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赤い瞳の聖なる獣

赤い瞳の聖なる獣

大人になるということは何かを絶望的に知ることだ、と、あの頃よく日記に書いていた。知ってしまえばもはや、私たちはどこにも行けない。その多感さゆえの混乱の中で私は、世の大人がしらけたようなつまらなそうな顔をしている理由を勝手にわかったような気になり、それよりずっと手前の場所にいながら、似たような顔をすることで生きることを誤魔化していたような気がする。

大学二年の夏、私はKと友人Mを通じて知り合った。

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