「I Can Hear Music」に「音楽の魔法」を感じてしまいます。

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