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「ビックリするようなこと」

先日、ライヴ終了後の打ち上げの席でのこと。
となりのトトロの話題で、ちょいとおかしな事になった。
相当酔っ払っていたので、どういう話の流れだったかはよく覚えていないんだけれども。
まぁ、宴も酣(たけなわ)ってな状態である。

「中井君、トトロに出てくる○○ってさぁ…」
「え?あ、僕、その映画観たことないんですよ。」
「ええ~っ!」(全員)

ごく普通に言い放っただけなんだけれど一同騒然となった。
他の会話をしていた人もこの発言には耳を疑ったみたいで、急に僕が話の中心になった。

信じられないとか、今まで何をしていたのか?とか、日本国民じゃないよ、とまで言われた。
トトロの主題歌や挿入歌は仕事で演奏したことは何度もあるんだけれど。
とにかく観たこと無いものは仕方がない。
しかも観たことも無いのに、その内容はほとんど知っているという…。

年末に心斎橋の「そごう」で藤山寛美展なるものが催されていた。
僕は初日に足を運んだ。
しかし僕の周りで、誰かが行ったという話は聞かない。
ええ~っ!と僕一人が騒然としてみたところで空(むな)しい。
ウディ・アレンや三谷幸喜と同じ感覚で、好きなのに…。
ジブリ作品なら“となりの山田君”は何なら映画館まで観に行ったりしている。
どうだ、変だろう!

単純に、みんなが知っているものというのは僕にとってあまり重要じゃない。
しかも過剰に宣伝されているものなんかは余計に警戒してしまう。
日本は資本主義の国だから選択の自由は多い。
多いんだけれど、現実は資本主義ゆえに資本のある者による寡占(かせん)状態となっている。
独占状態になっていないのが資本主義だからといって自由競争ではないことの現れだ。
だから僕等がもう少し能動的に情報を収集しないと偏ってしまう。
雑誌やCMで宣伝にお金を掛けた映画だけが良い作品みたいに見える。
例えばハリウッド映画で本当に面白い作品ってほんの一握りじゃないか?
ただ生きているだけで手に取れる選択肢では十分じゃない気がする。
それは一方的に与えられたものでしかないから。

確かにトトロがそんなにメジャーなのかといえば、そりゃあ超メジャーである。
夢のある良い作品に違いない。
強烈な支持を受けるのはよく解る。
うん、いい。
ただ、だからって、皆で寄って集って給食費を盗んだ奴みたいに扱わなくっても…。
なんか思い出しただけでも笑えるなぁ。
それくらいビックリされることだったみたいだ。


さて、今週は<のマド>の東京ライヴです。
ネコバスに乗って“さつきとメイの家”に行くというよりも、ハトバスに乗って東京観光と行きましょう。
ま、僕は乗らないんですけれど。

#なごみの手帖   [ 2006年3月11日(土)HP更新 ]

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