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賭博堕天録ガイジ マカオ編② ホテルチェックイン、そしてカジノへ

前回のあらすじ
マカオ競馬廃止を聞きつけた異常独身男性(26)は、単身マカオにやってきた。一体どうなっちゃうの~!?


1 英弱男、ホテルにチェックイン


世界遺産観光を終えた頃には17時を少し回り、投宿にはちょうどいい時間になりつつあった。

今回は、「ホテルリスボア」に宿泊した。
沢木耕太郎の名著「深夜特急」でも描かれるなど、その筋には有名なこの宿を選んだ理由は、おおむね二つある。
一つ目は、初の単身海外旅行ということで、ある程度安心のできる宿に泊まりたかったという単純な理由である。日本でなら西成だろうが東鳴子温泉だろうが泊まることができるが、海外でその手の安宿に泊まると何が起こるか分かったものではない。もう一つは、宿代が(比較的)安かったからだ。なんでそんな有名な宿なのに安いのか?と疑問に思われるかもしれないが、これにはマカオという土地の開発の歴史を知る必要がある。
マカオという地域は、マカオ半島地区、タイパ地区、コタイ地区、コロアン地区と大別することが出来る。やはり最初に発展したのはマカオ本島なのだが、近年はタイパ地区やコタイ地区のリゾート開発が急激に進んでいる。
お陰で、本島に位置するこの有名な宿は、やや人気が落ち、比較的安い価格で泊まれるようになったのである。楽天トラベルで引っかかる宿では一番安い。なお、楽天トラベル海外予約は予約成立すらしてくれないガチの中抜きサイトなので絶対に使わないほうがいいです。宿直とか、agodaとかをつかいましょう。Google翻訳を信じろ。

リスボアホテルの正門(?)入ったところ。
なんとも美しい
フロント横にはマカオのカジノ王、スタンレー・ホーが
金にものを言わせて集めたのであろう調度品が飾られている。
資本主義最高や!共産主義なんて最初からいらんかったんや!!

ここで少々自分語りをさせてほしい。ぼくは、学習障害(仮・未診断だが明らかに生活に支障をきたし、幼少期は様々な支援を受けていた)ゆえ、英語が壊滅的にできない。「英単語」のような、単純暗記するしかない要素が頭に極度に入りにくい。
フロントで日本語が通じるかは未知数である。いや、バブル期ならまだしも、現代の後進国ジャップランド語は通じない可能性が高い。英検三級落第のTOEIC300点代男(26)は当然身構えたが、コンビニで10パタカで買った青島ビールの勢いもあり、意を決してフロントに話しかけた。マカオはビールがとても安いのだ。
今旅行最大の山場だと思っていたのもあり、インターネットで想定問答集を読み込んでいたのは内緒である。

ぼく「ハロー。アイドライクトゥチェックイン、プリーズ」
フロント(上品なアジア人男性である)「OK。パスポートを見せてください(ネイティブではないが文法的にコレクトっぽい英語)」
ぼく「マイネーミズ〇〇(んなこた聞かれてない)、ヒアユーアー」

無様な発音でガバグリッシュを繰り出しつつもなんとか意思疎通が叶い、チェックインを完遂することが出来た。
「こいつ英語が出来ないな」と確信されたのか、「〇〇サン(日本語)」「Wi-Fi、フリーパスワード。OK?」など、噛み砕いた表現で大変優しい対応をしていただいた。接客で舌打ちは当たり前、物を返すときに平気で放り投げてくるこの国でのこの対応、まさにプロの仕事である。オモテナシは日本の専売特許ではないんだよ、滝川。
ちなみに、今旅行でぼくは3回「お前英語全然できないな。さてはジャップだな?」とでも言いたげな対応をされている。香港外港ターミナルでは狼狽する姿を見かねられ「モウダイジョウブデス」と日本語で声をかけられたし、香港の沙田競馬場では、係員に必死に英語で質問したところ、一切名乗っていないのに「ジャパニーズ」と断言され、「TAXI」の発言を笑われた。日本人、マジで危機感持ったほうがいいって。

カードキーを受け取り、15階の部屋に向かった。

独りで泊まるにはもったいない部屋
窓からの景色
ちょうどバスターミナルを見下ろす位置にあり。人々の大移動を見ることが出来る
トイレ・バスルームもピカピカ
洗面台にあるグッズも全てリスボアデザイン!裁縫セットまであるぞ。

そこは楽園であった。
西成のドヤより大きいベッド、オールリスボアデザインのアメニティ、ガラス戸でシャットアウトできるバスルーム、冷蔵庫に完備された無料のソフトドリンクなど、日本国内の宿でここまでの厚遇を受けたことはなかった。コンセントも一つは世界共通型タイプとUSBポートがあり、変換機がなくてもなんとか凌ぐことができるようになっているのもうれしい。
普段は国内のドヤやカプセルホテルで惨めに過ごしている自分にとって、感動的な体験であった。つい一か月前には、西成のパークインの暖房がない部屋で毛布を被って震えていたことを思えば、隔世の感があった。円安もあり二泊素泊まりで4万円ほどしたが、けして高くはないと思えた。

シャワーを浴びて風呂に入り、無料の冷蔵庫内ミニバーのコーラと紅茶をご満悦で飲み寛いだのち、まずは夕食を食べに外に出ることとした。

2 夕食

夕食は当初ポルトガル料理を食べる予定だったが、ガイドブックで調べていた店に行列ができており、諦めたぼくは、徘徊中に気になっていた店に向かった。聖ポール天主堂跡のふもとにある「榮記牛雑」である。

帰国後調べたらチェーン店らしい
冷蔵でもなさそうなケースに、いろいろな部位が並べられている。
衛生的にどうなのかはともかく、これぞいかにもアジアである
内臓から牛タンまで色々混ぜこまれた牛煮込み、100マカオパタカ也

このとき、店員から一度シカトされた動揺のあまり「ディスひゃくマカオパタカメニュープリーズ!」と母国語を混ぜてしまい、当然伝わらなかったが手に持った100マカオパタカ紙幣を見て察してくれた。ウレシイウレシイ…
日本円換算で2000円と結構いい値段がしたが、ボリューム抜群で夕食これだけで済ませられたのでヨシ!!

3 カジノでの病的な興奮 スロットと大小

お腹も満たしたところで、いよいよカジノである。
最初は「グランドリスボア」のカジノに挑戦。
なお、カジノ内は撮影禁止ゆえ、写真はない。あしからずご了承ください。

グランドリスボア(縦)
グランドリスボア(横)
この時間にはもう煌々とネオンが灯っていた

カジノ内には、大小、バカラ、ブラックジャック、ルーレット、スロットマシーンといった遊戯があった。

藤子不二雄Aの短編漫画「マカオの男」には「運試しとして、まずは誰でもできるスロットをやってみてはいかがです?」というようなセリフがある。
ぼくは偉大なる賽原さんの金言に従い、スロットマシーンに500香港ドル紙幣を投入。10分で全て溶かすという最高のスタートを切ったのである。

スロットには早々に見切りをつけ、次は大小に挑戦。
3つのサイコロを振り、出た目の合計が小(10以下)か、(11以上)かを当てる遊戯である。他に数字やサイコロの出目を当てるマスもある。また、3つのW数字がゾロ目の場合のみ、ディーラーの総取りとなる。
単純なゲームながら「三回大が続いたから流石に小来るやろ!」「また大でしたーwwww」というような駆け引きや、「このオッサンついてるから丸乗りしたろ」「こいつに逆張りしたろ」というような客同士の無言の心理戦が発生し、なかなか脳汁が出るのだ。途中で物凄い美人に丸乗りされだし、そこからテンで当たらなくなったときは殴られるんじゃないかと不安になった。

カジノのチップ

一番安い卓でもミニマム300香港ドル(おおよそ6000円)という高さに金銭感覚を壊されつつも一進一退の攻防を繰り広げたが、-1900香港ドルのところで戦略的撤退。二日目夜に3時間越えの大激戦をすることになるので、詳しい勝負描写や総括はそこで改めてさせていただきたい。
途中で無料の給仕コーナーのおばさんに「コーヒープリーズ」とお願いしたら「何言ってんのお前?これはカーヒーなんだが笑」みたいなことを言われ、嘲笑された。馬鹿にしやがってよ。

クールダウンに冷やかしたグランドエンペラーホテル
カジノは全て機械仕掛けのエコ仕様。それはそれでいいよね
グランドエンペラーホテル前の馬車
夜食としてホットドッグと青島ビールを路上で食べる浮浪者
パサパサのパンにフニャフニャのソーセージで美味しくなかった

23時頃自室に帰還し、シャワーを浴びて就寝。
自律神経の乱れと不眠症のダブルパンチで最近はまともに眠れていない自分にとって、久しぶりの心地よい眠りだった。

次回二日目、タイパ市街観光と、マカオ競馬葬式旅打ち編。


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