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第6回BBC読書会 三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

昨日は第6回目となるBUZO BOOK CLUBの読書会を開催しました。
課題本は今大ヒット中の新書、三宅香帆著『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(通称なぜはた)です。
参加者は店主含め8名。久しぶりにテーブルがぎゅうぎゅうとなる人数で注目度の高さが感じられました。

本のテーマとしてはタイトルの通りですが、「働きながら本を読むにはどうしたらいいの?」という悩みに対するハウツー的回答は最終章で述べるに止められ、労働と読書の関係の歴史について紙面を割かれているのが特徴です。

みなさんから出た感想は以下のようなものでした。

「本や読書に対する愛情が感じられ、著者自身が読書で人生を豊かにしてきた人なんだろうなと感じられた」
「たびたび言及されている『花束みたいな恋をした』も観てみた。この映画をみたことでよりいろんな考えが生まれた」
「社会における立身出世のマインドやあくまで社会人の一形態について述べている」
「読書術のようなハウツーじゃなくて、読書という習慣がどうやって根付いたのかについてがメイン。あとがき部分をクローズアップしても売れただろうけどそうしなかったことによって面白い本になっていると感じた」
「世の中にかきたてられるのはやめて自分を見つめ直しましょうというメッセージを受け取った」
「今まで読んできた本がつながってなるほどな〜と思った」
「なんでこういう社会になっているのかがわかった気がする」

などの意見が出ました。

また、
「自分自身は働きながら本が読めなくなったことはないが、他人の読書との付き合い方を知りたいと思った。一般的な読書との付き合い方がわかり、視点が広がった」
といった意見もありました。このように、「働きながらでも本が読める」「仕事のせいで本が読めなくなった」という人がちょうど半々の割合でいました。

それぞれの意見はこのようなものでした。

・働いて本が読めなくなったことがある
「仕事に関係ある本しか読めなくなる」
「本を読んで感情が動かされてしまう=ストレス。社会に適合するうえでは感情をコントロールしないといけない」
「本に関係ある仕事をしていたので本=仕事になっていた」

・働いていても本が読める
「この本に出てくるような典型的なサラリーマンだったが通勤電車で本を読んでいた。仕事とプライベートの切り替えやストレス発散になる」
「不安があると自己啓発書に手を出すが読んでも何も残らないことが多い。本書に出てくる言葉でいうと”ノイズ”になりきらない。自己啓発=自分中心だと思う」
「本は自分にとってクスリみたいなもの。現実を忘れさせてくれる」

本書内でも言及されていたり参加者からも「仕事に関係ある本しか読めない」という意見が出ました。これについても「仕事に関係ある本を読める」「読むのが苦痛」という意見それぞれがありました。このことについて詳しく聞いてみたところ、
「読まないといけないという義務になってしまうと辛い」
「マインドを切り替えることで苦痛じゃなく自分への投資につながる」
という意見が出ました。

また、本書に対する批判的な意見として
「総論としては納得できるけど細かくみていくとツッコミどころがある」
「江戸〜明治の読書人については調べが甘いところがある」
などの意見が出ましたが、おおむね新書としてよくまとまっているという声が聞かれました。
特に後半になるにつれて「半身で働く」「ノイズを受容する」「自己実現と仕事の結びつき」などの興味深いテーマで次々に畳み掛けてくるのでこれらのテーマについて深堀りした次回作が書かれるのが楽しみという期待感を持たれている人が多かったです。

一通り色んなトピックについて話し、最後にあらためて他の人の意見を聞いたあとにどう感じたのかを話してもらいました。
「これからは”私の時代”から”私たちの時代”になっていく。つまり本書で言われているような半身社会になっていくのでは。そうじゃないと社会が限界。ちょっと周りを見渡して一緒にやりませんか?と声をかけられる社会になっていってもいいんじゃないかと思った」
「一冊の本をみんなで読んだ読書会にはじめて参加した。他の人の意見を聞いてもう一度読んでみたいと思った」
「世代によって見方が変わるのが面白かった。見方が広がるのが読書会のいいところ」
「自分の大事にしていることをぐしゃっと潰すようなことはしたくないと思った」
「思ったことを口に出すことでそれが改めてインプットになると気付いた」
「本にも良し悪し、情報の深度の違いがあるので本が必ずしも優位にあるわけではない」

などの意見が出ました。
本×労働という参加者全員に身近なテーマの本なだけあっていろいろな意見がありました。また、参加者の世代もバラバラだったので世代によって異なる意見が出るのも読書会の題材として語りがいのある本だったと感じました。

時間内に記念撮影するの忘れていたので店内に残っていた人だけで撮りました…

話題が一段落したあとは次回の読書会について決めました。
課題本:『異端の祝祭』(芦花公園)
日時:8/24(土)18時〜
場所:ゆとぴやぶっくす

次回読書会の内容決定

久しぶりの店主推薦本、久しぶりのフィクションに決まりました。夏らしくホラーをみんなで読みたいと思います!
BBC読書会も回数を重ねて、ジェンダー・年齢のバランスよく、多様な人が集まる小さなコミュニティとして理想的な形になってきていると感じます。
次回からは定員は7名までとなります。参加希望の方はお早めにエントリーお願いします。

お申し込みは下記ページから

また、読書会延長戦の掲示板もあります。語り足りないという人、読んだけど参加できなかった人などはこちらから書き込みどうぞ。過去の課題本についての書き込みも歓迎です。
※有料メンバーシップ内掲示板となります


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