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Bob Seger「Stranger in Town」(1978)

正確にはBob Seger & the Silver Bullet Bandと表記しないといけませんね。ボブ・シーガーは米国では大スターなのに、日本では全く知名度の低い代表格かもしれません。
私はほぼリアルタイムで次作の全米No.1ヒットのアルバム「Against the Wind」を聴いていたのですが、当時の私の感性には全く引っかかって来ませんでした(苦笑)。地味で泥臭いロックは、ポップス大好き少年には早すぎたようです。
本作は、そのビッグヒットアルバムの前夜祭的な、これまた完成度の高いアルバムです。

ボブ・シーガーといえば迸るロックでしょう。
これぞボブ節ともいえる①「Hollywood Nights」で完全にノックアウトです。なんといってもこのスタジオ録音のドラムの音がかっこいい。スネアがスコーンと鳴っていて軽快ですね。こんな曲をライヴでやられたら堪らないでしょうね~。
やっぱりYouTubeにはそのライヴ映像がありました。ちょっと録音状態が貧弱ですが、たっぷりとボブの股開きシャウトが堪能できます。

ちょっと初期~中期のイーグルスっぽい②「Still the Same」もボブらしい一面です。
こうしたアコースティックタッチのノリはアメリカ人好みなのかもしれません。
そういえばここで言及するまでもなく、イーグルスの中心メンバーであるグレン・フライは、イーグルス結成前、デトロイト時代にボブとバンドを組んでおりました。イーグルスの「Heartache Tonight」も共作していますね。そして本作④「Till It Shines」でもグレンはギターで参加しております。
イーグルスが日本でも大ヒットして、ボブ・シーガーがイマイチなのは納得できません。ただイーグルスもホテカリがなければ、ここまで日本で認知されていたかどうかは分かりませんが。

タイトル通りのロックンロール③「Old Time Rock & Roll」は1983年のトム・クルーズ主演の「卒業白書」で挿入歌として使われ、リバイバルヒットしました。私はなぜかこの曲だけよく知っていたのですが、リバイバルヒットしていたんですね。

⑥「Ain't Got No Money」はホテカリ以降のイーグルスを思わず連想してしまう粘着質系ロックです(笑)。
そして、やはりこの特徴的なギターはドン・フェルダーなのです。
ちなみにボブのアルバムはMuscle Shoals Rhythm Sectionの録音がよく混じってます。あのメンフィスサウンドのマッスル・ショールズですね。そしてこの⑥もマッスル録音。エンディングではボブのヴォーカルがサザンソウルばりに唸ってます。

そして続く⑦「We've Got Tonight」もマッスル録音のバラード。エイティーズ・ファンなら御馴染みの曲。タイトルでピンと来る方は相当なもの・・・。そうです、ケニー・ロジャースとシーナ・イーストンのデュエットで1983年に大ヒットを記録した「愛・ひととき」です。
ボブのヴォーカルも素晴らしいのですが、せっかくなのでケニー&シーナのヴァージョンをアップしておきます。ケニー・ロジャースはカントリー界の大御所ですが、どことなくボブの唄法と似ています^^。そして若々しいシーナ。大御所相手に全く動じてません。

⑧「Brave Strangers」はついついビリー・ジョエルを連想してしまう楽曲。撥ねまくっているピアノがビリーを連想させる・・・。このピアノはDoug Riley。

こうして1曲1曲聴くと、非常に味わい深いアルバムです。そして次作「Against the Wind」でボブは完全に全米のスターとなっていきます。

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