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これはフィクションなの?「彼らは世界にはなればなれに立っている」太田愛

暗くて分厚く覆われた雲の中から、一筋の光を見つけ出したい。そう願いながら読みました。何処かで起こっている物語。その何処かは少し先の未来かもしれないし、今のこの世の中を現しているのかもしれない。そう思いました。

序章~ある1人の人物が写真を見て過去を回想している。この写真が撮られてわずか半年の間に町は変わり果て、写真に映っている人のうち5人がいなくなった・・・ どこへ消えたのか?

第1章。羽虫と呼ばれる男の子。トゥーレ。彼の母は住む町を失い、彼の父と結婚しこの町に来たのだが、この町では遠くから移り住む人々のことを“羽虫”と呼び忌み嫌っていた。大人たちの彼らに対する態度を見て、子供たちも羽虫を下の者として扱う。祭りの夜。トゥーレの母が行方不明になった。

そこから始まり2章から4章までそれぞれ別の人物の視点で物語りは進む。塔の地、「はじまりの町」で何が起きたのか。

「相棒」の脚本家であり小説家の太田愛さん。「犯罪者」ですっかりファンになり「幻夏」「天上の葦」と追っかけ 今回久しぶりの長編。図書館の新刊をチェックしていたらまだ誰も借りていない。「やった一番乗り♪」とうれしくなり借りてすぐ読みました。

子供たちは常に大人たちよってあらかじめ形作られた世界に生まれてくる。大人がみたいものだけを見て浪費した歳月の負債は、常に彼ら次の世代が支払う事になるのだ。

よりよい世界になるように私たちが出来る事、それは些細なことでもいい。でも黙って何もしないでいるよりかは、ずっといいのではないかな。





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