「砂漠」に出て行こうとする君たちへ:「砂漠」伊坂幸太郎を読んで

「あーもうこの5人皆が好きだ。この世界観を書く伊坂さんが好きだなあ」とこの本を読み終わって心から思った。

仙台にある大学に入学した僕。物事に熱くならない鳥瞰タイプの北村。歓迎会の席で出会った4人の学生たち。今出来る事をやる西嶋。率直な鳥井。不思議な力を持つ南。無口な美女の東堂。彼らと過ごした春・夏・秋・冬の出来事を北村の目線で語られる。

読み始めてしばらくしてから「あれ?この本前に読んだ事あったかな?」でも何時だったのか思い出せない。どこかで会ったような気がしたのは気のせいかな・・・?それとも社会に出る前の大学生のあの自由さと将来の漠然とした不安と両方を抱えた時期が懐かしく感じたからだろうか。

生まれた時から親に守られていて、次に何をすべきかだいたいの道筋が決まっていたのに。それがある時から「自由にどうぞ」て言われて、進む道が決まっていようと、まだぼんやりのままでも、自分で考えて飛び出していかないといけない。

まだ経験に乏しい若者が何かを主張したり、訴えても何も変わらないかもしれない。いつのまにか見て見ない振りするようになり、諦めを上手に身につけるようになっているかもしれない。けれど、思い出したい。目の前で助けをもとめて差し出された手を迷い無く助けた西嶋君の言動。「ピンチは救うためにあるんでしょうに」を実践した彼になんだか感動してしまった。

少しずつ変わっていく彼らの姿。砂漠に出て行こうとする彼らを応援したくなったし、逆に私も「あの頃は楽しかったよなあ」ばかり言わないで今を頑張らないとと励まされました。



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