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Deep Purple「Fireball」(1971)

ZEPと双璧を成すディープ・パープルの名盤

第二期ディープ・パープルはリッチー・ブラックモアが主導権を握ったことでクラシカルかつ中世音楽要素が微妙に絡み、かつブルース、ソウル色のないストレートなハードロックが堪能出来ます。実は私はトミー・ボーリン在籍時のパープルがかなり好きなのですが、さすがに最初にパープルをご紹介するアルバムには相応しくないと思ったので、こちらをアップしました。

本作はディープ・パープル第二期、所謂黄金期に制作されたパープル5枚目のアルバム。ワールド・ツアーの合間を縫って制作されたもので、超名盤「In Rock」と「Machine Head」に挟まれてしまったためか、過少評価されてしまっている気がします。
あまり内容が詰められていないという批評も目にしますが、私には魂の籠もった全7曲に思えます。

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久しぶりに①「Fireball」を聴いたのですが、やっぱりスゴイ曲ですね。鳥肌が立ってしまいました(笑)。とにかく全てはイントロ。突然ガレージが開くマシン音がし、イアン・ペイスの激しいドラムがファイヤーボール化します。最後までスリリングですね。
それにしてもこのイアン・ペイスのドラム、スゴイ。確かイアン・ペイスのバスドラはワンバスだと思いますので、ペダル一つで連打しているのでしょうか? 非常に不思議に思い、早速YouTubeで映像を捜してみると・・・。
なんとこの曲の前にバスドラを追加している映像を発見。やはりツーバスで叩いていたんですね。ツーバスとはいえ、シンプルなドラムセットに感動です。

ヘビーな②「No No No」も、この当時の典型的なハードロックでかっこいい。リッチーのギターは変幻自在で器用なんですね。
レココレ2004年4月号のパープル特集における立川氏の「ディープパープル音楽論」がとても参考になりますが、氏はリッチーのギターはブルーズフィーリングが希薄だが実は非常に器用なギタリストと賞しており、この二期サウンドを「ブルーズフィーリングの希薄なそのサウンドは、英国ロック史を逸脱したもの」として、「黒人音楽にはさほど興味がないという音楽ファンにとっては、第二期パープルほど魅力的なものはないだろう。」と指摘しております。
なるほど、確かに三期のデヴィッド・カヴァーディル、グレン・フューズがソウルフィーリングを追求していったことに、リッチーが嫌気が差して、レインボーというバンドを結成していったのですね。

日本とUS盤には「Demon's Eye」に代わり、先行シングルである③「Strange Kind of Woman」が収録されてます。「Black Night」的なコンパクトでキャッチーなハードロックです。

④「Anyone's Daughter」はパープルにしては極めて珍しいカントリースタイルの楽曲。イアン・ギランのヴォーカルがボブ・ディランのようです(笑)。リッチーのスライドギターもなかなかだし、本来クラシックが好きなジョン・ロードのホンキートンク・スタイルのピアノも味がありますね。

イアン・ペイスのドラム・ソロのテーマソングとなっていった⑤「The Mule」は、歌が始まっても、ずっとタム回しでリズムをキープしていく楽曲で、ドラムがうるさいくらいに目立ちます。70年代ハードロックというと、パープルともうひとつの巨頭グループであるレッド・ツェッペリンの存在が大きいですが、そのゼップのドラマー、ジョン・ボーナムとイアン・ペイスのドラムスタイルは全く違うものですが、両者とも非常に個性的でした。2人とも大好きなドラマーですね。

あまりライブではやらなかったと思われる⑦「No One Came」は、結構個人的に好きな1曲です。あまりソウルを感じられない第二期パープルですが、この曲のジョン・ロードのキーボードのどことなく黒い雰囲気が堪りません。スティーヴ・ウィンウッドのようです。エンディングで終わりかけて、また演奏がスタートするところや、その後のテープの逆回転でサイケ感が煽られるところ、いいですね~。

僅か7曲しか収録されてませんが、70年代を代表するアルバムだと思います。もちろんこの前後に発表された「In Rock」と「Machine Head」も誉れ高き名盤です…。


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