Christopher Cross「Christopher Cross」(1980)
ミスター・フラミンゴの鮮烈なデビューアルバム
エイティーズファンには欠かせないクリストファー・クロス。不幸にも、このデビューアルバムがあまりにもビッグ・セールスを記録し、彼の音楽人生を狂わせたかもしれません。
1981年、グラミー賞4部門を独占。こうして1980年はクリストファー・クロスで始まりました。
確かにジャケットからして素晴らしい。そしてその唯一無二のハイトーン・ヴォーカルは一度聴いたら忘れられません。その透き通るような声で⑧「Sailing」を歌われたら、堪りませんね~。
この素晴らしきAORサウンドを聴かせてくれるクリストファー・クロス。実は出身はテキサス州。コテコテの南部出身。邦題の「南から来た男」とは彼のことでしょう。珍しく素敵な邦題です(原題はChristopher Crossですから全く味気ないですね)。
プロデュースはマイケル・オマーティアン。このテのAOR系アルバムの割りにはリズム隊はドラムがTommy Taylor、ベースがAndy Salmonと地味なメンバー。通常ならTOTOやデイヴィッド・フォスター系ミュージシャンがその地位に収まってよさそうなものを、あえて昔からやっていたメンバーが脇を固めるあたり、クリストファー・クロスの自己主張を感じます。
ちなみにドラムのTommy Taylor、本作⑨「Minstrel Gigolo」で変わったギターソロを聴かせているEric Johnsonのバンドに後に加わることになります。本作が2人の出会いだったのでしょうか?
それにしても本作、聴きどころが満載です。
①「Say You'll Be Mine」でのジェイ・グレイドンの彼らしいギターソロ。チャーミングなニコレット・ラーソンのコーラスが素晴らしい。
②「I Really Don't Know Anymore」での超個性派、マイケル・マクドナルドのコーラス。これは一発で彼のものとわかりますね。アレンジもマイケルに合わせたのか、どことなくソウルフルな味付けを部分部分に感じさせます。
④「Never Be the Same」の正統派AOR。何気に転調するところなんかいいですね。これもギターソロはジェイ・グレイドン。
⑦「The Light Is On」のネチッこいギターソロはラリー・カールトンです。曲はそうでもないのですが、ギターソロは南部のネチッこさが出てますね。クルセイダーズで見せた、あのラリーのソロです。そしてコーラスはJ.D.サウザーとドン・ヘンリー。
聴きどころの多いアルバムですが、何と言っても白眉は⑥「Ride Like the Wind」。
この題名の通りのイントロ。風が吹き抜けていく疾走感が本当によく現れてますよね。そしてスリリングな曲の展開。
ここではライブ映像をアップしておきます。これは当時のものではなく、90年代あたりのものだと思われますが、途中のマイケル・マクドナルドのコーラス、彼が歌いながら登場してきます。キザですね(笑)。タイトなドラムはスティーブ・ガッドのようです。
ホント、スリリングな曲です。そして今更ながら驚いたのが、このロック調の曲の激しいギターソロは彼自身が弾いていること。もちろんこの映像でもそうだし、レコーディング上でも。ジェイやラリー、エリックなど、凄いギタリストがアルバムで弾いているなかで、本作中一番激しい曲のギターソロを自らが弾いているのです。
クレジットを見ると【Dedicated to Lowell George】とありますね。Little Featのリーダーに捧げた曲。それは自らが弾く、という強い意志が感じられます。
⑧「Sailing」、陽炎のようにゆらゆらと揺れるようにフェードインしてくるイントロ。あのハイトーン・ヴォイスで
♪ Sailing, takes me away~ ♪
と歌われたら、もう気分はパラダイスです;・・・。
ちなみに私のリアルタイムのクリストファー・クロスは本作ではありません。1981年に大ヒットしたArthurs Theme(邦題「ニューヨークシティ・セレナーデ」)です。コレ本当に名曲だし、未だに聴いてます。私の大好きな曲。
この曲はChristopher Cross, Burt Bacharach, Carole Bayer Sager & Peter Allenの共作です。この面子ならいい曲のはずですよね。
当時MTVでこのPVがよく流れてました。懐かしいですよね~。
この曲、とくに
♪ If you get caught between the moon and New York City
The best that you can do,
The best that you can do is fall in love ♪
の部分、最高ですね~。このメロディを聴くと、あの当時が蘇ってきます。
この曲は1981年10月に全米No.1を記録します。
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