見出し画像

見ないし聞かないし調べない

※またこじらせてます。



「人より好き嫌いが多いのかもしれない」

そんなふうに思い始めたのは、ここ一年ほどのこと。食べ物ではなく、社会に対しての話です。

流行りのアニメ、マンガ、みんなが熱狂する試合、注目のスイーツ、老若男女に大人気のアレやソレ。

自分が「いいな」と思ったものは評価されず、「何が面白いの?」と疑問に感じるものがもてはやされることが続いて、さすがに「私がずれているんだ」と気付き始めました。

こういうところが性格が悪いゆえんなのですが、当初は、それらの悪いところばかりを探していました。「他に比べるとここがいまいち」「すぐにブームは過ぎる」「大衆にウケているだけ」ネットで、自分と同じように不満を持つ人を探しては安心する、その繰り返しでした。


そんな、とっても不健康な日々を送っていた私が変わり始めたのは、そんな私の様子に呆れ果てた夫からの一言でした。

「なんでわざわざ、自分が嫌いなものに近付くの?」

不毛な日々を繰り返してやっと、検索しても検索しても、嫌いな人より好きな人の方が多いんだと気付いていた頃です。私は別の手段を取り始めました。

「アレルギーだと思って近寄らない。とにかく視界に入れない」

頑固でこだわりが強い私のこと、気持ちを切り替えてみんなと同じように楽しむなんてできっこない。好評も悪評も、それにまつわる何もかもが気に入らないなら、自分から離れる努力をしないと。幸い、食物や環境アレルギーは一つもない私ですが、「心穏やかに生きていくうえでのアレルギー物質」はたくさん増えてしまいました。


ミュートワードに設定する。トピックのフォローを外す。そもそも検索しない。街中で見かけたら、視線を外す。まだまだうっかり調べて地雷を踏んだりしてしまいますが、自分の平穏を保つ方法の一つとして、身に付けようとしている最中です。

もちろん、自分が嫌いだからといって「私、アレルギーなのでその話はしないで」と面と向かって言ったりはしません。短時間であれば、にこやかにその話題に付き合うこともできます(ほとんど人と話しませんが……)。

「見ないし聞かないし調べない」。これは、『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』で幼少期に交わした約束を叶えるべく奮闘する主人公・華恋ちゃんが、不安に襲われそうになった時に幾度となくつぶやく言葉。目をつぶって、耳を塞いで、「見ないし聞かないし調べない」。子供の仕草そのものです。

自分に自信があれば、周りと自分がどう違っていようと、痛くも痒くもないのかもしれません。「私は興味がないの」「私はこっちが好きなの」とサラリと言えるのかも。

でも、そこまで大人になれない私は華恋ちゃんよろしく、「見ないし聞かないし調べない」。そうやって、不安になるものからは距離を取る。そうしないと、私の心はすぐに乱れてしまうから。


興味がなかったものでも意外とハマってしまったり、人生を変えるきっかけになったり。この世は、そんなもので溢れています。食わず嫌いが一番もったいない、とも。

それでも、未知のものに触れて広がるかもしれない可能性と、乱れた自分のケア。これらを天秤にかけると、私は今の私が好きなものに囲まれていればそれでいい、そう思ってしまいます。

つくづく、生きにくい人間だなぁと感じます。でも、30年近くこの性格で生きてきたのだから、よりよい対処法を見つけてうまくやっていくしかありません。

「まずは触れてみなくちゃ!」――いつかそんなふうに変われるだろうかと夢見つつ、とりあえずはアレルギーと程よい距離感で付き合っていこうと決意する、今日この頃です。


いつもご覧くださり、ありがとうございます。 そしてはじめましての方。ようこそいらっしゃいました! いただいたサポートは、夕食のおかずをちょっぴり豪華にするのに使いたいと思います。 よかったら、またお立ち寄りくださいね。