見出し画像

Roger Nichols & the Small Circle of Friends「Full Circle」(2007)

Roger Nichols & the Small Circle of Friendsはロジャー・ニコルスマレイメリンダマクレオド兄妹のトリオのコーラスグループです。1968年発表の前作は今やソフトロックのバイブルと化してますが、その作品からおよそ40年振りの新作です。中ジャケにはご丁寧に今の彼等の写真が掲載されてます。えっ、誰??って感じですよ(笑)。またロジャーの3人のかわいい娘さんもレコーディングに参加したようです。
本作発売当時、私はソフトロックにハマっていて、この新作に狂喜乱舞したものです。

まずハード面で驚いたのは見開きの紙ジャケで、ライナーノーツも充実した丁寧な作りとなっていること。またこの新作に対して、リチャード・カーペンターやポール・ウィリアムス、ジョン・ベティス等がコメントを寄せております。皆さん、興味深いコメントを寄せておりますよ。これらは必見です。それからジャケがドリーミーでいいですよね。ソフトロックの良心を表してます・・・。

さてその中身ですが、これがまた素晴らしい。
①「Talk It Over In the Morning」のイントロ、さすがに演奏は現代の音ですが、歌いだしを聴いた瞬間に、「あ~、あのSCOFの世界だ」と思ってしまいました。やはりSCOFのコーラスはドリーミーな世界観を持ってますね。

そしてなんといっても秀逸なのが②「The Drifter」。そうです、ハーパーズ・ビザールでも有名な名曲ですね。彼等のアルバム「Secret Life of Harpers Bizarre」のレビューでも書いてますが、この曲こそポップスの素晴らしさ、音楽の魔法を感じさせます。聴いていてワクワクしてくる曲ですね。ロジャーのピアノがポップスしていていいです。

そして私の好きな⑤「I Kept On Loving You」。軽快なアコギが爽やかなポップスです。SCOFはこうした爽やかなポップスがお似合いなんですよね。

⑦「You're Foolin' Nobody」はロジャニコ&ポール・ウィリアムスの作品でありながら、一度も発表されてこなかった楽曲。
あのアソシエイションの「Windy」に似てなくもないです。でもなぜこんな素晴らしいポップスが一度も日の目を見なかったのか・・・。アップテンポの、これもまたSCOFらしいポップスですね。

本作中、私の一番のお気に入りは⑩「I'm Comin' to the Best Part of My Life」。
あのママス&パパスのキャス・エリオットが1973年に発表したソロアルバムに収録されていた楽曲で、この曲のバックはデイヴィッド・フォスター(p)、ジェイ・グレイドン(g)、マイク・ベアード(Ds)、ジャック・コンラッド(B)。この曲のみ当時のデモテープから演奏を引用したらしいのですが、このAORの超スーパーメンバーが演奏している割には、AOR指数は低いですね。このコーラスをかぶせたら完全にSCOFワールドですね(笑)。
この曲なんかファーストに収録されていても違和感ありません。間奏のホーンが奏でるソロはソフトロックの典型です。

本作、本当に素晴らしいポップス集です。心が純粋にワクワクする音楽って最近少ないと思いませんか? そういった意味では本作はワクワク感がどの曲にもありますね。ソフトロックって60年代の音楽というイメージがありますが、これは2007年に発表されたピュアなソフトロックです。有難う、ロジャー!!!

尚、本作、このライナーノーツの寄稿者である濱田高志氏自身が企画したもの。彼のライナーノーツもなかなか興味深いものがあります。私は不覚にも濱田氏のことは存じ上げていなかったのですが、著名な音楽ライター兼アンソロジストとのこと。しかも私と同い年とは!!! 実は同世代の日本人がこんな素晴らしいアルバムを企画したなんて、嬉しいですね~。濱田氏にも感謝!!!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?