「コーンスープの憤り」
日曜日よりも土曜日が好きだ。
文化祭当日よりも、準備期間の方が今でも記憶に残っている。
クリスマスよりもイヴが楽しい。
お正月よりも年末がいい。
年末は一年の中で土曜日みたいなものだから。
恋人になるより付き合うまでの過程が胸を熱くさせる。
その女の子との関係が平日化してゆくのが怖いのだ。
出来ることなら、いつまでも新鮮な気持ちでいたいから。
手に入れた幸せよりも、手に入る前のドキドキ感がたまらない。
まったくもって贅沢な話だけれども。
雨上がりよりも、今にも降りだしそうな曇り空が気持ち良いと思う。
これにはあまり共感されたことがないな。
雲や雨に包まれて抱きしめられている感じが安心できるのかもしれない。
雪なんか降ってくるとテンションが上がって仕方がない。
で、日曜日である。
そんな性格だから、日曜日の午後はちょっとだけ切なくなる。
日曜日も仕事の時が多いんだけれど、これはあまり関係ない。
オフじゃなくても、大人になっても、やはり日曜日が終わるのは寂しい。
なんなら朝ゴハンの時から午後の切なさを考えると憤りを覚える。
僕はこの感覚のことを「コーンスープの憤り」と呼んでいる。
何年か前に、そういう曲を作ったけれどあまり演奏していない。
音楽に寄り添っていると、人生が休日みたいなものだから。
僕等には似合わないかもしれないから。
#なごみの手帖 【 2005年12月10日 HP更新】
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