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『WRC GENERATIONS』がやってきた! | 2000年生まれのポピュラー文化探訪 #93

 わたしがWRC(世界ラリー選手権)にのめり込んだのは2007年のこと。かれこれ、ラリーを追いかけ始めてから15年以上が経ちます。ラリーを実際に体験するのは難しいので、必然的にゲームを手に取るようになりました。

 2000年代のSpikeが販売を手がけたWRC公式ゲームは10年以上遊んでいましたし、2001年に世界王者となったリチャード・バーンズが手がけた『Richard Burns Rally』も、1995年に世界王者となったコリン・マクレーが手がけた『Dirtシリーズ』も、一通りのラリーゲームは遊んできました。ただ、2010年から開発元が変わってからのWRC公式ゲームはほとんど手に取っていませんでした。ラリーに対しての熱量も上下する中で、優先順位が一向に上がらなかったのは理由のひとつとしてあります。

 そのきっかけが生まれたのは突然。昨日、Amazonで欲しいゲームを探しているうちに、「そういやWRCはずっとやっていなかったな」と思わずポチッと押してしまったのです。今回選んだのは2022年のシーズンとかつての名車たちを収録した『WRC GENERATIONS』というゲーム。完全に衝動買いでした。

 早速今日PS5にインストールして、遊んでみました。

 個人的にラリーゲームのベンチマークにしているのが『Dirt Rally 2.0』です。コードマスターズがエレクトロニック・アーツに買収されてからは新作が出ていませんが、間違いなくラリーゲームの最高峰といえる作品。ミニ・クーパーやランチア・フルビア、アルピーヌ・A110の時代から現代のマシンに至るまで、あらゆるマシンを収録しています。DLCも含めるととんでもないボリュームの作品で、後発のゲームもなかなか越えられませんでした。

 正直に綴ると、現時点では『WRC GENERATIONS』はリアリティーという側面では『Dirt Rally 2.0』を越えていないなあ……と感じています。挙動がいろいろと言われているのですが、音がちょっとゲーム感が強すぎるのです。『Project Cars 2』のように無線の音声をパッドから再生する仕組みはおもしろかったんですけれども、この作品では砂利や接触音がパッドから再生されるように設定されていて、これがちょっと個人的には不思議な音響設計に感じられました。後から設定出来る分にはおもしろいかもしれませんが、やっぱり基本はスピーカーだけで纏めた方がよりリアルになるんだろうなあ……と。

 ボリュームやステージのクオリティー、マシンの質量はやはり公式ゲームだけあって、随一なんですよ。ここまで数多くの国を舞台に遊べるゲームはありませんし、カレンダーに入っていない国も遊べたりします。日本もちゃんと入っています。国ごとに特徴がしっかり再現されています。あと、やっぱり最新マシンを最新のリバリーで遊べるのは嬉しい。他のシリーズだと細かい部分が変わっていたり、オリジナルのリバリーになっていたりするものもあるので、そこを気にする必要がないのは良いですよね。レガシーマシンの収録はちょっと劣りますが。

 個人的にびっくりしたのが、フレディー・ロイクスが収録されていたこと。WRC2まで追い切れていなかったので、トミ・マキネンとチームメイトだった彼が参戦していたのかと。

 こういうゲームだとリアルに視点が向きがちですし、わたしもその側面から綴った部分もありますが、最初は目まぐるしく変わっていく路面状況やマシン特性に翻弄されながらも、初めて触った時から楽しく駆れるのは『WRC GENERATIONS』の魅力だと思います。『Dirt Rally 2.0』だと、たとえパッドでもそうはいかない。リアルか、遊びやすさか、どちらに寄るのかは難しい部分がありますが、公式ゲームは中間くらいが良い塩梅なのです。難しすぎると初めての人は戸惑いますし、エンタメに振りすぎるとマニアには物足りなくなりますから。

 2023年版からはエレクトロニック・アーツに開発が移りましたが、早くプレイしたいものです。

 2024.3.6
 坂岡 優

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 いただいたサポートは取材や創作活動に役立てていきますので、よろしくお願いいたします……!!