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豚さんはカッコいい、でもそれだけじゃない

こんにちは、ゆのまると申します。


さて、『紅の豚』です(唐突)。

昨日の録画を流しながらこの記事を書いています。ああ冒頭からかわいすぎてニヤニヤが止まらぬ。

紅の豚といえば、私の中では思い入れが深い作品です。今でこそ大好きな映画の一つですが、「初めて観た時はまったく面白さがわからなかった」という意味で印象に残っています。

あれは小学校高学年の頃。金曜ロードショーで一通りジブリ作品を観た私が、最後に鑑賞したのが『紅の豚』でした。それはもう期待値はマックス。わくわくしながらテレビの前に座っていました。

ところが、いざ映画が始まると……なんだか予想していたのと違う。

おそらく私は、豚になったポルコが自身にかけられた魔法を解く旅に出る一大スペクタクルとでも思っていたのでしょう。そこまで派手な展開はなく、秘密警察や戦争が出てくるけれど時代背景もよくわからない。観るのを途中でやめてしまった記憶すらあります。なんだかずいぶん期待外れな気持ちになったものです。


ところが、大人になって改めて作品を鑑賞し、その印象は一変。

飛行機のメカメカしさ、女性の元気さ、自分で決めたことには筋を通す粋でいなせなキャラクター達、そしてなんといってもマダム・ジーナ(加藤登紀子さん)の艶っぽさ……。あの頃にはわからなかった作品の魅力がどんどん見えてきました。そう、『紅の豚』を楽しむには、私は少しお子様すぎたのです。

ということで、何度目かわからない昨日の金曜ロードショーの放送も、実に楽しませてもらいました。やっぱり円盤も買おうっと。


ところで『紅の豚』のキャッチコピーといえば、「カッコいいとは、こういうことさ。」ですね。飛行艇乗りであるポルコのカッコよさがふんだんに描かれた今作に、ぴったりのコピーだと思います。その台詞の数々にはニヤリとしてしまうし、イタリア男らしい気遣いにもきゅんとします。

けれど私は、『紅の豚』の魅力の一つとして、「肩肘張らずに楽しめる」ところを推したいと思います。

人によって個人差があるでしょうが、私は基本的に映画は「疲れる」コンテンツだと思っています。

ストーリーを追わなければいけないのはもちろん、ワンシーンワンシーンに作画(表情)、演出、音といったこだわりが詰まっており、その情報量は凄まじいものです。その分、落ち込んだ心を励ましてくれたり、人生の指針となるような一言が降ってきたりと、観る者の感情を揺さぶり大きな影響を与えてくれるのです。

それだけに、鑑賞する側にも相応のエネルギーが必要です。「ラピュタ」や「千と千尋」が傑作であることは間違いありませんが、そのカロリーの高さからこちら側にも準備が要りますし、腰を据えてじっくり本編を観たのはもう何年も前のことです。

『紅の豚』は他のジブリ作品に比べ、全編を通してコミカルな表現が多く、誰かが傷ついたり血が流れるシーンもありません。ニヒルな言い回しはオシャレだし、殴り合いの末にサングラスがハート型になってしまうところなんてなんともキュートです。「魔女宅」は名作ですが、「あたしこのパイ嫌いなのよね」のシーンは毎回気持ちがざわついてしまいます。

そういった心配もなく、また約90分という短い上映時間で心がほっこりする。しかも豚さんがカッコいい。フィオのフレッシュさも眩しい。その対比であるジーナさんの余裕も。なんとも素敵な作品ですよね。

……なんてことを考えていたら、その「気楽さ」の正体を解説した記事を発見しました。

『紅の豚』は当初、国際線の機内上映向けに制作がスタートしたとのこと。「国際便の疲れきったビジネスマンたちの、酸欠で一段と鈍くなった頭でも楽しめる作品」という覚書を読んで納得してしまいました。

映画は文化であり、娯楽でもあります。

心に残る名作が評価される一方で、「気軽に、楽しく」鑑賞できる作品にも確かな需要があります。これまでに『タイタニック』を観たのはほんの数回ですが、ビール片手に『オーシャンズ11』を眺めた土曜の夜は数え切れません。

ひと時の間だけでもつらい日常を忘れ、明るく楽しい気分にさせてくれる作品も、私は大好きです。

「好きなジブリ作品は?」

この質問は単なる興味で済むものではなく、その答えは己の性癖を暴露するものであり、相違があった場合宗教戦争も起こりかねません。好きな異性のタイプだったり人生の方向性だったり、それぞれに信奉するものがあるのだから当然です。なので、この質問(あまりリアルで聞かれたことはありませんが)に答える時は、相手との親密度を慎重に測ったうえでいくつかの答えを用意しています。

しかし今回は、誰に聞かれたわけでもありませんので勝手に宣言しておきます。私が好きなのは、『風立ちぬ』『紅の豚』『もののけ姫』です。異論は認めます。

それぞれ好きな理由がありますが、これらの作品のうちの一つに私が理想とする女性がいるんです。それは誰かというと……、今回は長くなってしまったのでまた次の機会に。笑

私にしてはめずらしく「後編へ続く」としたところで、そろそろ終わろうと思います。ではでは、続きは「私が憧れる『ジブリの女性』」編で。

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