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David Crosby「For Free」(2021)

オリンピック、特にゴルフは男子も女子も面白かったですね。まさかの稲見萌寧の銀メダル。日本のゴルフ・ファンであれば、もしかしたら彼女なら…と思っていたのかもしれませんが、世界的には無名な存在。これでゴルフ界における日本のステイタスも少しは上がったでしょうかね。

さてさて、今回はデヴィッド・クロスビー(そもそもご存じの方も少ないのかも)。私自身はバーズの彼は好きですが、CSN以降はスティーヴン・スティルスグラハム・ナッシュの方が好みでしたので、すっかりスルーしておりました。もちろん彼のソロもスルー。
今回、Amazon Musicでデヴィッドの新作がレコメンドされていたので、ちょっと聴いたらビックリ…。なんかすっかりオシャレな音楽やっていたんですね。

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このアルバムのご紹介の前に、つい先月、デヴィッドが「5 Albums I Can’t Live Without」というテーマで自分のベスト5を回答してます。その5枚を見て、本作のサウンドに納得…。
 
 1位 Steely Dan「Aja」
 2位 Steely Dan「Gaucho」
 3位 Joni Mitchell「Blue」
 4位 Weather Report「Heavy Weather」
 5位 James Taylor「Gorilla」

ちょっと意外、デヴィッド・クロスビーってこんな方だったんだ~(笑)。私には長年の親友、(温厚そうな)グラハム・ナッシュからも絶交されてしまったりするような、神経質で近寄りがたい人ってイメージがあったのですが、私の音楽の趣味と同じで妙に親近感を感じております。

新作も上位5枚のアルバムから連想出来るような音。近年は息子のジェイムス・レイモンド等と組んだCPRでのバンド活動も盛んだし、明らかに息子から刺激を受けて、多作になったような気がします。本作のプロデュースはジェイムスが手掛けてますしね。

まず1曲目からそんな感じでちょっとビックリ。その1曲目がマイケル・マクドナルド、ジェイムスと共作した①「River Rise」。デヴィッドってこんな優しい声でしたっけ? スティーリー・ダンっぽいクールなサウンドの中にも温かみを感じさせる声とメロディ。なかなかクオリティ高い作品です。こちらがリード・シングルですね。

アコースティックギターのクールな響きが素晴らしい②「I Think I」。
ここでのデヴィッドのヴォーカル、クリストファー・クロスのように爽やかに聞こえます。美しいアコギとヴォーカル、そして作曲にも加わっているスティーヴ・ポステル。この方、ダニー・コーチマー率いるイミディエイト・ファミリーの一員として有名。ちなみにイミディエイト・ファミリーの他のメンバーはワディ・ワクテル、リーランド・スクラー、ラス・カンケルと豪華布陣。

後期スティーリー・ダンそっくりの④「Rodriguez For A Night」。
それもその筈、こちらはDクロスビー、息子のJレイモンド、そしてドナルド・フェイゲンの共作。なんだかバック・コーラスにドナルド・フェイゲンが参加していそうな感じですが、クレジットを見ても収録にはドナルド、参加していないようですね。

デヴィッド単独で書き上げた作品でも、スティーリー・ダン色が濃いのが⑥「Ships In The Night」。
ちょっとブルージーな色合いもあったりして…。この辺りの音楽が、今のデヴィッドのやりたい音楽なのかもしれませんね。

ジョニ・ミッチェルのカバーの⑦「For Free」。
ジョニのサード・アルバム「Ladies of the Canyon」からの選曲。決して派手な曲ではない静かで美しい楽興。1967年、デヴィッドは短期間ジョニと付き合っていた時期がありますが、そのある日、モンキーズのピーター・トークの家に皆で集まった時、徐にジョニが新曲を披露したのですが、その楽曲がデヴィッドに向けられた別れの曲だったらしい。勝気なジョニらしい別れ方(笑)。デヴィッドは純粋にジョニの才能に惚れ込んでいたんでしょうね。
デヴィッドのカバーも美しい仕上がり。デュエットの相手はサラ・ジャローズ。若いサラ(30歳)にデヴィッドは、ジョニのような才能を感じ取ったのかもしれません。

デヴィッドは数年前からこうした音楽を好んでやっていたようですね。それにしても御年80歳のデヴィッド、創作意欲は衰えておりません。グラハム・ナッシュからも見放された変な方…というのが私の先入観だったのですが、もう少し彼のソロも聴いてみたいですね。

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