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映画「ウォッチメン」をNetflixで見ました。ヒーローが歴史に大きく絡んだif物語。

覆面着用者の自警行為を禁止するキーン条例が制定され、いわゆるヒーローが活躍できなくなった世界のヒーローたちを描いている。

世界情勢がアメリカとソ連核戦争が始まる寸前である80年代。物語はヒーローの一員である「コメディアン」が謀殺される場面から始まり、同僚であったヒーロー「ロールシャッハ」がその殺人事件を追う形で進む。ところどころで各ヒーローたちの過去と、ヒーローたちがアメリカの歴史の中でどう関わってきたかが語られる。元ヒーローである「エイドリアン」の暗殺未遂。「ロールシャッハ」は罠にはまり投獄される。元ヒーローであり恋人同士である「Dr.マンハッタン(事故により超常の力を手に入れ、体が青い)」と「ローリー」の別れ。ローリーと元ヒーローである「ダニエル」の恋と、条例を破り火災から人々を救い、ロールシャッハの脱獄を手伝う。最終的には、元ヒーローのひとりであるエイドリアンがコメディアン殺害の首謀者であり、彼が世界の仲違いを無くすために共通の敵(Dr.マンハッタンの力と疑われる兵器で一都市を壊してしまう)を作ることを計画していたことがわかる。Dr.マンハッタンはそのことを納得し、この事実を告発しようとするロールシャッハを殺害する。

「コメディアン殺害の謎」を引っ張る力で、前半は見せていく。間、間にヒーローたちの過去が挟まれるのだが、ヒーローたちそんなに格好良くないし(最初は主にコメディアンの過去が語られ、この男が人間的に低劣で魅力がない)、派手な場面もない、見る人にとっては退屈かもしれない。「殺害の謎」と「ヒーローたちが何かやってくれるという期待」「ヒーローの歴史や、個々のヒーローたちのことを知りたい」という感情で私は見ていた。

「ロールシャッハ記」という、後の記録からの抜粋から映像では難しい説明的なことを語り、上手いこと時間を短縮している。ヒーローは第一世代と第二世代といて、第一世代の人たちは本当に断片的な映像だけで見せていく、第二世代にはエピソードがある。コメディアン(彼だけ第一世代、第二世代両方にいる)のヒーローらしくないところや、Dr.マンハッタン誕生の場面、ローリーの過去(ローリーはローリーの母とコメディアンの不倫の子らしい。しかも、不倫する前にコメディアンはローリーの母を未遂に終わるが襲おうとしている。複雑で考えさせられるが、こういうところから人物が立ち上がる。ローリーの母にとっては、苦い思い出はあるが後悔はないらしい。何で、そういう気持ちなのだろうと見ている人に考えさせることが、良いのかもしれない。その理由は最後にローリーが生まれたから、と語られる)、ロールシャッハが最初に捜査した事件(このエピソードから彼の性格が垣間見えた。人物を立ち上げる方法として、行動から性格を見せ、劇中のその人物の次の行動を期待させるという方法もあるなと思った。この場面は物語の中盤で語られる。前半もロールシャッハの捜査が中心に描かれているけど、何考えているかわからなかったからね。素顔も見えないし)、が語られ、ダニエルはコメディアンとの絡みの中から優柔不断(エイドリアンの場合は、ロールシャッハと違い具体的なエピソードはなかったが、現代での描写の中の行動だけで優柔不断さが伝わった。優柔不断というということについても思い出すと、「何でそう思ったんだ」と考えてしまう。役者さんの演技が良かったのだろうと思う)さが見られ多少の人物描写はあるが、エイドリアンついては中心的なエピソードはなかった気がする(他の人のエピソードのなかで、出てはくるが。彼のことを描いてしまうと、ラストの行動が想像ついてしまうかもらかもしれない)。ちなみにDr.マンハッタン以外、強さの理由が語られていない。

始まりからコメディアンとエイドリアン(最初場面からは誰かわからない)の戦闘描写から始まり、惹きつけられる(どっちが物語の主人公側かわからなかったから、ただアクションを見せられているだけで、どっちを応援していいかわからなかったけど)。

ローリーとDr.マンハッタンの別れは緊張感持って見られた。ローリーとダニエルの関係性についても、途中で結局ローリーはDr.マンハッタンと火星に行っちゃったり(Dr.マンハッタンはテレポートできる)、「どうなるんだ」という気持ちで見られた。あと、Dr.マンハッタンは何を考えているだろうと想像させられるのも見る力になっていた(特に自分のせいで関係していた人間が癌になっていったと知ってから。のちにエイドリアンの計画だったとわかる)。捕まったロールシャッハの監獄での行動も「どうなるんだ」と思わせる。登場人物が多く、中心となる人物がいないので、誰を中心として見に行けばいいのかわからないので、意識が分散され物語を追いにくくもある。一応、最初はロールシャッハが中心ぽいけど、彼の心中は物語の前半ではよくわからないので、彼を中心に見ていけばいいとは思えない。

アクションも楽しく見られた。ロールシャッハの罠に嵌められ捕まるまでの行動や、ロールシャッハの脱獄を手伝うローリーとダニエル。チンピラと戦うローリーとダニエルの場面もあったね。この場面から「普通の格好でも強いんだ」と思ったし、「この人たちは一般の人たちよりほんの少しだけ身体能力が強いんだな」という、強さのレベルもわかった。最後のエイドリアンとの戦いは、「もう少し派手でもいいんじゃない」とも感じたけどね。素手の殴り合いで、しかもダニエルとロールシャッハはエイドリアンを追い込むこともできない。ビームとか出せないから仕方ないか……。エイドリアンがDr.マンハッタンの圧倒的な力に簡単に負けるのもどうかと思った。実はエイドリアンは悪のためでなく、世界を平和に導くために非人道的な行動をしていた、というオチがなかったら、悪役が簡単に分ける展開だと面白くないのよね。

エイドリアンが何かを計画していることを語ったりと、何か「こういうことが起きそうだ」という予感をかき立てるような描写は劇中にない。これを語ったら、ミステリーからサスペンスになってしまうね。この物語はミステリー寄りだね(サスペンス的の方が、物語の方向性がわかるので緊張感を持続して見られるので、画面に引きつける力強くなるような気がする。ミステリーと私はいっているがこの物語では、段々と謎が解かれるわけではないので、方向性が見えてこない。多数のヒーローの過去を見せて興味を沸かせ、人物を追わせて見せている。それはヒーローという枠組みが設定されているから、最初の興味が湧くのである。後々には人物本来の魅力がなければ、見せる力にはならないだろうと思う。ヒーローという前提知識がなければ物語を追うのは退屈かもしれない。多数のヒーロー映画があるから成り立つ物語でもある。上映当時はアベンジャーズシリーズもまだ初期だから、アメリカコミックへの知識があまりないだろう日本の人には退屈に感じたかもしれない。そう考えるとメタ物語だね)。謎と同時に各ヒーローの過去も語られ、時間軸が色々飛んでいる物語の中で、さらにエイドリアンの計画を伏線などを見せていたら、見ている人の興味が分散し何に注力して見て良いかわからなくなるのかもしれない。

計画がわかり(世界平和のためとはいえ、こんなことしていいのか? ヒーローとはいえこういうかたちでしか世界が守れない現実。正義の暴走。ヒーロなんていることが良いことなのか? と色々考えさせられる)、それを受け入れたDr.マンハッタンには人の心があるのだろうとわかり(ロールシャッハは殺してしまうから、それはどうなのだろうと思うけど)、ローリーは自分の過去と向き合えるようになり(そんなにローリーが劇中で過去を悩んでいる場面はなかったけど。自分の父がコメディアンと知るのは物語の終盤だからね)、ダニエルはどうやらローリーと付きあうらしい、そして平和になった世界である新聞社にロールシャッハ記が届いているという描写で物語は終わる。

物語は劇的に盛り上がるところはなかったけど、楽しんで見られました(前半は物語の背景がわからないせいか、少し退屈な部分もあったが)。私がいう盛り上がりって何だろう? 「マトリックス」の終盤の戦いのような、壁が派手に散り、うるさいくらいの銃撃戦が「盛り上がり」というなら少し違う気がする。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で、マーティの父が自分をいじめているビフを殴り、ロレインを救ったところは盛り上がった気がする。劇中の中で感じる感情の振り幅で「盛り上がり」を感じるのだろう(バック・トゥ・ザ・フューチャーでは、マーティの父はずっとビフにコケにされてたからね)。そう考えると、「ウォッチメン」では、最後のエイドリアンとの戦いが、ロールシャッハ脱獄時のダニエルとローリーの戦い以上の派手さを私が感じなかったから、「盛り上がりが少ない」と感じたのだろう。まあ、でも突然肉体以外で戦われてもなんか違うしね。ここら辺は個人によって違うだろうし、それによって「つまらなかった」という感想には別にならないしね。


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