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『消えそうな光』失った希望を見つける旅のはじまり

ぼくは、平凡な毎日を過ごす、なんの取り柄もない中学生だった。
何か無理やり探すと……、絵を描くのは得意だったかなーー。
そして、周りに流されるように「なんの目的もなく」高校に進学する。
高校生になった、ぼくは、中学時代と1ミリも変わらない、平凡な日々を過ごしてた日の出来事だった。


確かーー、日曜日の少し遅い昼食を食べているときだったと思う。
近所のおばちゃんが、ぼくの家に飛び込んできた。
「呑気にご飯なんて食べている場合じゃないよ」って、怒鳴られているかと勘違いするほど、大きな声で話はじめる。
ぼくには、何を言っているのか理解できないが……、おばちゃんの話を黙って聞いた。
ぼくの両親が交通事故で、病院に運ばれたが、すでに息がないと。
当時のぼくは、高校に進学したばかりの15歳で、イマイチ理解できていない。
そして、時間が過ぎていくにつれて、少しずつ、少しずつ、現実を理解しはじめたが、受け入れることはできなかった。
この受け入れられない現実から、ぼくの人生が大きく動きだす。


残された4歳離れた妹と二人ぼっちの人生が、ぼくたちの意思と関係なく強制的にはじまる。
二人だけの生活は……、みんなが簡単に想像できるように……、悲惨だった。
言葉にすることは、簡単だが、現実は、小さなゴムボートにのり、激流を流されている感じ。
ぼくたち二人だけでは、あらがうことはできない……、ただ、流れにみをゆだねるだけ。
行き先もわからない、無事にたどり着くかもわからない、何が起こるかもわからない。
でも、進まなくちゃ……、って、いまにも消えてしまいそうな、微かに光りはじめた希望を大切にして。


平凡だった毎日が、一変し、戦国時代に突入する。
「男は外に出れば7人の敵がいる」というが、ぼくには、数えきれないほどだ。
仕事では、上司や先輩に怒られる毎日にうんざり。
でも、家にかえり妹の顔をみると、「明日もがんばらなくちゃ」と勇気を奮い立たせた。
仕事なんて、毎日の生活費を稼ぐ道具としか認識していなかった、ぼくの気持ちが少しずつ変化を見せはじめる。
あの日以来、噛み合わずガタガタと耳障りな音を立てて回る、歯車の反響が少し小さくなった気がした。
そして、今にも消えそうな希望の光を、大きな光へと変えてくれる出会いが、ぼくの手が届くところまで、やってきていることに、まだ気づいていない。

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