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Marc Benno「Minnows」(1971)

スワンプロックの名盤と称されているマーク・ベノのセカンドアルバム。
うねりの効いた南部系ロックを総称してスワンプロックと呼んでいますが、もともとは60年代後半にデラニー&ボニーやレオン・ラッセル等が広めたもので、これが当時のミュージシャンを虜にし、エリック・クラプトン、ジョージ・ハリスン、ローリング・ストーンズ等が強力なフォロワーとなり、スワンプロックが一種のムーブメントとなりました。

当時のスワンプ系バックミュージシャンとして、Bobby Womack (g)、Jesse Davis (g)、Chlarence White (g)、Carl Radle (b)、Jim Keltner (ds)等の名前が挙げられますが、これらの面子が本作では勢ぞろいしております。

実はマーク・ベノの名前を知ったのは、30年くらい前、地球ライブラリー・イーグルス(TOKYO FM出版)という書籍のなかで、イーグルス=ウエストコースト系名盤が紹介されていたのですが、その中の一枚として、本作が薦められておりました。文中には「LAスワンプを代表するシンガーソングライター」とあり、当時から私にとっては興味津々のアーチストでした。

マーク・ベノはレオン・ラッセルとアサイラム・クワイアというデュオグループを組んでいたこともある実力派です。そして本作が自身のセカンド・ソロアルバム。ジャケットも非常に印象的な写真。大好きな一枚です。

私の好みは本作ではちょっとフォーキーな①「Franny」ですね。このレイドバック感が堪りません。音の流れに身を任せると、ついついうっとりしてくるサウンドです。

うっとりしていたと思ったら②「Put a Little Love in My Soul」の黒いイントロにびっくり。マークは黒人音楽もうまく取り入れているとよく書かれてますが、この曲は典型的な例ですね。バックコーラスにはRita Coolidgeも参加してます。この女性コーラスがソウル感を煽って、いい感じになってます。

③「Stone Cottage」は見事なまでにサザンブギーしてますね。
ヴォーカルもイコライジングして、いい雰囲気です。こってりブルースですね。この曲を聴くとCCRを連想してしまいます。
そういえばCCRとスワンプ系アーチストは接点があったのでしょうか? もともとCCRは外部ミュージシャンとの接点は薄いと思いますが。

①と同様、フォーキーな⑥「Good Times」はカントリーロックといってもいいかもしれません。間奏部分、いかにもカントリーっぽい演奏スタイルに変わるところなんか、自分好みですね。バックで流れるアコーディオンはNick Decaro。いぶし銀のような演奏です。またここでのマークのヴォーカル、非常に楽曲に合っていると思います。

本作中、一番長い演奏を聴かせるのが⑧「Baby Like You」。
スワンプというか、ブルースですね。各曲のギターが誰なのか、クレジットがないので分かりませんが、ジェシ・エド・デイヴィスでしょうか。ここでのギターは相当粘着質ですね。昔はこの手の楽曲は良さが全く分からなかったのですが、今ではこの音のルーズさが堪らなく心地よく感じられるようになりました。

そういえばマーク・ベノはドアーズの名作L.A.Womanにギタリストとして参加しているんですよね。ギターの腕前も業界では相当認められていたということでしょうね。

その後、ベノは2枚のアルバムを発表。サード「Lost in Austin」はいいアルバムでした。その後どうしているのかと思ったら、2005年に初来日していたんですね。まだまだ現役、渋いアーチストです。

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