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松田聖子「ユートピア」7th (1983)

初期松田聖子のアルバムが非常にクオリティが高いことは、常々申している通りで、3枚目の「Silhouette」で財津和夫さんを起用して以降、積極的にニューミュージックの方々の楽曲を採用しており、この1983年発表の7枚目のアルバムもいろいろな方々が楽曲を彼女に寄せております。

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このアルバムの白眉はやっぱりシングルとして発表された⑤「天国のキッス」でしょうか。あの鬼才、細野晴臣が書いた初のシングル曲で、作詞はもちろん松本隆。その松本隆氏は「この曲が松田聖子プロジェクトにおける最高傑作と自認」しているそうで、確かにあの当時の(容姿、声も含めた)松田聖子にぴったりなポップ・チューンですね。
バックのオケはYMOの細野さんらしいテクノサウンドで、このアルバムの中では浮き気味ですが、メロディが素晴らしく、全く気になりません。バックのオケだけ聴いていると、イモ欽トリオの「ハイスクールララバイ」を思い出してしまいます(笑)。実は「ハイスクールララバイ」も松本隆=細野晴臣による曲。「天国のキッス」と同年代かと思ったら「ハイスクールララバイ」は1981年でした^^。「天国のキッス」と同年代はYMOの「君に、胸キュン。」でしたね。

松田聖子のアルバムは、1曲目は比較的ノリのいい楽曲を持ってきてますが、ここでは杉真理のペンによる、彼らしいポップスナンバー①「ピーチ・シャーベット」がトップを飾ってます。
ただし、個人的には来生たかおが書いた②「マイアミ午前5時」の方がトップに相応しい楽曲ではないかなと思ってます。「マイアミ午前5時」はファンの間では隠れた名曲として評価が高いようです。

そして③「セイシェルの夕陽」・・・。これもいいんですよね。
作曲・アレンジは大村雅朗。ホーンがジェリー・ヘイっぽくって、アレンジがAORテイスト溢れる名曲です。もちろん当時、松田聖子を聴いているファンの多くが、ジェリー・ヘイなど知るわけもなく、この曲をJ-POPとして聴いていたと思われますが・・・。

このアルバムのもうひとつの特徴・・・、それは作曲者に甲斐よしひろ氏が名を連ねていることでしょう。しかも2曲も提供しております。ここでは本名の甲斐祥弘でクレジットしております(ロッカー甲斐よしひろと区別したかったからでしょうか??)。
そのうちの1曲、⑥「ハートをRock」。う~ん、笑ってしまうくらいフィル・コリンズの「You Can't Hurry Love(恋はあせらず)」(原曲はダイアナ・ロス&スプリームスですが)にソックリです(笑)。フィル・コリンズは1982年に発表していますからね~。
でも松田聖子の新境地、というかあまりこういう曲は歌ってなかったかもしれません。

このアルバムにはもう1曲のシングル⑨「秘密の花園」が収録されてます。ユーミンらしいメロディですが、ユーミンならこの曲、ものの5分で作ったかもしれませんね。個人的にはあまり捻りが感じられない凡庸なポップスに聞こえてしまいます。
それよりも松本隆財津和夫コンビの⑦「Bye-bye playboy」の方が、松本隆ワールドと財津メロディが堪能出来て、かつ初期松田聖子らしい初々しさも感じられ、好感が持てますね。

やっぱり素晴らしいアルバムですね~。当時は洋楽オンリー、陰でTV番組「ベストテン」を楽しんでおりましたが、松田聖子の初期のアルバムは、未だに聴き返しております。

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