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雑感(2022年1月8日)

 旦那さんが寝静まった後にひとりで洗いものをしていると心が穏やかになると同時に少しさみしくなります。同窓会でも「まったく変わらない」と言われますが(ずいぶん変わったつもりなのですが)自分というのはどこまでも自分なのでしょう。
 他人のことのほうがうまく認識できていて、鏡や写真に映る女が自分であるとはどうしても思えない時があります。
 自分の下着があるべきところにあり、紅茶がいつもと同じ香りがすることに安心します。自分の心はめくるめく変わってしまうからかもしれません。
 雪を見るとひとりで暮らしていた頃を思い出しました。新潟では室外機が凍って暖房が壊れ、パネルヒーターをタクシーで買いに行きました。タクシーでは運転手の息子の自慢話を聞きました。暖房は春に自然治癒しました。パネルヒーターは新しい東京の部屋で埃をかぶっています。
 ひとりの生活は気ままで良いですが、ふたりのほうが楽しいことが多いです。
 クリスマスに買ってきた花が枯れました。花をいつも燃えるゴミに捨てるのがしのびなく、花の墓があればいいのになと思います。
 人を冷ややかに見るのが嫌いです。世界は美しくとらえたいです。人の悪口や批評を聞くのが嫌いです。私の中には世の中の分別とは異なる天秤があって、それを大切にするのが知性だと信じています。
 仕事帰りにスーパーでたらふく食材を買って歩いていると、自分はおばさんになったと思います。もう美しさで評価される必要がないということは気楽なことです。
 過労の旦那さんは戦前の兵士のような横顔をしています。美しいです。美しさは造形に宿るのではなく、感情に宿るのだと思います。
 東京は人々がそれぞれに生活している気配が街にあるから好きです。アパートの窓から深夜に道行く人や信号を見るのが好きです。喫茶店に入るとみんな一生懸命話しています。そんなに話すことがたくさんあるのがいつも不思議です。外苑前のドトールの喫煙ブースが、ラブホテルの匂いがして好きです。
 中学生の頃だったか、小学校低学年の弟と自転車で柏のトイザらスに行こうとしました。国道を延々と自転車で走りました。当時は大冒険でした。トイザらスには道に迷って行けず、モスバーガーでジュースを買ってあげました。あの時ちゃんとトイザらスに連れて行ってやればよかったと後悔しています。
 後悔はたくさんあります。もうどうにもならないので平気な顔をしているだけです。
 頭がいいとか優秀とか本当にくだらないと思います。私は馬鹿なほうで、訓練を積んできただけです。さんざんそのように持ち上げられて、よいしょされて、結局自分の人生の責任は自分でとるしかないのです。
 自分の中に怒りがくすぶっていて、それが原動力になっているみたいです。
 初詣のおみくじは凶だったけれど、すこぶる幸せなので占いは信じないことにしました。自分の精神の一貫性次第で幸福になれることを、神様は知らないみたいです。

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