「MBA Essentials 2021 <総合コース>春」
<第9回> アントレプレヌールシップ~成功確率を高める手法を学ぶ~
2021年6月23日(水)19時~21時
早稲田大学 大学院経営管理研究科 長谷川 博和教授による、「アントレプレヌールシップ(起業家精神)」の重要性、考え方についての講義でした。
(さっそくですが、印象に残った言葉、気づき、目から鱗だったことなどを
書いていきます。参加者中、最もレベルの低いやつから超速アウトプット!)
1.現実化した未来(AI活用)
ガートナー「ハイプサイクル」
大企業では通常、新しいことをやるためには「稟議」が必要。経営会議、取締役会…リスクが高いか低いかで稟議をかけがち。すなわち、黎明期で稟議をかけるということはまず無理。ほとんどは、啓発期か本格普及期で新規事業を行うことになる。新しいサービスを起こすときには、黎明期か、幻滅期でスタートするのが鉄則。マスコミ、メディアで出てくるときはピーク期であり過度な期待がかかっているとき、スタートする時期として良くない。
ガートナーは毎年ハイプサイクルを出しているが、2021年AIプラットフォームは、まもなく過度な期待期(ピーク)を迎える。IoT、量子コンピューティングは幻滅期を迎えている。がっかり期の真っただ中。ロボティクスは啓発期へ。
マイクロドローン&AI画像認識、SNS&AI=リアルニュース、カメラ&画像解析&AIの雅楽の湯などをケースとしてご紹介。
画像解析は中国、セキュリティはイスラエル、コア技術はがっちり押さえられている。ゼロイチで開発した技術でやろうとしない、スタートしたのは4-5年前のAIの黎明期。初期リスクを取ってきている事例であることがポイント。倫理、法整備のグローバルでの制御が必要な中、この分野で日本はリーダシップを取れるのか。マーケットは大きい。ソフトバンク孫氏もAIを根幹に投資先としていくと発言している。
2.新しいビジネスモデルの創出
先生ご自身も「ビジネスモデルが思いつかない、定着しない、うまくいかない、そんな悩みが多い」と見ている。
◆スケールが大きくイノベーティブな事業アイデアを調達する(思いつく)確率を高めるためにはどうしたらいいかを考えなさい。「スケール、イノベーティブ、破壊的なものができればいいよね。」延長的ではなく非連続的なもの。
The Innovator's DNA
企業経営としては、偶然に青色発光ダイオードみたいなものを見つけるよりも、イチローのように打率を上げていくほうがよいのではないか。組織としてどうしたらよいのか。クリステンセンは下記の事を言っている。
1.Associating(結びつける):違う要素を組み合わせる癖がある会社
2.Questioning(疑問をもつ):素朴な疑問
3.Observing(注意深く観察する):お客の購買までの動きなどを観察
4.Experimenting(検証する):PDCAのスピード
5.Networking(異文化の人と交流する):機会を持つことを是とする:
これらが会社の隅々にまで行きわたっているかどうか。
シュンペーターのイノベーション
・イノベーションの類型
「新製品の開発」「新生産方式の導入」「新市場の開拓」「新原料・新資源の開発」「新組織の形成」の5つ
・新結合 2つ以上の組み合わせ
例えば、回転寿司は「ベルトコンベアー」&「寿司」の結合により、先に握っておく「新生産方式」が導入できた。寿司以外にも提供可能、「新組織の形成」女子高生が来るように「新市場(顧客)の開拓」
古い業界に新結合を取り入れることができた。
A.4つの起点(技術、市場、社会、人間)
ポイント:それぞれ一長一短あるため、無理やりにでも2つ以上を結合したものを考えること。事例:ルンバは技術起点と人間起点、
1.技術起点アプローチ:この基盤技術を使って、どのような製品開発ができそうか?今後、どのような技術領域がホットなのか。⇔成功打率が低い。
2.市場起点アプローチ:どの市場が今後拡大するのか?どの地域・消費者層が今後有望か?敢えて競合製品とは異なる価値や体験は他にないか?⇔アイデアがない。
3.社会起点アプローチ:現在注目を集めている社会課題は何か?未来を見据えた際に、これから顕在化してくる社会課題は何か?⇔社会貢献活動やニッチに収まりがち。
4.人間起点アプローチ:この製品・サービスを使っている人が感じている本質的な価値はどこにあるのか?日常生活の中で、人々の価値観や行動で今後変化すること、変わらないことは何か?⇔自社がやる必然性と事業性が見えづらい。
B.メガトントレンド
少なくとも10年~20年続くような大きな流れを考えて、これを2つ以上組み合わせる。
1.精神性の重視:話すことが減っているがゆえに…心の問題(悪くすると新興宗教に)
2.地球環境意識の高まり
3.健康増進意欲の高まり:高齢化になればなるほど、若くいたいというニーズが高まる
4.ささやかな贅沢:コロナ前後で、貧富の格差がさらに開いた。ずっと節約は辛い。
5.ソーシャル・ネットワーキング(他人とのつながり重視):コミュニケート
6.アウトソーシングの進展:3Dプリンターでアルミ、鉄もできる。海外に出さなくても国内でできるものも出来てきた。何を外に出すかの見極め。
7.労働力の多様化:新しい高齢者の働き方。従来のしがらみから解き放つ。
8.業務のデジタル化、ITの徹底活用:これから狙うのは、IT化デジタル化が遅れている業界。誰もデジタルを使っていない業界。事例:相模屋食料。とうふ=労働集約化だった。
C.異業種ベンチマーク
異業種で同じようなニーズを満たしているビジネスアイデアはないかどうか、業種を問わず幅広く情報を収集し、分析する。
従来はアメリカでは流行っていて、日本でまだ知られていないものに資本投入。タイムラグを使ったタイムマシン経営。今はタイムラグは無くなってしまった。世界中に伝播するスピードが速すぎる。業種を越えるのはアントレプレナーじゃないとできないこと。事例:食べログ(レストランから広告料をもらう従来サービスとは違い、大企業のピンポイント広告を出してもらい運営することでお客さんのための情報を出せるサイトに。)→みんなのウエディングの成功に繋がった。
D.アイデア調達の確率アップ
ディスカッションパートナーを持つ。自分が思いついたものを業種を越えた人に話してみる機会。壁打ち、千本ノック。
クリエイティブな人と付き合う。
アイデア発想のための日常生活
1.必ず一人だけの時間をつくる。
2.会議室からスケールの大きなアイデアは思いつかない!→その時間は必ず仕事から離れた時間にする。
3.定期的に散歩
4.外国人になったつもりで日本の生活を送ってみる。
5.旅に出る
事例:カラオケまねきねこ→カーブス(スポーツクラブに見えて、スポーツクラブじゃない新しい価値曲線:減らす、取り除く、増やす、付け加える)
レッドオーシャンから抜け出すために減らす、取り除くから考える。星野リゾートも運営しかやらないスタンス。
E.社会への付加価値を考える
ヤマト運輸2代目
「世のため、人のためになっているか」「オンリーワンか」「利益の先取りはしていないか」→実践するために、かみ砕くと
①サービスが先、利益が後 ②お客様の立場で徹底に考える ③5分で考えて即実行し、即修正する ④強みを徹底的に考える ⑤マーケティングミックスのバランスを考える
CSV経営:事例としてGMS(グローバルモビリティサービス)
3.ベンチャーエコシステムの重要性
一人でやるのではなく、周りを巻き込む。大企業はベンチャー企業、ベンチャーキャピタル(VC:国内外の情報を持っている)と組んで、連携して新しいことを考えていく。大学の先生とのネットワークも組織において大事。
大企業にいた人がベンチャーに、ベンチャーにいた人がVCに。それぞれの大変さはやってみないとわからない。人材が流動化すること、交流することが大事。ゼロから新しいビジネスを作ることは天才がいればよいが、ネットワークを形成することはアイデアを考え、実行することの近道。
どういうことをしたいのか。
10年、20年かけてでもやり遂げたいことはあるか。
Make a Difference!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?