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映画「トップガン マーヴェリック」を見てきた。真正面の娯楽作品!

映画「トップガン マーヴェリック」を見てきました。続き物なので見にいく気はなかったのですが、あまりに評判がいいので前作を鑑賞したうえで見に行ってきました。期待に違わないすごく楽しめる映画でした。

ヒーローものだったり、テーマ性が高い作品だったり、アニメだったり、物語の面白さはもちろん、それにプラスして物語以外にも面白さを見出せる作品を私はよく見ているような気がします(テーマ性が高い作品は後から思考する楽しみがある)。「トップガン マーヴェリック」もまた人によっては(戦闘機が好きな人とか)物語以外に楽しめる作品だったかもしれませんが、私にとってはただただ物語の純粋な楽しさだけで見せてくれる作品でした。なんかそれがすごく新鮮でした。衒いなく真面目に物語を描いて、それでいてすごく面白いってすごいですね。もちろん映像表現して「うまいな」と思う場面も多くありました。

もちろん私はアメリカ海軍に詳しくありません。冒頭ピート(コールサイン:マーヴェリック)が軍令違反までして戦闘機になぜ乗るのか深いことはわかりません。ただ仲間のために行っていることはわかりますし、上司の命令に逆らっていることもわかります。ピートの人間性も見えるし、緊張感もある場面で冒頭から楽しませます。ピートの性格については、活躍していながらも出世していない事実からもわかりますね。
ピートは上述した軍令違反によって昔いたトップガンに向かい、そこである作戦を行うための十二人の兵士を訓練する教官になります。その中から六人が選ばれるという明確な目的が見え、物語も追いやすいです。訓練兵の訓練の場面は、ただの訓練の場面なのにすごく面白い。たとえ訓練でも、死と隣り合わせである「戦闘機」の訓練で、見ている人に緊張感を常に与えているからかもしれません。兵隊の訓練(戦闘機の)という題材からして面白くなる要素があると思います(それを楽しませるように物語を構成し、演出をするのは難しいとも思います)。それに加えて訓練される側の兵士に、前作のピートのパートナーで訓練中に亡くなってしまったグースの子ルースター(たぶんコールサインの名称)も出てきます。その二人の確執の予感(作中を通して画面に見せる形ではそれほど争っている場面はなかったような気がします。ひとつひとつの問題に対して多過ぎず、少な過ぎず適切な配分で映していたと思いました。その配分の妙もこの映画を素晴らしいものにしているのかもしれません)、そしてルースターにもライバル的な存在ハングマン(たぶんコールサインの名称)もいて、その二人の確執もそれほど目立ちませんが映画を見せる要素になっています。訓練兵は後三人ほど主要人物がいて、最後の任務に参加します。その三人以外の描写はほぼありません(画面には出てきているけれど)。その割り切りも物語進行を遅滞させず、テンポ良いものとしているのかもしれません。人物の見せ方というより、人物の見せなさ方も上手いですね。
ピートの恋愛場面もあります。訓練中の場面は見ている人にずっと緊張感を強いる場面の連続なので、箸休め的な場面として恋愛場面を私は見てました。少しコメディタッチでもあり、緊張に対する緩和ですかね。これが、不倫の愛とかだったら「いらない」と私は思うでしょうね。
ピートの上官であり、教官として推薦したアイスマンとの交流も描かれていました。そこで「自分はパイロットであり、どう教えていいのかわからない」とピートの苦悩が見えたのがよかったです(そのことが作劇上問題になることはないですが)。アイスマンは具体的な解決法を示さないので、二人の会話で「ピートの苦悩が解決したのかな?」なんて思ってはしまいましたが、話すだけで心が軽くなることもありますしね。アイスマンは病気なのに、それでもピートを励ましているという事実もありますし、感動させます。

私がすごいと感じた演出方法は、飛行訓練の場面で時間軸的には離れているはずの「座学」と「実学」を個々の訓練の場面転換として交互に見せていることです。前作の感想で「戦闘機の戦いで何をやっているか分からないので、緊張感が薄らぐ」という感想を持ちましたが、それがこの演出手法でクリアされていました。座学場面で実学での困難な点などを説明し、実学の場面にいく。困難点が視聴者に周知してあるので、緊張感を持って実学の場面が見れるのです。実学の場面でも高度や負荷重力の数字を計器に出して見せるので何が問題か分かりやすいですね。数字見てるだけ緊張感がでます。
目的としているミッションも訓練の中で困難な点を示してくれるので、最後のミッションの場面も、示された困難を思い出して緊張感を持ってみられますね。ミサイルとか、敵の戦闘機の見せ方(ピートたちの視点からの)も上手かったです。ミッションとして対する敵がどこの国かとは劇中示されません。前作は冷戦下で作られたこともあるので説明はせれてませんでしたが「ソ連だろうな」と予測しましたが、今回は予測できてません。現実にこういう作戦があるのかも分からない。

物語はアイスマンが死に後ろ盾を失ったピートは教官から外されます。苦悩するピートを励ます恋人のペニー(恋人には緊張の緩和以外にもよく割りがあった)。ピートは直接行動で、訓練兵の誰も訓練の中でなし得なかった、ミッション成功のための制限時間をクリアするところを見せ、ミッションに参加することになります(教官でなく、実際に参加します。「結局お前が出るんかい」展開ですね。この展開で見ている人を納得させるのは難しいとは思いますが、そこに至る経過を脚本としておかしくないかたちにしているので「すごいな」と思いました。後から考えると強引な気もしますが、見ている時は「喝采」を心の中で叫んでました)。
ミッションは成功します(誰も亡くならなくて良かったです。敵側には亡くなった人もいると思うけど。視聴者に対して、過度の衝撃を与えない展開も娯楽作品ととして徹していると思った理由だと思います)。それで物語は終わり思いきや、ルースターを助けたためにピートは敵地に不時着し、それをルースターが助けに来て、二人の敵地から逃避行が始まります。物語が終わりと思っていたので「まだ続く」と思って嬉しくなりました。最後は前作でピートが乗っていたものと同じ型の戦闘機(F14)に乗り、敵地から逃げます。F14は古い戦闘機、追ってくる敵の戦闘機は最新。明らかな不利な状況で善戦するF14。しかし、どんどん武器は無くなっていて、という展開は本当面白い。迫力や緊張感としてはミッションの方があったかもしれませんが、この最後の場面もすごく楽しめた(ミッションで終わりと思っていたので、続きの場面があるだけで良かったのかもしれないですが)。最後の最後、ミッションに参加できなかったハングマンにも見せ場があってよかった。最後の危機「仲間が助ける」と予想はしてました。「もしかしたら予想外のことを行うかも」とも思ってました。予想通りでしたが、特に不満な感情は出て来なかったです。

前作をきちんと見ていて良かった。見てなかったら、ピートとルースターの確執や、アイスマンとの関係が深くわからず、物語を十二分に楽しめなかったです。ペニーは前作には出てきてないよね? ピートとペニーは昔何かあったようだけれど「何かあったんだろうな」と心の中で納得しながら見ていました。それで問題なかったです。

テーマはピートとルースターの関係性の回復だろうか(過去のわだかまりを乗り越える)。そこに至る心の変化。前作がピートの個人の変化(成長)を描いた作品なら、今回は二人の関係性の変化を描いてますね。最後の二人の逃避行が、わだかまりがなくなっていく過程をわかりやすく提示しています。逃避行の一連の場面がテーマと連動しているから、盛り上がるんですね。わかりやすいので、内面の動きも想像しやすいのかな? 前作も最後の場面はテーマ(ピートの成長)と連動していたけれど「ちょっとわかりにくかったのかな」と思えます(前作については戦闘場面を私があまり理解してなかった点もありますが)。
加えて、ピート、ルースターの個々人の変化もあるので重層性があるからかもしれません。ピートとアイスマンの会話で、ピートの欠けているところを見せているのもうまいですね。最後の変化がわかりやすい。
訓練兵たちが関係性が良くなっていく過程もえがかれています(主にルースターとハングマン)。 
戦闘機に乗っていることを疑似体験させるという点もテーマにあると思います。成功していると思います。その点、前作はiPadで見たので比較してはいけないでしょう。前作も映画感で見たら「最後それほど盛り上がらなかったな」なんて思わなかったかもしれないですね。
個人的には、ミッション成功のところが一番のクライマックスだとは考えます。ピートとルースターの逃避行より、ミッションの過程の方が緊張感はあると考えます。ただ、二人の逃避行はテーマとの関連性に置いて必要であり、ミッション場面にほぼ劣らないほど(おまけ的な場面にならず)面白くしているのですごいと思います。
まあ、ピートはルースターとの関係性においては変化していますが、現役を諦めるという思考にはなってないです(誰よりも優れているし)。現役引退の葛藤でもう一作作れなくもないですね。
そう考えると、古い世代の反抗という側面のテーマも考えらえれますね。ピートという存在はもちろん、時代の趨勢として無人機で戦う時代ということも作中で示されています。冒頭のピートが参加していた作戦?の予算も無人機の作戦にまわされるともいっているし。そんななか最後の活躍。しかも戦闘機も古い戦闘機(前作で乗っていたF14)。たぶん現実では、F14では新世代の戦闘機には勝てないとは思うけれど、テーマを表す形でフィクションとして表現していますね。こちらのほうが「ピートとルースターの確執(過去のわだかまりを乗り越える)」よりも上のテーマかも(上下はないかな)。
そんな主要テーマふたつが最後の場面に集約しているからこそ盛り上がるのだと改めて思った。多層的なテーマ。

画面のカット割りについてはくわしくはないですが、そこらへんも見ている人を楽しませる工夫がこらされているんだろうな。とくに戦闘機に乗っているところとか。どうやらCGは使っていないらしい。

そういえば映画の冒頭、文字で説明するところがありましたね。「冒頭に文字での説明はどうかと思う」と「エターナルズ」の感想で書いたと思いますが、この作品ではあまり気になりませんでした。「ずらずらと長文を並べるのでなく、一行ずつ見せていたからなのかな」と個人的には思います。

真正面のエンターテイメント。考えさせるテーマなどはなかったような気もしますが、それでいなかまら重厚さを感じました。この重厚さはドコモからくるのでしょうか?
素晴らしかったです!

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