あおの音信

 今もどこにいるかはわからない。
 声を聴いたもの、思いを馳せたもの、数多くいた。けれど、それでいい。
 あなたにわたしの声がとどかなくても。


 星月夜の海、はるかな空で天馬がいなないた。
 しろがねの翼が風を呼んで、細波さざなみには砕いた宝石がまかれたよう。
 三万光年かなたの羽根が、みなもにおよいで透きとおった。
 光るかけらをあぶくが抱きしめて、そっと沈んでいく。
 てより遠い、海の底。
 アズライトのくらやみ。
 ゆっくりと、心搏しんぱくが波打っている。
 泳ぐおおきな影が、あぶくと交差した。

 そして鳴る、あぶくがはじける、呼ぶ声は透きとおる光。

「きみは どこかで げんきで いるのかな」


 今もどこにいるかはわからない。
 声が聴こえたけど、しらない歌だったけど、確かにいた。だから、それでいい。
 わたしにあなたの声がとどいたから。



2020/11/23 「52Hzのあなた。」「あおい水辺を泳いで。」

上記2つの診断の結果をヒントに

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