心に残る本:2020年をふりかえって
もう残すところ今年もあと数日。読んだ本をこうしてSNSで記録したり、他の方の読書記録を目にする事で刺激を受けることも増えました。
今回は今年読んで良かったなと思う本をまとめました。
1・「滅びの前のシャングリラ」凪良ゆう
あと1ヵ月後に隕石が衝突し、地球が滅びる。たった一つの出来事がそれまで築いてきたあらゆるものを壊してしまう。正常でいることの難しさ。暴力や犯罪が多発する中で大事な家族を守ろうとするやくざのお父さんの姿に胸が熱くなった。最後まで駆け抜ける様に一気に読んだ。
2・「52ヘルツのクジラたち」町田その子
幼い頃から虐待を受け、家のトイレの中だけが安心できる場所だった貴瑚。家族から逃れて自由になったつもりでも、寂しい心を埋められない。そんな彼女がムシと呼ばれる少年と出会い、徐々にお互いを必要としていく。お互いの届かない心の叫びをクジラに例えることがたまらなく切なかった。
3・「雲を紡ぐ」伊吹有喜
岩手でホームスパンに出会った美緒。祖父の元で物作りを学び、新しい生き方を見つけようともがく。彼女の背中を押してくれた祖父がいなければ、母と娘の関係は変わらなかったかもしれない。ホームスパンに触れて温もりを感じてみたい。
4・「逆ソクラテス」伊坂幸太郎
「僕は そうは思わない」読み終えたら心の中でつぶやきたくなる。伊坂さんらしく明るくユーモアあふれている1冊。見事に私の中の先入観をひっくり返された。「アンスポーツマンライク」が好きだったな。小学生の教科書に載せてもいいと思う。
5・「今日のハチミツあしたの私」寺地はるな
今年読んだ寺地さんは4冊。中でもこの本は今の私に薦めたい。養蜂家の黒江さんとみつばちに出会い、その世界に飛び込む事にした碧。「自分の居場所があらかじめ用意されている人なんていないんだよ。自分で作っていかないと」読んだらきっとはちみつが食べたくなる。
6・「いのちの停車場」南杏子
救急救命医から訪問診療医になった白石咲和子。患者や家族と真摯に向き合う先生の姿に涙なしでは読めなかった。家族がもし命の最後を迎えようとする時出来ることはなんなのか?遠くない将来避けては通れない事。終末医療のこと考えるきっかけになりました。
7・「たおやかに輪をえがいて」窪美澄
夫を支え、子育てに懸命になっているうちにいつの間にか家庭での自分の存在意義がわからなくなってしまった絵里子。いくつになっても1人の女性として自立していたいと思いました。
8・「八月の銀の雪」伊予原新
私たちの住んでいる地球には見えていないだけで、人の手では作り出せない美しいものにあふれている。空から降る雪ではなくて、意外なところでも雪が降っているかもしれない。これからも追いかけてみたいと密かに応援している作家さん。
9・「おっぱいエール」本山聖子
「幸せにたどり着くまでに自分はどれだけ遠くなったのか」この言葉に読みながら涙止まらず。若年性乳がんを患い、突然大きな壁にぶつかってしまった3人の女性達。私だけは大丈夫。なんて、変な自意識は捨てて定期的に体のメンテナンスはしようと誓いました。
10・「夜明けのすべて」瀬尾まいこ
パニック障害とPMS。どちらも人によって程度があり、回りからは病気だと気づかれにくいもの。それと解らなくても実は苦しんでいる人がいるのだと思った。病気がテーマだけど、重くなりすぎず時にはくすっと笑ってしまう2人の関係性を書いてくれた瀬尾さん。辛さの後には夜明けがきて全て温かく包み込んでくれるといいのに。
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