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映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」をPrime Videoで見ました。絵は可愛らしくもあるのに、内容は重い。

映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」をPrime Videoで見ました。物語がまとまっていて、面白い作品でしたね。昏い雰囲気、妖怪と私が好きな要素が詰まっていましたね。
鬼太郎誕生のくだりはコミックで見た記憶があります。

上映当時すごい話題になっていたので過剰に期待してしまったかもしれません。面白かったですが、期待は超えなかったです。シナリオはきれいにまとまっているのですが、クセがないという感じでしょうか。わたしに新しい考え方を与えなかった、物語をバランスを壊すような突出したものがなかった。私に引っかかるところがあまりなかったです。物語にはいっている設定は好きなものが多いんですけれどね。

アニメだからでしょうか、日本の因習を感じさせる陰鬱な昏さを感じなかったです。と言っても、私が思う「陰鬱の昏さ」は80年代母の隣で見ていた「火曜サスペンス」や「土曜ワイド劇場」のイメージです(映画「八つ墓村」は見ていないと思う。小説は読んだような気がするけれど)。絵が可愛かったせいかも(もっと絵が劇画調だったら感じたかも)。と言っても、私はそんなに昏い作品は好きではないのですが(なのであまり見たことない)。

物語の導入から怪しい雰囲気が作品にあって、見入ってしまいますね。最初は「この人が主人公なのかな」って感じで水木を見ていましたが、独白や村の中で一人だけ余所者として描かれているのを見ると、水木は良い人間とは思えないけれど自然に水木中心に物語を見てしまいますね。視聴者は水木を媒介として、異世界に触れ合う形になるのかな。

水木が哭倉村に行く理由、ゲゲ郎の登場、龍賀家の連続殺人、そして村の謎と展開に無理は感じず見られました。龍賀時貞が時弥に乗り移るくだりはよくわかりませんでしたが「そういうものなのだろう」と思って見てました。
時貞が一族の血を残すため、沙代と関係を持っていたというエピソードはエグさを感じました(描写はない)。ゲゲ郎の妻がずっと血を吸われていた、というのもエグかったかな。
水木の上昇志向の理由は「太平洋戦争での経験(部下には死ねと言い、逃げようとする上司)」からです。水木の行動理由は作品のテーマの一つになっていますね。この映画が戦後すぐの作品であれば「ストレートな戦争批判」のテーマとなりますが、現代であれば当時の空気が現代にもあり、それへの批判ということになりますね(物語の最後で「人は変わっていない」というようなことを目玉の親父が言っていた)。作った人がそういうつもりで作ったかはわかりませんが。この作品がヒットしたということは、現代の人が戦争のトラウマ持っている青年に何かしら共感したのでしょう。作品は素晴らしいという前提で、これが10年前に上映だったら、もしくは10年後の上映だったらヒットしなかったかも(この作品は水木しげる先生の誕生百周年作品だったはず)。作品の良し悪しと、作品としてヒットするは違いますからね。ここら辺が難しい。この作品を作っていた人もこんなにヒットするとは思わなかったのではないでしょうか。必ずしもテーマだけが、ヒット理由とは思いませんが。
戦争での身勝手な上司は、時貞に繋がっています。時貞が「自分がいないとダメ」のようなこと言った時。「若い人に物事を任せなよ」と思った。
戦争での理不尽を経験してなお「M」という、肉体強化剤のような薬を「良い薬」と思っている水木を見ると、その時代に縛られた人間の思考の限界を感じます。あと電車の中でみなタバコを吸って煙い中、一人咳をしている子供。その子供は物語に関係するわけではないけれど、何とも思っていない水木を見ていると「当時は誰もタバコの煙なんて、タバコ吸っている人は気にしなかったのだな」と思いました。

連続殺人はありますが、物語上はその殺人に対して推理はないですね。水木は人間強化剤の「M」を探しているし、ゲゲ郎は妻を探しています。村の謎を追うという、展開になっていますね。

アクションについてです。私はアクション退屈に思ってしまう時があります。
ゲゲ郎と裏鬼道衆の戦いは、面白く見られた気がします。それはゲゲ郎も裏鬼道衆も人間の範疇を超えてないから(動きは派手だけれど)、ある程度両者の動きが想像できたからなのかもしれない。
ラストのゲゲ郎と狂骨との戦いは少し退屈を感じてしまった。化け物との戦いだと「どう戦うのか」がわからないから、見ている人が予測・想像ができないから退屈を感じてしまうのかもしれない(アニメーションの動きが素晴らしくても)。どう戦えばいいのかわからない存在と戦う時は、相手の情報や、戦い方の戦術などを語ってほしい。説明しなくてもいいので、ゲゲ郎が狂骨についてどう思っているのかを察せられる演出があればいいかも(ちゃんと見ればあったかもですが。ゲゲ郎の性格からしてそういう演出はそぐわないかな?)。それか、派手な動きではあるけれど、サクッと終わってほしい。

龍賀家の娘婿の龍賀製薬の社長と、水木がいっしょにお酒を飲む場面(煙草も喫ってたな)は何かの通過儀礼(仲間になったという)だったのかな。

この作品絶賛が多い中、私が「そこまでか?」と思ったのは、「太陽黒点 山田風太郎 著」などを読んでいたからかもしれない。

少し気持ち悪く思えるところはあるけれど、展開がわかりやすく、面白い作品でした。考えさせる要素もあります。

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