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夢見る頃を過ぎても...

きのこ帝国というバンドをご存じでしょうか。
僕は去年バーで彼らの音楽を聴き、何とも言えない雰囲気に心を奪われた思い出があります。

記憶とは不思議なもので、僕は思い出を引っ張り出すときにだいたいその時の匂いや、音楽、雨が降っていたことなんかがまず表れ、そこからじわりじわりと風景や一緒にいた人たちの事を思い出します。

20歳の時、憧れであったアメリカに行くために必死でアルバイトをしてサンフランシスコに2か月ほど一人旅に行ったのですが、いつもまず最初に思い出すのは、ヘイト・アシュベリーの通りで入った古着屋で流れていた"cleaners from venus"の「clara bow」という曲です。
とても素敵な曲だと思い、全身タトゥーまみれの店員さんにこれはなんという曲ですか?と質問すると、ニカっと笑い(こういう人はニコッとは笑わない)親切に教えてくれ、
「グレイトフルデッドより俺はこっちのが好きなんだ。UKバンドだけどな」
その日から彼と仲良くなりました。

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僕がきのこ帝国を初めて聞いた時期、ちょうど当時勤めていた会社を辞め独立を考えていた時でした。
自分のやりたいことを自分の力でやるんだと意気込んではいたものの、どこかで本当に上手くいくのだろうか?いままでのキャリアを捨ててしまって良かったのだろうか?と内から溢れ出る声を抑えながらの毎日に少し疲れていたのかもしれません。

きのこ帝国の「夢見る頃を過ぎても」という曲はとても静かな曲ですが、バラードではありません。
僕が特に好きなのが、

"蝶になれない蛹もいるってさ
待ちわびていた旅立ちの日に
その羽が開かないと気づくとき
どんな気持ちで空を見ていたの"

という部分です。

バンド仲間が次々夢を諦めバンドをやめ普通の大人になってしまったことに対してのもやもやを歌に詰め込んだのだと、どこかで作曲者の佐藤さんが仰っていたようですが、とても心にきました。

僕にも昔、もう思い出せないような夢がたくさんあり、それらを忘れながら大人になってきました。
かつて遊んでいた友人達も結婚した人や、変わらない人もいますが、やはり何かは変わってしまっていて、それをさびしいと思う自分がいます。
いま、僕は新たな夢をもち、それに向かって進もうとしています。

僕は音楽がとても好きなのですが、それはなぜかというと
自分のターニングポイントに必ず啓示を与えるような音楽がどこからともなく流れてくるからです。
先ほどの話で、僕の記憶や思い出と音楽は密着しています。

昨年末はそれがきのこ帝国であり、20歳の時はcleaners from venusでした。

なんの脈絡もないのがいいのではないでしょうか。
夢見る頃を過ぎたとしても、僕はいつまでもそれを思い出していたいと思います。
思い出を拠り所にするのではなく、音楽と一緒にたまに疲れた時に浸る程度にと。


さてお店ですが、まだしばらく時間がかかりそうです。
ここにきて物件探しが難航しております。
間借りでスタートしても良いのではとの思いもあるので、そちらも引き続き探していきたいと思います。




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