Creepy Nutsのライブに言って思ったこと、というかR指定のすごさについて。

先日Creepy Nutsのライブに行ってきました。2020年初のライブ&帰国後初のライブでした。実際留学中はライブ行けない事のフラストレーションがすごかったので、めちゃめちゃ楽しかったです。

普段はロックバンドのライブしかいかないので、ラッパー+DJの組み合わせはどんなもんだろう、と思っていたのですが、杞憂でした。めちゃめちゃ盛り上がるし楽しい。バラエティ番組で何度か拝見していた聖徳太子ラップを今回はライブの客からランダムに選んだ、なんと8単語でフリースタイルしていました。そこからラッパーとしての矜持を感じる事ができたし、曲作りもきちんとやって、ライブもしっかりやっていきたいとしう意思表示も見れて、ただ売れてメディア露出が増えたっていうわけではなくて、それに裏打ちされるだけの技量と熱量がある事を(そもそも疑ってないですけど)ライブの中で感じる事ができました。日本一のラッパーと世界一のDJの組み合わせのコンビっていう肩書きは伊達じゃなかったなと思いました。意外だったのは男女比が自分の見た限りだと半々くらいで比較的若い20代くらいの人が多い印象を受けました。ここにはいわゆる「ヒップホップ」に付随するイメージが裏切られた気がして、男が多くてもう少し年齢層が高いという印象があったんですけど、全くそんなことなかったです。(このイメージ自体が古いのかも?)彼らがそれだけ世間の一番流行に敏感な層に受けている理由を少し分析してみたいと思います。

彼らの楽曲の何よりの魅力はその「キャッチーさ」だと思います。PVも含めて一度みると、聞くと引き込まれるような、抜群の引き込む力があって、何回も聞いてみたくなるような仕掛けが随所になされています。ラップの曲って聞くのが難しい、何度か聞いてようやく「あ、こここれを言ってたのか」ってなることが少なくないですが、Creepyの場合初見、初聴の段階でかなり聞き取りやすい気がします。そこはR-指定の声質がかなりあると思っていて、声がとてもクリアで聞き取りやすい、そしてサビパートがきっちりある場合が多く、一緒に歌いたくなるようなキャッチーさです。そうなるのは、純粋にR-指定の歌唱力の高さもあると思います。歌唱の部分においても一流であれば、それはもういろんな人に届くという事ですよね。

そして何よりもCreepy Nutsの魅力となっているのはリリックですよね。これを抜きには語れるはずもなく、彼の卓越したセンスから繰り出されるラップは聴衆に頑張って覚えて歌えるようになりたい!と思わせてくれるような、口を動かした時の心地よさを感じることができます。これによって僕自身覚えようと思って聞いていたわけではないけど、何回もリピートしているうちに気がついたら歌えるようになっていた曲が何曲もあります。そして個人的に彼を唯一たらしめているものとしては「ユーモア」があると思います。例えば「紙様」という曲では

No, no プラダ / Noフェンディ/  No エルメス/ Noグッチ ヒデー男と言われても仕方ない。/ 一応それなりに頑張っちゃいるが / こりゃちょっとした行(ゆ)き違いいうてねぇ。

ブランドを連呼するっていうのは銀杏BOYZの「援助交際」でもあったことなんですけど、これはただ連呼しているのではなく、通して曲を聞くと『Noグッチヒデー男(野口英夫)』、『一応(樋口「一葉」)』、『行き違い(福澤)「諭吉」』ということでお札の肖像の人物が並べられているんですね。ここに気がついたときのうおおおっていう感動。「紙様」とはまさにお金(曲全体を通してお金の事を歌っている)そこにお札の人物をしれっと混ぜ込むセンス。ブランド連呼もまさにお金、富の象徴だから、その発想力たるや、脱帽です。

もう一つ「助演男優賞」という曲から。助演男優賞っていうことで、歌詞の中には「six man」(バスケットボールのスタメンは5人なので、控えメンバーのこと)という歌詞が出てくるんですけど

しかも決勝点3ポイント / 田岡が見逃した不安要素

多分この歌詞だけだと何を言ってるのかっていう話なんですけど、国民的バスケットボール漫画「SLAM DUNK」の登場人物で主人公の属する湘北高校がインターハイをかけライバル校の陵南高校と戦うシーンがあります。その試合を決定付けたのが、湘北高校のシックスマンである木暮くんなんですよ。それでこの田岡が誰なのかっていうと陵南高校の監督田岡茂一っていうキャラで、この人は対戦相手の湘北の不安要素っていうのをいくつか(たしか三つ)分析の上列挙していてその不安要素からは完全にノーマークだった湘北のシックスマン木暮のスリーポイントで敗北するわけです。これが「田岡が見逃した不安要素」なんですけど、この一言でSLAM DUNK読者であれば「あぁ、あれね。」って思わずニヤッとしてしまうリリックになるわけです。多分凡人であれば木暮くんをメガネくんとかそんな形容しかしないはずなんですが、木暮くん=「田岡が見逃した不安要素」って例えるこのセンス。すごすぎる。

他にも『助演男優賞』では「蕎麦屋のカツ丼」「牛丼屋のカレー」「バナナワニ園のレッサーパンダ」など主役ではないにせよ、意外といい活躍をしてる(蕎麦屋のカツ丼本当に美味しいですよね。牛丼屋のカレーも)ものを挙げていって、「ダークナイトでいえばジョーカー」(「ダークナイト」という映画においてはバットマンよりも圧倒的にジョーカー役のヒースレジャーが話題)「ブラックレイン松田優作」そして最後に「ロックフェスでのCreepy Nuts」とまとめあげます。ロックフェスではそれはロックバンドしかいないですが、ラッパー&DJのロックフェスでは異色の組み合わせでもしっかり戦える「時として主役を喰っちまう」んですよ。すごい。この後の「明るい未来」から「森山未來」を連想して「モテキ」「苦役列車」を連想していく。いや本当にすごい。マジカルバナナとかやったら多分誰も勝てないんじゃないでしょうか。

とまぁこんな感じでリリックの中に含まれるユーモアについて例示していきました。他にもたくさんありますけど、このユーモアがあるからこそCreepy Nutsの明るさにつながっている気がします。R指定の天才っぷりには本当に脱帽です。昨日のMCを聞いていて思ったのは韻を踏まずにはいられない、あのお笑いモンスターこと明石家さんまがずっと話していないと落ち着かないみたいな、そんな境地にいるような気がしました。本当の一流にしかわからない到達できない領域だと思います。そんあR指定とDJ松永のこれからの活躍が本当に楽しみです。一体どんな曲で我々を驚ろかし続けてくれるんでしょうか!!!

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