「この本読みやすい」と感じた理由

こんにちは、ゆのまると申します。

せっかくの三連休ですが、こちらはあいにくなお天気が続いています。

そんな今日は、冷たい風が吹く中、宣言通り新しいスニーカーを買いにお出かけ。夫と約束していたあんみつも食べられて、少しだけ恩返しができました。また頑張って働くぞっ。


さて。

今は、宮部みゆきさんの『クロスファイア』を読んでいます。

以前『R.P.G.』を読んでからというもの、いつかいつかと思っていた今作。ようやく手に取ることができました。

これまで何度も書店で見かけていたのですが、購入に至らなかったのは少々クセの強そうなあらすじに二の足を踏んでいたから。

というのも、この小説、「念じるだけですべてを燃やす念力放火能力パイロキネシス」を持つ人物が出てくるのです。一見SFかと思うような内容ですが、それを追うのは特殊能力の持ち主でも何でもない、ごく普通の刑事。

こういうお話はたいてい能力者同士のバトルになりがちですが、能力者対一般人という、一見不利に見える戦いをどのように決着させるのか。現在、全体の4分の3くらいまで読み進めたところで、結末が非常に気になるところであります。

宮部さんの長編は久しぶりに読みますが、するするとその世界に取り込まれていく魅力は変わらず。いい意味で、読みやすくて好きな作家さんだなぁと改めて感じています。


ところで、『クロスファイア』の文庫本をパラパラとめくっているうちに、気付くことがありました。文章そのものが読みやすいのもあるけれど、この文庫本自体が「見やすい」のだと。

私が読んでいるのは、「光文社文庫プレミアム」のものです。何がプレミアムかというと、「光文社文庫で長く愛読されている名作を、読みやすい文字に組み直し、新たなカバーデザインで、『光文社文庫プレミアム』として刊行」しているんだそう。

手元に光文社文庫がなかったので比べることができなかったのですが、他の出版社のものと比較してみると、たしかに文字が大きくてハッキリくっきり読みやすい。印字されている紙自体も、白みが強いように見えます。

左が光文社文庫プレミアム、右が角川文庫『ユージニア』。画像だとわかりにくいですが、手に取るとはっきり違いがわかります。

試しに手元にある文庫本を比べてみると、たとえばハヤカワ文庫はフォントサイズは大きいけれど線が細く、集英社文庫は明朝体でもキュッとしていて余白も広く、上下にだいぶ余裕があります。フォント職人ではないので、どの種類の何ポイントか、というところまではわからないのですが、出版社や、また同じ会社であっても出版年によって、余白だったりフォントサイズだったりに違いが見えます。


「読みやすい文章」には、いくつかの要素がありますよね。扱っている題材の身近さだったり、使われている単語や修飾語の多さ、また会話文と地の文とのバランスなどが挙げられると思います。

一般的に「読みやすい」とされる書き手もいますが、読み手の経験値だったり、どういったリズムで読むか、という点も関係してきますので、合う合わないの差も生まれます。

そしてそれに加えて、フォントの種類やサイズ、余白という文字組みも大きな要素の一つなのだなと気付きました。今まであまり意識していませんでしたが、「この本は読みやすい」「ちょっと読みにくい」という判断の一つには、視覚情報であるこれらの影響もあったはずです。

文庫本はおおむね統一されているはずですが、単行本となるともっと自由度は高くなります。文中のフォントや余白だけでなく、紙や表紙の材質もさまざま。中には、ページをめくったらびっくりするような仕掛けに出くわすこともありますよね。


どうやら新聞を始め、「文字は大きく見やすく」というのがここ十数年の方針だそう。液晶の見すぎで視力が下がる一方の私としても、細々した紙面よりもくっきり見やすい方が助かります。

つい本の内容にばかり気を取られがちですが、出版社と製本業者のこだわりが詰まった「見た目」にも、目を向けてみたいなと思ったのでした。おわり。

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