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拳銃押収「偽装工作」の手口

「安藤隆春警察庁長官(当時)の疑惑」というタイトルの記事で、安藤氏が群馬県警本部長時代の不祥事から尾を引いている問題について書きました。

 その不祥事について、もっと詳しく説明したほうがいいと思い、『週刊文春』1996年11月21日号に書いた記事(本記事のタイトル画像)に加筆して公開します。

 警察、検察という捜査機関の腐敗ぶりが相当深刻であることが、特別に知識のない読者にも、ご理解いただけると思います。

拳銃のヤラセ摘発は警察の組織ぐるみ

 これまでの『週刊文春』の連載で、拳銃摘発の舞台裏が明らかになり、警察内部は大騒動になっている。

「暴力団関係者に拳銃を用意させ、それを通常の捜査で押収したように見せかける。こんなことは全国のどこの警察署でも行われている。次はどの警察がヤリ玉にあがるのか、みんな戦々恐々です」(警察庁関係者)

 もっとも、現場の警察官からは好意的な声も多い。

「今まで、幹部は拳銃押収のノルマを設定し、我々、現場の警察官の尻を叩いてきた。だからこそ、我々も暴力団と取り引きまがいのことをする必要があった。これからは、幹部も『数を上げろ』とばかり言えなくなるので、情報を積み重ねた地道な捜査に時間がかけられる」(首都圏の銃器対策担当の警部補)

 1996年11月に入ってからも、京都地裁が拳銃のヤラセ摘発の疑惑を理由に、銃刀法違反で起訴された元暴力団組員に対して無罪判決を言い渡している。元組員は「覚せい剤事件で勾留中、京都府警の捜査員から指示されて、知人に拳銃を自宅まで運ばせた。自分で隠し持っていたわけではない」と主張していた。

 従前、警察は、拳銃のヤラセ摘発が発覚すると、トカゲのシッポ切りをして、現場の警察官個人の犯罪として処理してきた。しかし、実態は警察の組織ぐるみの犯罪である。

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