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The Monkees「Head」(1968)

モンキーズは1966年から1970年にかけて、9枚のオリジナルアルバムを発表していますが、本作は6枚目のアルバム。1968年に公開されたモンキーズのオムニバス映画『ヘッド』のサウンドトラック盤であり、サウンドコラージュ的なアルバムです。そもそもモンキーズのアルバムなんて、あまり聴いている方もいらっしゃらないんじゃないかなと思うんですが、本作なんかはカルト的な、サイケ的な1枚。かなりマニア心を擽られる1枚です(笑)。

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映画『ヘッド』はストーリー性のないもので賛否両論ありますが、モンキーズ大ファンの私でも最後まで眠くならずに見れたためしがありません(笑)。元祖カルト映画とも言われているらしく、一部の間では評価は高いようです。

さて本作の中身ですが、半分は映画のサウンドコラージュ。モンキーズの楽曲は6曲収録されています。この6曲、モンキーズのオリジナルアルバムのなかで、一番バンドらしい音かもしれません
特にメンバーのマイク・ネスミス作④「Circle Sky」はライヴでも演奏された激しいロック。作られたバンド、演奏出来ないバンドと言われ続けたモンキーズですが、特にマイクは本格的なミュージシャンだったわけで、この作品はその力量が発揮された名作です。

ピーター・トーク作⑬「Long Title: Do I Have To Do This All Over Again」もモンキーズ流のハードロック。
音も従来のモンキーズ作品にはなかった熱いものを感じます。やたらと激しいギターが聞えてきますが、これはもちろんスティーヴン・スティルスの演奏。ピーターとスティーヴンは旧知の間柄で、スティーヴンがモンキーズのオーディションに落ちた時、ピーターを推薦したことは有名な話ですね。

またジェリー・ゴフィン&キャロル・キング作でシングルヒット曲②「Porpoise Song (Theme From Head)」もサイケデリックな音をモンキーズらしく消化した、素晴らしい曲となってます。アップしたPVもサイケ感覚いっぱい。気味が悪いくらい…。

ちなみにキャロル・キングの作品はもう1曲収録されてます。それが⑨「As We Go Along」。
ちょっとハスキーなミッキー・ドレンツのヴォーカルが、どこかもの悲しげな曲調にマッチしてますね。ダニー・クーチニール・ヤングライ・クーダーがギターで参加しているようです。

ディビー・ジョーンズの明るいキャラクターが生きた、ニルソン作⑪「Daddy's Song」。
後にニルソンもセルフカバーした、彼らしい陽気なボードビル調の楽曲。モンキーズは以前にも同じ曲調のニルソン作「Cuddly Toy」をカバーしてましたね。

しかし残念ながら、この後人気者だったピーター・トークが脱退。モンキーズの人気は急降下していくのでした。
本作を聴くと、モンキーズのその後を知っているだけに切なくなってきます。殆ど作品を発表してこなかったピーターが、なぜか本作では2曲も発表しており、2曲ともかなりの出来栄えなだけに残念ですね。

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