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映画「2分の1の魔法」を見てきた。父に会うために、兄弟は冒険する。

何事にも自信がないイアンと、おせっかいやきで周囲と合わせられない、魔法オタクで陽気なバーリー、この二人の兄弟の冒険物語。冒険の目的は、父を完全な姿で蘇らせること。

イアン十六歳の誕生日に、亡くなった父からプレゼントがあった。それは、魔法の杖。イアンは魔法の力を使って、父は蘇ったのだが、イアンの魔法の経験不足から蘇ったのは下半身のみ。

魔法オタクのバーリーのアドバイスから、二人は父を完全に読みがえらえせるために魔法の石を求めて冒険に出る。魔法が効くのは、次の落日まで。イアンはどうやら、父とあったことがないようだ。

物語はオーソドックスである。魔法の石を求めての冒険の中で、イアンが成長していくという物語。RPGのように、魔法の石を探すために地図を求めるなど、あるものを求めるために、それを求めるためのものを探すという展開になる。このような展開はあまり面白くならなくなることも多々あるが、この物語は面白い。

神話の世界がそのまま残りつつ、魔法がなくなり化学が発展したような世界観。

物語冒頭十分くらいで、イアンの気の弱さを過不足なく描写するのがうまい。冒険の中でそれをそれを解決し、成長していく。それに加え、兄との確執と、和解も描いていて、二重の成長要素が展開を面白くしている。

何をするかわからない陽気なバーリーや、ユニークな存在の下半身だけの父。この二人のキャラクター性も物語を面白くしている。父親はその存在故に、物語に波乱を起こす。物語に波乱を起こす時、それがキャラクターの「愚かさ」ゆえだと、わざとらしく感じるが、この父ならそのようなことも思わない。守るべき、弱き者として機能している。

パート、パート事に乗り越えるべき出来事が出てくるが、物語全体としては早々に宝石をとることにより「呪い」があると伝えられる(イアンたちは知らない)。それが、ここの出来事の緊張感に加えて、未来への不安を視聴者に与えていると思う。そして最後の戦いは盛り上がる。

物語としてはオーソドックスだ、自分のなかで「こんな展開になるんだ」「この映画を見て、ものの見方が変わった」というようなことはなかった。しかし、展開、盛り上がり方、魅力的なキャラクター、イアンの成長を主軸に置きつつも、バーリーの成長も見せ、母の子を思う心、新しい父との確執の雪解け、亡き父との邂逅による変化の期待、今現在魔法など信じているのはバーリーだけだったが、最後にその魔法が本当だったと周囲が知る、などなど、物語を多層的にしているのも素晴らしい。

その層は、成長が個人というレイヤー(層)に属しており、兄との確執からの和解は他者との関係性、社会性というひとつ上のレイヤーに属している。魔法を信じているものがあまりいないということに対する変化は、さらに上のレイヤーにある。それぞれに変化があって、それらが多層的に絡まりあって物語を面白くしている。

物語の中で、私が使えるなと思ったのは、兄弟が警察に追われた時のやり取り。

二人は停車し車を降りる。姿は母の恋人の警察官に化けている。話す言葉は真実でないと、変身がだんだん解ける。警官は二人が化けている警察官を怪しむ。

「バレるんじゃないか」とハラハラしながら見ている。「バレないまでも、何かしら警官との間に波乱が起こる展開になるだろう」と予想しながら見るが、その予想は外れる。

波乱は警察官との間でなく、兄との間で起きたのだ。警官の「やっかいな兄(セリフは違ったかも。まあ、そんなニュアンス)」という言葉に対し、イアンは「そんなことはない」と言うが、一部変身が解けてしまう。

目の前にいる対立者に対して、波乱が起こる(もしくはその予感)のでなく、協力者との間に波乱が起こる展開は「上手いな」と思った。

物語のなかで、崖を覗く場面があるのだが、映画なのにしかもアニメなのに、どこまでも続くように見える奈落が、心をドキドキさせました。自分は何の危険もないのにね。不思議です。

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