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嫌いな相手に対してどのように働きかけるとよいか

仕事で組織にかかわると、上司や会社への不満をお聞きすることがあります。

組織では、意に添わなくても従わなければいけないという構図がありますので、ほとんどの方は、程度の差はあれ、どこかで自分の気持ちを表に出せずに我慢したり、諦めたりと折り合いをつけて仕事をしている部分があるのではないでしょうか。

ボスマネジメントという言葉もありますが、部下であるメンバーの方から、
上司に対して積極的に働きかけ、自分の要望をある程度は叶えていけるように動くあり方やスキルを身につけられたら、長い仕事人生の中で役に立つように思います。

ただ、組織の中で役職がなく、ポジションパワーがない人ほど、ハードルが高いのは間違いありません。

よく見るのは、上司に対する負の感情が大きくなってしまい、相手のことを考えること自体が嫌になってしまっているケースです。この場合、相手に働きかける糸口を見つけることができないので、状況の改善はますます見込めなくなってしまいます。

その意味で、改善に向けた第一歩は、まず今の状況を整理してみることでは
ないでしょうか。

相手と今どんな関係性にあるのかを一緒に考えていくと、たいていは、ストレスなので考えないように距離をとる、あるいは、相手のひどいふるまいを
否定したい、改善させたいと攻撃的になっている。この、いずれかの態度をとってしまい、相手と建設的に話をしたり、状況を変える効果的な働きかけができなくなってしまっていることに気づきます。

まずは、自分の負の感情を認めつつも、今のパターンを繰り返していても
うまくいかず、自分にとってメリットがないということに気づくことが大切です。

次に、相手の要望を知ることをお勧めしています。

いったん相手のことを考えたくもないという自分の感情を脇において、そもそも普段、相手は何を優先しているのか。どんなことを自分に要求しているかを考えてみていただいています。

たとえば「ミスなく生産性を上げたい」「組織の規律を守りたい」など、その人の言動の背景にどんな価値基準、判断基準を重視しているかを探ります。相手の言動を冷静に観察して分析できてくると、どんな要望なら交渉の余地があるのかが見えてくることがあります。

その上で、自分と相手の共通の目的を考えてもらいます。

自分も相手も”それはOK”と握れることはなんでしょうか。
たとえば、生産性を上げたいということに対してはお互い異論はない。
そこが確認できれば、そのために何が必要かということをすり合わせていくことがテーマになるかもしれません。共通の目的を相手と握れると、状況を改善できる可能性があります。

最後に、相手に対してタイミングをみて率直な対話をしていくことです。
ここがもっとも難しく、かつ成功するかどうか確証はできないものになります。

フィードバックやアサーションのスキルを学んでいただき、相手を責めるのではなく建設的に主張できれば、可能性が開ける確率が上がっていきます。

いずれにせよ、これは本当に勇気のいることだと思います。やらないという選択をし、日々をやりすごすこともできます。それが必要なこともあります。

ただ、そんな中で、どうしてもこれは伝えるべきだ、これを伝えていくことが自分にとって重要なんだと確認されたら、覚悟を決めて行動される方もいらっしゃいます。

もちろん大きなことでなくて、小さな一歩からだと思いますし、一度でなんとかするというより粘り強い働きかけが必要なものだとも思います。

実は、つい先日も、ある方が勇気ある主張をされ、関係性が変わる瞬間に立ち会うことがありました。

その方のリーダーシップが素晴らしく、勇気づけられたので、今回はこの内容を書くことにしました。

また来月もよろしくお願いいたします。

2024/6/30 VOL162                             sakaguchi yuto

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