見出し画像

Part3: 世界で最も緑なフットボールクラブ

学び:スポーツの価値『つなぐ』。会社のビジョンをより多くの人に知ってもらうためにスポーツを使うこと。1人ではできないことをパートナーと共に成し遂げようとすること。

気づき:クラブから地域に歩み寄る活動をすることが、地域と上手く関係を築き、そこに根付いたクラブになるカギであること。

今回は、最も地球に優しいフットボールクラブのパートナーについて紹介していこうと思います。

*貼られているリンクは全て英語表記です。

フォレストグリーン・ローヴァーズFC

フォレストグリーン・ローヴァーズFC(以下:ローヴァーズ)は、Football League2に所属しているイングランドの小さなフットボールクラブです。よくイングランドプレミアリーグに目が行きがちですが、このクラブの目立つ活動は、ピッチ外の活動にあります。

2010年より、全てのクラブ活動を通じて使われるエネルギーを自然エネルギーにし、地球温暖化問題解決に取り組んできました。そして、FIFA(国際サッカー連盟)から、”世界で最も緑なフットボールクラブ”と呼ばれてきました。また、2018年ローヴァーズは『二酸化炭素排出を抑えた地球に優しいフットボールクラブ』としてUN(国際連合)によって公認されました。

では、スポンサーを見ていきます。

Ecotricity

2010年にEcotricityはローヴァーズのメインスポンサーになり、ローヴァーズのクラブ活動方針の方向性を劇的に変えました。

Ecotricityは全てのオペレーションにおけるカーボンフットプリントを把握している唯一のイギリスのエネルギー会社です。最大の特徴は100%自然から得た電気を供給する点にあります。また、Ecotricityは動物の生態系を一切崩すことなく電気を提供している唯一の会社として、ヴィーガン・ソサイティに登録されいます。

Ecotricityはスポーツも持続可能であるべきものと考えており、新たな回路として『環境に優しい持続可能な活動』をスポーツファンに伝えていく狙いがあるようです。

EESI Group Services

EESIはローヴァーズのスタジアムスポンサーです。電気設備や火災・セキュリティシステム、空調機器、温熱・換気装置、データケーブルネットワーク、技術実験面を24時間サポートしています。

この会社そのものは1994年に設立され、今年で25周年を迎えた建物の電気やメカニック面をデザインから取り付け、メンテナンス、マネジメントまでを専門に行なっている会社です。

Grundon

Grundonは、ローヴァーズのアンバサダー事業計画のスポンサーです。アンバサダー事業では、毎年50校から80名の子供たちをアンバサダーチームとして受け入れ、ピッチ内外の活動を多くの人々へ広めてもらっています。目的はクラブと地元地域・学校とのつながりを持ち、関係を築き、保っていくためです。

アンバサダーチームに入った子供たちはどのように持続可能性が機能するのか・どのように選手が生活しているのか・クラブの価値観をスタジアムで実際に学び、その経験を彼らの友達や家族、先生に伝えます。

(Forest Green Rovers FC: Webより)

この事業には3つの要素があります。

1、地元学校でアンバサダーの受け入れ:アンバサダーはローヴァーズのユニホームを着て、試合情報や試合での経験を書き、クラスメイトに共有します。

2、選手訪問:アンバサダー1人ひとりがローヴァーズの選手を学校に招くことができます。そこで選手が彼らのキャリア、ロールモデル(お手本)や一生懸命やることの大切さを話します。

3、表彰:シーズン終わりに、アンバサダーの達成したことにフィードバックをあげ、彼らの努力と行なったことに対して讃えます。

クラブが地域に根付いているのは、こういった活動があってのことなんだと改めて感心しました。幼少期の経験は大人になった時の行動指針のベースになるので、地域とクラブの関係を築く上で大切な活動だと個人的に感じました。

Quorn

2015年よりQuornとのパートナー契約がスタートし、ヴィーガンメニューにQuornの材料が取り入れられました。Quornはローヴァーズが世界で初めてヴィーガンフットボールクラブになるのに大きな役割を果たしました。

Quornがマッチデーの食材提供を行う代わりにクラブがヴィーガンの良さをメッセージとして発信していく形をとっており、ローヴァーズがヴィーガンクラブになって以来、20億もの人々にメッセージが届いているようです。

この会社は、ヴィーガンメニューの幅を広げることに貢献しており、健康的なタンパク質を作り、赤身肉の代替を図っています。Quornがこれを可能にしているのは、『マイコプロテイン』という真菌タンパク質とも呼ばれる単細胞タンパク質の一種を用いて食品を作っているからです。

あまり深く触れませんが、アメリカのFood and Drugs Administration はマイコプロテインを用いた食品を安全なものとして認定しています。しかし、マイコプロテインにアレルギー反応が出るケースがあることがわかっています。

実際にペニシリンアレルギーを持つ自分の友達が、Quornの食品を食べることができないと言っていました。

Sea Shepherd

Sea Shepherdは、世界的な海洋野生生物の非営利保護団体です。この団体のミッションは海の生態系と種の保護を目的として、世界中の海における海洋野生生物の大量虐殺や彼らの生息環境破壊を止めることです。

ホーム・アウェイのユニホームの背中側にロゴが入っています(下:アウェイ用のユニホーム)

(Forest Green Rovers FC:Webより)

ユニホームに関して、素材の50%が竹繊維になっており、プラスチックの使用を最小限にしています。最終目標は100%持続可能な自然素材で作成するとのことです。

innocent

innocentはスーパーマーケット、コーヒーショップなど様々な場所で売られているスムージーとジュースを販売している会社です。ローヴァーズのヴィーガン思考、地球に優しい持続可能な活動に共感し、パートナーになっています。

2020年10月16日にツイッター上で、ローヴァーズの本拠地であるThe New Lawn スタジアムが新たにThe innocent New Lawn スタジアムに名前が変更したことを発表しました。

最新情報

プレーヤーと個人契約が結べるようになったと、2020年8月21日に発表されました。→こちらから

最後に

今回は、フォレストグリーン・ローヴァーズFCのビジネスパートナーについて触れました。様々な会社と共に地球環境問題に取り組んでいることがわかりました。

個人的には、会社と人々の間にスポーツを入れることで、会社がそのビジョンや活動をより多くの人々に効果的に届けることができているのかなと感じます。また、パートナーと協力をしてクラブ側が地元地域や学校に歩み寄る活動を行うことによって、その地域に根付いたクラブとして活動していることがよくわかります。

『つなぐ』というスポーツの価値を垣間見れたと思います。

有名クラブのアジア戦略のような大規模なものに目が行きがちでしたが、こういった具体的に小さな活動を学べたことは自分にとって大きな勉強になりました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

Reference

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?