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受付嬢京子の日常

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「受付嬢 京子の日常」 1日に通る利用客は3万人。とある駅ビルに勤める原田京子は、この仕事について2年目の受付嬢。色の白さと大きな目が他の受付嬢と並んでいても目立つ、自分の売り…
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2021年2月の記事一覧

受付嬢京子の日常⑨~定義の違い

受付嬢京子の日常⑨~定義の違い

「ドライトマト売ってるお店はあるかしら?」

雑誌から飛び出してきたような女性がインフォメーションに現れる。受付嬢原田京子は隣に立つ沢木佳奈が応対しているのをさりげなく見守る。佳奈は、エキモの中にあるドライナッツのお店を紹介していた。訪ねてきた女性はTシャツなのに、全身が上品に見える。京子と佳奈が働くエキモは1日3万人が利用する施設だ。直結の駅は毎日12万人が利用する主要駅だ。利用客の振り幅が大き

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受付嬢京子の日常⑧

受付嬢京子の日常⑧

「おはようございます」

原田京子はエキモのスタッフスペースで挨拶される事が増えた。以前は素通りしていくだけだった飲食店の若いバイトまで挨拶してくる。京子は、エキモのインフォメーションで働いている。更衣室も違えば、インドメーションから離れた場所の店舗のスタッフは顔を知らないだろうと思う。スタッフスペースで挨拶を交わすようになると、営業スペースで顔を合わせても挨拶されるようになる。皆、以前から忙しそ

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受付嬢京子の日常⑦

受付嬢京子の日常⑦

声が出ない…。原田京子は職場のリーダー斎藤友美と食事をしている。少し前まで、流行りの歌の話をしていたはずだ。ワインをグラスで2杯。このあとカラオケに行こうと楽しい気分だったはずだ、と京子は自分の感情の変遷をたどる。

「…だからね、京子ちゃんが一番先輩ってことになるから。新しい子も入ってくるし、ちょっと大変だと思うんだけど…」

京子の様子に気づいていないように、友美は話し続けていた。京子達が働い

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受付嬢京子の日常⑥

受付嬢京子の日常⑥

「次の休みにカラー行きます」

不満げに片岡聖奈が言う。エキモで働き始めて3カ月。派遣会社に登録してすぐ、時給がいい、作業が少ない、と紹介されたと話を続ける。聖奈の性格がわかってきた、と原田京子は思っていた。2人が働いているのは、インフォメーションだ。主な作業は道案内。作業が少なく、人が来ない時は、退屈なぐらいだ。

「時給だいじだよね」

話を合わせていると、聖奈はどんどんしゃべる。派遣されてき

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受付嬢京子の日常⑤

受付嬢京子の日常⑤

「原田さん、今日時間あるかな」

インフォメーションのリーダーである斎藤友美がきゅっと口角を上げて笑う。正統派アイドルのような顔立ちだ、と声をかけられた原田京子は毎度、思う。京子達が働くのは、駅直結の商業施設だ。1日3万人の人が行き交う。インフォメーションはシフト制だ。友美との早番が久しぶりで、京子はほっとしていた。早番であれは夕方6時半には仕事が終わる。

「ココエにできたワインバー行ってみたか

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受付嬢京子の日常④

受付嬢京子の日常④

原田京子は、挨拶をしてくる猫のような顔の女を見て戸惑っていた。京子が働くのは、インフォメーション、つまり受付だ。派遣会社からは髪を暗く染めるように、とネイルやまつげエクステはしないようにと通達があった。派遣初日はインフォメーションではない場所で研修があった。リーダーだ。物腰は柔らかいが、言うことは全部言う、そんな斎藤友美の顔を思い出していた。

「それってなくないですかぁ」

猫顔の女の声がする。

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受付嬢京子の日常③

受付嬢京子の日常③

今日は何も起こらずに終わりそうだ。21時になるのを確認して、原田京子は日誌を取りだす。落とし物が2件、電話での落とし物の問い合わせが5件。クレームもなく、1日が終わると思うとほっとする。受付嬢として京子が働くエキモは人通りが多く、業務のほとんどが道案内だ。それでもクレームが立て込む日がある。そんな日は、同じ労働時間でも、疲れ方が全く違うのを、感じていた。

「チェック表取りに行ってくるね。」

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