ディープテックのすゝめ
はじめに
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」
福沢諭吉の代表作である「学問のすゝめ」の有名な冒頭の一節です。
彼は同書で以下のようにも述べています。
「文字を読むことのみを知て物事の道理を弁えざる者は,これを学者と云うべからず。」
私はこの一文を「学者とは科学技術などの学問に精通しているだけでは不十分であり、道理をわきまえ社会貢献に用いて初めて本物の学者と言える」と解釈をしています。
つまり日本が生んだ世界的人気漫画 ONE PIECEに登場するシーザー・クラウンのように、子どもを誘拐して巨大化させる薬の人体実験をするようなマッド・サイエンティストは真の学者とは呼べません。反面、私の大好きな科学漫画であるDr.STONEの主人公。「唆るぜ」が口癖で0に戻った世界を再び前進させようという志を持つ石神千空は真の学者と呼べるでしょう。
現在、私が身を投じているディープテックの世界には、Dr.STONEの石神千空のように科学の力で世の中を大きく前進させようという志を持ち、チャレンジしている真の学者たちがたくさんいます。
このnoteではまだまだ知名度が低く、実態を知られていないディープテックについて、
ディープテックとはなにか
ディープテックスタートアップの魅力とはなにか
についてご紹介したいと思います。
そもそもディープテックとはなにか
経済産業省の資料によると、ディープテックの定義は以下の通りです。
要するにディープテックとは、
科学技術や研究開発がベースのすごい技術の種があるが、
まだ具体的なサービスやプロダクトにはなっていなくて、
できるかどうか不明な上、検証には多大な金と時間がかかるが、
もし実現できれば破壊的イノベーションが起こしうる技術
のことを指します。
具体的にいうと、タイムマシンを作ろう!や不老不死を実現しよう!はディープテックであるし、ホリエモンがやっているロケットで宇宙に行こう!もまたディープテックと言えると思います。
事業の特徴を上げるとすると、市場と呼べるものがないことが多く、競合と呼べる企業が存在しない、あるいは少ないことでしょう。
現在、スポットワークサービスの領域でタイミー、メルカリ、リクルートの三つ巴の戦いが注目されています。彼らが主戦場とするwebサービス領域では、新規参入の障壁が低く、そこに市場ありと判明すると続々と大手プレイヤーが参入し競争になります。
対してディープテックでは勝てるかどうかよりも、そもそも技術的にできるかどうか、PMF(市場への適応)できるかどうかが重要なポイントであり、不可能に向き合う自分たちとの戦いになることが特徴だと考えています。
ディープテックは多額の資金が必要でハイリスクハイリターンなビジネスになることが必然であり、大企業や中小企業は避けることが多いです。結果的にディープテック企業のほとんどがスタートアップとなっているのが現状です。
そして現在私が働いているSUN METALONも、脱炭素とコスト低減を両立する効率的な加熱技術を使って金属業界のイノベーションを狙う、まぎれもないディープテックスタートアップです。
ディープテックスタートアップの魅力とはなにか
次に私がディープテックスタートアップで1年半ほど働いて感じた、働く魅力について紹介したいと思います。
①ディープテックスタートアップには夢がある!
ここまでの説明でご理解いただけたと思いますが一番大きな魅力は「夢があること」です。
ディープテックはドラえもんもびっくりするような「あんなこといいな、できたらいいな」の実現を目指す企業です。
タイムマシンで時空を超えられたら。。。
ロケットで手軽に宇宙に行けたら。。。
金属業界の脱炭素で地球温暖化が緩和されたら。。。
どうでしょう?ワクワクしませんか?
また優れた技術は簡単に国境を超えます。
これまで多くのITスタートアップが海外に挑戦していますが、残念ながら成功したと思える企業はぱっと思いつかないのではないでしょうか。それくらいビジネスにおける言語や習慣の壁は、高く険しいものです。
しかし低燃費で品質の高い日本車が世界中で走っていたり、着心地の良い繊維を使用しているユニクロの服が世界中で着られているように、良いモノは海外でも受け入れられやすいです。
そのためディープテック企業はグローバル市場を狙うことが前提であり、実現できた際には日本国内に留まらずグローバルで大きな影響を与えることができると言えます。
②ディープテックではピュアな人たちと働ける!
みなさんにとって「科学」とはなんでしょうか?
冒頭でご紹介したDr.STONEの主人公、石神千空は「科学」についてこのように述べています。
繰り返しになりますが、SUN METALONは独自の効率的な加熱技術を持つディープテックスタートアップです。しかし基礎技術が発明されてから年月が浅いこともあり、技術はまだまだ発展途上です。
そのためさらなる技術の進化と応用のため、オフィス内のラボではエンジニアたちが、わからないことに対して地道な仮説検証を繰り返し、新たなルールを探し続けています。
SUN METALONで働くメンバーの原動力は「技術で世界を変える」という夢であり、わからないことを解明するという知的好奇心のように見えます。
仕事選びの際に「一緒に働く人」の優先度が高い方は少なくないと思いますが、そんなピュアな動機を持つメンバーと働くことで刺激を受けられるのはディープテックで働く魅力の1つと言えると思います。
③ユニークなキャリアを築ける!(かもしれない)
クラウドワークスの執行役員として上場もご経験され、メディアでもご活躍されている成田修造さんはPivotに出演した際、以下のような趣旨のことをおっしゃっていました。
「経営共創基盤の冨山さん、マネックスの松本さん、マッキンゼー出身の大前さんや南場さんのようにビジネスでおもしろいことをしている人たちは1980年代の外資コンサルや外資金融の黎明期に飛び込んでいる。
そこには熱量が高くて面白い人がカオスの状況下で働いており、その中で揉まれて今のキャリアにつながっている。
それが今の時代ではベンチャーを創ること、ベンチャーに入ることではないか。」
※動画はこちら
成田さんがベンチャーに飛び込んだのは10年以上も前の話で、今となってはベンチャーのキャリアも一般的になりつつあります。
では1980年代の外資コンサル・外資金融、2000年代のベンチャーに続く、2020年代のユニークなキャリアに繋がる場所はどこか、と考えるとと私はディープテックスタートアップである可能性が高いのではないかと考えています。
2023年頃から政府やベンチャーキャピタル主導で、ディープテックに多くの資金が集中投下され始めており、今後多くのディープテックスタートアップが誕生すると予想されます。
しかし未だディープテックに飛び込む人は少ないのが実情です。ファーストペンギンとなりユニークなキャリアを築くため、ディープテックスタートアップをキャリアの選択肢に入れてみるのはいかがでしょうか。
さいごに
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