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ひと匙に込める幸せ❤「今日のハチミツあしたの私」

誰でも、ある人からかけられた言葉にハッとしたり、大事に心の中にしまっておきたいものがあるんじゃないかな。

「蜂蜜をもうひと匙足せば、たぶんあなたの明日は今よりよくなるから」

この言葉は中学生のころ「明日なんて来なければいい」と願っていた碧がある人からかけられた。それから碧は変わった。食べることを何より大事にするようになった。この一言が彼女の生き方を大きく変えたのだと感じた。

そして、30歳になった碧は付き合っていた安西とともに安西の故郷に移り住む。そこで養蜂を営む黒江と出会い、養蜂の世界に導かれていく。

「自分の居場所があらかじめ用意されている人なんていないんだよ。自分でつくっていかないと」

恋人以外知り合いのいない土地に来て、まわりからはよそ者として常に見られる。それでも、恋人と一緒になろうと新しい居場所を作っていく碧。黒江とともに養蜂の仕事を学び、その傍らスナックあざみのママや黒江の娘の朝花とも良い関係を築いている。

与えられた環境が思っていたのと違ってても、それを心地よくしようとしないのは私なんだよね。わかっていることだったけど、言い訳して逃げているからこの台詞が刺さったよ。

今年はたくさん寺地さんの本を読んできたけど、こちらは私の中でBest3に入れたいくらい好きな本になった。

表紙の絵のように分厚いホットケーキを焼いて、とろっと蜂蜜をかけて食べたくなる。そしたら優しくなれる気がする。(たぶん)本に出てくる百花蜜てどんな味の蜂蜜なんだろうな。

心に栄養をたっぷり与えてくれるような、そんな魅力ある1冊です。

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