読書感想文『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』
2022.3
現代版深夜特急といったところ。
「明日死ぬとしたら、生き方が変わるのですか? あなたの今はの生き方はどれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
私たちは常に、未来があることを前提において生きているなと思う。
また明日行けばいい、また来年できるから大丈夫、またね…
その保証はどこにあるのだろうか。その日暮らしをした方がいいという話ではない。
卒業旅行でウラジオストクに行こうと思っていたが、飛行機で2時間くらいのところいつだって行けるからねと言って先延ばしにした。そのあと、世界が鎖国になり、国際情勢が悪化して、もう二度といけないのかと思う。
思い立ったが吉日、は本当で、自分も他人も世界も、全部が普遍であることはない。
「明日もまだ行ったことのないところに行ける」
というのが旅の醍醐味かもしれない。
まだ知らないところに行って、知らないものを食べて、知らないものを見て、知らない経験をできる。
経験は形には残らないけど、確実に心の栄養になっている。
「まだ行ったことのないところに行ける」ということが楽しみならば、「旅」の距離は伴わないと思う。それが宇宙だろうが国内だろうが近所だろうが、ワクワクしたら旅。
旅先で出会った人たち、もう一度再会することはほとんどないけど、記憶の中にいつまでも残る。
ドミトリーで出会った名前も知らない日本人と一緒にゲルに泊まった思い出、道端でたまたま会った同い年の人たちと別の日もカフェに集合して日がらダラダラしていたこと。
いつまでも大切な思い出として残る。
普段の自分での生活圏では出会わないような人たちも多いので、新しいことをたくさん知れる。
もう会うことはないかもしれないが、ずっと元気にしていて欲しいと思う。
世の中がずるい世界だということはわかっているけど、自分が損することにも得することにも賛成できない。みんなが平等で幸せでいて欲しい、と思う。そんなことはできないなんてわかっているのに、そんなことにはならないでくれ、と思う。
でも自分の周りだけでも幸せになっていてくれとも思って、勝手だな。
無い物ねだりをしてしまう。刺激が欲しいのか。
私は会社の犬よりもベトナムの路上で寝ている犬になりたいよ。
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