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淡路島5人刺殺事件 平野達彦被告は無罪

精神障害を主張するも、1審は死刑

 2019年9月30日、殺人罪などで起訴されている平野達彦被告(45歳)の控訴審が大阪高裁(村山浩昭裁判長)で結審した。判決は2020年1月27日に言い渡される。

 平野被告は、2015年3月9日に淡路島(兵庫県洲本市)で男女5人をサバイバルナイフで刺殺したとして、2017年3月22日に神戸地裁(長井秀典裁判長)で死刑判決を言い渡されている。

 1、2審を通じての争点は平野被告の責任能力だ。平野被告には精神障害の通院歴、措置入院歴がある。

 神戸地裁の法廷で、平野被告は「犠牲者らは工作員だ」「電磁波兵器で攻撃された」「ブレインジャック(脳乗っ取り)され、殺人を強制された」などの発言をくり返す。

 弁護人は刑法第39条の規定に基づき、「心神喪失による無罪か心神耗弱による刑の減軽」を求めた。

第39条
第1項 心神喪失者の行為は、罰しない。
第2項 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

 しかし、平野被告は起訴前と起訴後の2回、精神鑑定を受けており、いずれも「犯行時の精神状態は正常」とされている。

 結局、神戸地裁は平野被告の完全責任能力を認め、死刑判決を言い渡したのである。

 2018年9月28日、大阪高裁で控訴審初公判が開かれた。村山裁判長は職権で3回目の精神鑑定を行うことを決めた。

 11月中旬、平野被告から筆者に「私事で恐縮ですが、10月2日に大阪拘置所から移送され東京の立川拘置所に勾留されています」という手紙が届いた。東京都西部の病院の医師が精神鑑定を行うのだという。

 さっそく筆者は「平野さんの都合がいい日時をいくつか指定していただければ、いずれかに面会することも可能です」と返信した。

「集団ストーカー」被害を訴えていた平野被告

 最初に筆者が平野被告から手紙をもらったのは、2013年4月27日。5人刺殺事件の約2年前であり、まだ彼は「被告」の立場ではなかった。「自衛隊と公安関係者に命を狙われています」という件名で、ファックスで送られてきた手紙の冒頭を引用する。

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