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松田聖子「Snow Garden」(1987)

昨日、BSで「松田聖子スペシャル 完全版」が再放送されてましたね。

前回も視聴しましたが、今回もしっかり視聴しました。松本隆さんやユーミンの話から浮き彫りになる松田聖子の素晴らしさ。それはリアルタイムには気付かなかったことでした。なので当時はそれほど熱心に聴いていなかったのに、今では80年代前半の松田聖子のアルバムは愛聴盤になっております。

クリスマスには少し早いですが、少しずつ寒くなってきましたので、今回は松本隆先生がプロデュースした松田聖子の冬の企画アルバムをご紹介します。ちなみにこのアルバム、来月、再発売されるらしい。

まずは収録曲をご紹介…。作詞はすべて松本隆(先生)です。

~Today's Avenue Side~
1.Please Don't Go 作曲:南佳孝
2. 妖精たちのTea Party 作曲:鈴木康博
3.Pearl-White Eve 作曲:大江千里
4.恋したら… 作曲:辻畑鉄也

~Yesterday's Street Side~
5.一千一秒物語 作曲:大滝詠一
6.瞳はダイヤモンド 作曲:呉田軽穂
7.ハートのイヤリング 作曲:Holland Rose
8.愛されたいの 作曲:財津和夫
9.Let's Boyhunt 作曲:林哲司
10.雪のファンタジー 作曲:大村雅朗

A面が新作、B面が旧作からの選曲。作曲者が重ならないような、ある意味バランスの取れた選曲です。呉田軽穂はもちろんユーミン。Holland Roseは佐野元春です。意外なのはオフコースの鈴木さん。鈴木さん、松田聖子に楽曲提供していたとは知りませんでした。あと恐らく誰もが??と思うのが辻畑哲也氏。1984年にピカソっていうバンドでデビューしていたミュージシャンで、1987年頃からソロでいろいろなアーチストに楽曲提供していたようです。松田聖子には前作「Strawberry Time」では2曲も提供しております。

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それでは主だった曲をご紹介しておきます。
約1分30秒の、ある街中の音…、それから長いイントロを経て、3分10秒後に漸く松田聖子のヴォーカルが入ってくる①「Please Don't Go」。クリスマスを祝うような街頭の音源、それに続いてタクシーに乗り込む音、主人公はどこへ行くのでしょうか。大聖堂の鐘の音。最後に出発の汽笛の音とともに走り寄る靴音。この汽車に乗ったのでしょうかね。まるで映画のワンシーンのような長い長いイントロ。アイドル歌手の楽曲とは思えない(これだけ長いと飽きられる可能性があるので)展開です。
そしてアルバムトップしては非常に落ち着いた、ちょっとジャージーな感じのミディアムテンポの楽曲

この当時のもっとも松田聖子らしい楽曲が②「妖精たちのTea Party」初期のキャンディヴォイス全開のポップチューン。前半サイドの新曲4曲の中では一番のお気に入りです。この曲、なんと元オフコースの鈴木康博さんが提供した楽曲。鈴木さんって、こんな明るいポップスが書けるんですね。

シングルカットされた③「Pearl-White Eve」。この曲は聞き覚えのある方も多いでしょう。私の大好きな大江千里さんの楽曲で、後に自身のセルフカバーアルバムでも歌っております。松田聖子、1987年11月に発表された24枚目のシングル。1987年というと千里さんも徐々にメジャーな存在になってきた頃で、1991年の「格好悪いふられ方」で大ブレイクしていきますね。
この曲、イントロはクリスマスムード溢れるアカペラで始まります。どこかで聞いたようなアカペラなんですが…思い出せません(苦笑)。岡本真夜のクリスマスアルバムにもアカペラ楽曲がありましたが、雰囲気はそれに近いものがあります。間奏でも同様のアカペラがありますが、素晴らしいですね。それにしてもこの曲も千里節全開です。千里さんの楽曲って、転調が独特なので、直ぐにわかりますし、この曲もそういった転調箇所がありますね。でも千里臭を消してしまうくらいに松田聖子の歌、声質が素晴らしいのです。楽曲に負けないんですね、松田聖子という歌手は。ホント稀有なシンガーだと思います。

④「恋したら…」は前述の通り、元ピカソの辻畑鉄也氏提供の楽曲。一途に相手を思う気持ちと非常にぴったりな、壮大なバラード。実は結構人気の高い楽曲です。ドラムにも思いっきりエコーを利かせたり、中間のシンセ、宇宙感を連想させるような音、なかなか凝った作りです。実際に歌うとかなり難しい楽曲を、やっぱり素敵に歌いこなしてしまう松田聖子って、スゴイですね。

5曲目以降は、過去のアルバムから、冬をテーマとした楽曲をピックアップしてます。よって楽曲、アレンジに統一感がないのは残念だし、どうせなら全曲新曲にしても良かったのに…と思ってしまいます(おそらく時間もなく、付け焼刃的にピックアップしたのではないかと…)。
但しどの楽曲も私は大好きです。
特に⑤「一千一秒物語」と⑨「Let's Boyhunt」。⑤「一千一秒物語」は、超名アルバム「風立ちぬ」からのセレクトで、大滝詠一先生節が全編に聴ける名作。一聴して、この作曲者はこの人??ってわかるのは大江千里と大滝詠一くらいでしょうか。それくらい個性が際立っているということでしょう。大滝先生はアレンジにもこだわりがあり、この曲もウォール・オブ・サウンドから影響を受けたアレンジが聴けます。

⑨「Let's Boyhunt」はアルバム「Canary」からのセレクト。イントロは当時流行っていたローラ・ブラニガンのグロリアをパクッてますが、井上鑑氏らしいAORテイスト溢れるアレンジが大好きなんです。当時は稲垣潤一&井上鑑コンビの楽曲が大好きで、よく聞いてました、この曲は稲垣潤一さんが歌ってもいいと思うくらい、いわゆるニューミュージックテイスト溢れる楽曲ですね。

この頃の松田聖子は、個人的には旬を過ぎてしまい、あまり聞いてませんでしたし、後追いでも聞いてません。但し本作自体は、初期(1984年頃まででしょうか)の香りを感じさせる仕上がりで、結構好きです。これからの季節にもピッタリですね。

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