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ほんの紹介『エンゲージメントを高める場のつくり方』

リモートで雑談の機会も減り、エンゲージメントが下がってしまうことが懸念されています。オフィスでできていたことを、リモートで補っていく視点が必要になると思います。

従業員エンゲージメントを高めるイベントフォーカスマネジメント

変わるきっかけとなる場=イベントを、リアル、オンラインに関わらず、意図的に仕掛けて組織のコミュニケーション活動として活用し、視界共有、意識統合を行う、画期的なマネジメント手法です。
手段や目的はさまざまですが、定期的に視界共有、意識統合のためのコミュニケーションの場を持つことは、企業活動を円滑に進める必須条件であると言えるでしょう。
イベント=人や組織が変わるきっかけとなる場は、日常に句読点を打つ非日常の機会(=節目)として有効に機能します。個人や組織にとってこれまてまとこれからを分かつ節目であり、今いるステージから、次のステージへ向かう効果的な節目となります。

視野の個別性

企業組織は、立場による階層分化と役割による機能分化を包含したシステムです。この階層と機能の違いが、必然的に視界の個別性を生み出します。
経営トップは会社全体のことを俯瞰したり、5年先の中期経営計画を見直しながら経営課題に取り組みますが、現場の具体的な日々の活動を見ることはできません。
現場メンバーは担当業務の課題や月次の自分の営業目標は明確に把握していても、会社全体を俯瞰する視点や中長期の時間軸で物事を判断する視点は持ち合わせていません。
つまり、視界の個別性によって、両者の空間観と時間観がそもそも異なるのです。
また、営業と人事、研究開発と経理のように、同じ企業の傘の下にいても利害関係が反することも、しばしば生じます。この機能の違いが、各職場の部分最適思考を加速させます。
他にも、年々ダイバーシティが拡大し、視界の個別性によるズレは加速する一方です。
視界の個別性によるズレを放置しておくと、組織における共通の目的が見えなくなり、相互不信による協働意思の停滞を招き、従業員エンゲージメントの低下が進行するバッドサイクルを生んでしまいます。

イベントの効果

①共感効果
②集合効果
③同調効果

人が新たに行動を起こすには、論理的納得と感情的共感が合わさることが必要。

視界の差やズレをチューニングするには、発信側のメッセージだけでなく、受信する側の状態を揃えること、相互のコミュニケーション活動として成立させるとことが重要

イベントでは、場のデザインやメッセージ次第で、変化への抵抗感や恐怖心を軽減に、行動につながるポジティブなエネルギーを連鎖反応として生み出すことができます。

オンラインの特性

①公平性
②迅速性
③拡張性
④自己同一性

企業組織で行われる円環的なきっかけの代表パターン

①キックオフ。新たな戦略・方針の周知と自分ごと化。新商品・サービス展開の認識共有
②社員(パートナー)総会。中長期的な展望理解と現場(パートナー)接続。個別最適<部門横断の全体最適
③表彰式。受賞者への金銭報酬<感情報酬。社員の士気高揚の機会創造に
④ワークショップ。関係の質を高めコミュニケーションの活性化。ものの見方をリフレームし、新たな価値創造に

イベントを企業の定期的な活動の場として設計し、経営のマイルストーンとして位置づける

エンゲージメントを高める場をデザインするには、職場の状況を正しく見立てること(see)。参加者の感情に働きかけ、行動をかき立てる場を企てること(plan)、最後に、参加者が主体者になる心理的安全性の高い場を開くこと(DO)。この3つのステップをしっかりと踏むことが必要

場とは、人々がそこに参加し、意識・無意識のうちに相互に観察し、コミュニケーションを行い、相互に理解し、相互に働きかけ合い、相互に心理的刺激をする、その状況の枠組みのことである。
この場の中で、私たちは情報だけでなく感情もやりとりし、刺激を与え合っています。場の中で濃密に情報や感情のやりとりが生じると、はじめに人々の共通理解が増し、次に情報蓄積が高まり、最後には、人々の間に心理的共振が起こる。心理的共振は、心と心の共振で、人々の心理的なエネルギー水準の高揚は、言い換えれば、エンゲージメントを高める大きな要因になり得ます。

組織の成長ステージ別モチベーション症例

①拡大ステージ。組織の複雑性の増大
全社。経営トップ依存症
ミドル。マネジメント不全症。組織ルール不足症。
現場。業務過多疲弊症。長期視点欠落症。

②多角ステージ。縦、横の距離感の拡大
全社。アイデンティティ喪失症
ミドル。マネジメント画一症。組織ルール硬直症
現場。既存事業疲弊症。全社視点欠落症

③再生ステージ。無力感、既決感の蔓延
全社。セクショナリズム横行症
ミドル。マネジメント閉塞症。組織ルール形骸症
現場。既決感疲弊症。顧客視点欠落症

プロセス構造分析

一次プロセス。個人・チーム・組織の現状。慣れ親しんだいつもの世界。親しみやすいあり方。スタイル、アイデンティティ。何も生じなければ変化を欲せず、現状を維持しようとする。
二次プロセス。個人・チーム・組織に立ち現れようとする、今(一次プロセスから見ると)なじみのない未知の世界。あるべき姿や、ありたい姿。今はないアイデンティティ。
エッジ。一次プロセスと二次プロセスの間に存在する変化を妨げる壁。過去慣性や慣れ親しんだアイデンティティを維持しようとする思考行動様式、組織文化など。

エッジを超えざるを得ない変化に直面すると、引き金として、ディスターバー(妨害や望ましくない現実との直面)やアトラクター(思わず魅了される夢やビジョン)が生じて揺らぎが起こりますり

3つの現実レベル

①合意的現実。コンセンサス・リアリティ。目に見える客観的な事実や具体的で観察可能なレベルのことを指し、出来事、事実、数値目標や予算、計画などが該当します。チームを運営したり、企業を経営する上で、欠かせない要素の詰まったレベルではあるものの、ここに偏りすぎると、無味乾燥で面白みに欠けたり、事務的な手続きに終始し、メンバーの意欲が高まりません。
②ドリーミング。夢、願い。さまざまな感情や希望、期待、失望、不安、恐れ、そして関係性の中で担われている役割などが含まれています。このレベルの要素をメンバーと一緒に分かち合うことで、お互いの理解が一層深まり、目標を遂行する上でエネルギーが高まります。こんな価値を自分たちは世の中に広めたいんだ、というような意図や夢がメンバーに腹落ちすると、一番上の合意的現実レベルの数字の捉え方も変わります。ドリーミングレベルにある夢や願いの質感が変わることで、合意的現実レベルが変わる。
③エッセンス。ビジョンやひらめきが起こるレベル。一目惚れやビビッとくる感じ、やりたいと思う衝動など言葉で表現しにくいエネルギーを指します。このレベルには個々の対立が存在しないとされ、共有することで力が湧き起こってきます。
イベントの場をデザインする際は、表層的な合意レベルにとどまらず、ドリームやエッセンスにも豊かな、声なき声が隠れていないか、見立てることが必要であることはいうまでもありません。関係者にヒアリングする際は、組織の中で起こっている事実、状況といった表層部分だけでなく、それらの背後にある参加者の声や感情といった深層部分もヒアリングしたり、許されるのであれば、実際に参加者が働いている職場を見学させてもらったり会議に出席するなど参加者とリアルに会う機会を持てると、さらに様子が見えてくるのでおすすめです。

感情のトリガーをひく

①非日常感、わくわく=空間のマジック。いつもの日常と異なる非日常の視界(空間)を見せることで緊張感をほどき、これから始まる事に対するわくわく感を醸成する。
②没入感、ぎゅっと=時間のマジック。イベント開始時は参加者の意識が注意散漫な状態であることが多い(直前まで行っていた過去の事柄に意識が残っていたり、終了後の未来の予定を気にするなど)ため、散漫、発散していた意識をいま、ここの時間にぎゅっと集める時間を設ける。
③緊張感、ゾクゾク=目標のマジック。アンフリーズのステップで揺らぎを与えた上で、目標(変化の方向性)を指し示す。ストーリーテリングの観点で言えば、感情は対立があることで大きく揺さぶられるため、目標のゴールと現在他の対立構造(コントラスト)を明確に示すことで、健全な危機意識から生じる緊張感(ゾクゾク)を高める
④安堵感、ほっ=変化のマジック。高い目標や突破しなければならない課題や葛藤に際して、自分でもやれる、失敗してもチャレンジできると一歩踏み出せる勇気が生まれる安心・安全な場をつくる。今後に向けた道筋を示すことでほっとできる安堵感を高める。
⑤使命感、ぶるぶる=習慣のマジック。チェンジのパートで明らかになった今後の道筋を実現するために、習慣化し、意識せずとも続けられる状態までアクションをブレイクダウンすることで、自分たちが決めたことを実行しようとする使命感、当事者になることで生まれる武者震いのようなぶるぶるを生み出す。
⑥一体感、どきどき=集団のマジック。集団には、感情を増幅させるエネルギーが発生する。参加者全員で同じことをすることで一体感が生まれ、未来に向けたどきどきを生み出し、現場での具体的な実行に向けたエネルギーを装填し、場のピークエンドをつくり出す。

探究脳

私たちが新しいことを試し、未知のことを学びたいという強い衝動を感じるとき、探究回路は発火し、自由に自己表現しようとし、実験して試行錯誤しながら、行っていることの意味合いを高次の目的意識として探そうとします。結果、ドーパミンが分泌され、愉快で熱中し、いつもと違ってあっという間に時間が過ぎる、フローな時間を感じるかもしれません。新しいことを学びたいという、自らの内側に沸き起こる衝動に純粋に従うとき、人は、より創造的で生産的になるのです。

主客一体

4つの問いかけ

①調査的問いかけ。when、where、whatの疑問詞を使いながら情報収集や調査を行う問いかけ。憶測や解釈ではなく、事実を踏まえて課題を扱う際に使用すると有効な問いかけ。取り調べの罠。頻繁に繰り返すと、相手を問い詰める詰問、尋問になりがち。あくまで、現状把握のために活用しましょう。
②提案的問いかけ。問題を解決するために、この方向で検討してみるのはどうですか?と実行に向けた提案をする際の問いかけ。特に問題分野における習熟度が低い参加者に対して、スピーディーな解決のためにこの問いを使うことがあります。陥りがちな罠はら相手に同意以外の反応を認めない一方的な押しつけや、質問の形を借りた命令になひやすいこと。強制にならないよう、相手の意思を尊重し、その提案を実行することの目的、意義、価値を伝え、相手の納得感を醸成する工夫も必要です。
③探究的問いかけ。既成概念に縛られず、柔軟な発想で探究する問いかけです。複雑性が高く、問題の因果関係も不明瞭な際は、目に見える事柄だけを扱うのではなく、全体を俯瞰したり、要素間のつながりに注目するなど、事柄を真正面から捉えるだけではなく、距離感や角度を多面的に変えて問いかけることが有効です。この状態が続くと将来はどうなる?(時間軸)、引いて全体から見ると?(空間軸)、顧客、競合だったらどう考える?(立場軸)、そもそもなぜ、これが必要?(目的軸)、明智光秀ならどう考える?(他人軸)、もしも予算はいくらでも使ってよかったら?(仮定軸)、他のものにたとえてみると?(メタファー軸)、どうなると最高にハッピーになれる?(感情軸)といったように問題をリフレームして捉え直すことで、思考の行き詰まりを突破します。陥りがちな罠は、◯◯すべきと考える常識や通説、過去慣例の踏襲といった既存の枠組みに囚われることです。
④共創的問いかけ。私たちは、どのようにすれば、それが可能となるのだろう?と、主語を相手(you)ではなく、私たち(we)に置き、どのようにすれば(how)で視点を広げるオープンな問いかけです。答えを限定せずに相手が自由に回答できるオープンクエスチョンは、一緒に問題を考えようという共創的なメッセージが伝わります。共創的な問いかけには、相手に偏見を持たないこと、自分の判断を保留して謙虚に問いかけながら生み出された解には、一方的に提示された解よりもはるかに多くの責任感が生まれ、実行に向けたエネルギーが湧いてきます。陥りがちな罠は、自分だけでなんとかしようとする執着心です。執着を手放し、ともに作り出す可能性の大きさに気づきましよう。

ストーリーテリング

ストーリーには、聞き手にロジックによる理解を超えた、感情に訴えかける共感や想像をかきたて、共鳴、感染させる不思議な力があります。
①自分のわくわく(情熱)からはじめる。他人を感動させるには、自分が一番、感動していなければなりません。言っていることと、信じていることが一致していない状態では、人に影響を与えることはできません。自分がどんな情熱に動かされているのか、自分の新年に基づいた軸を持ちましょう。
②自分をさらけ出して目標にコミットする。ストーリーは、着飾って話す必要はありません。人は、ファシリテーターの個人的な体験や失敗談、弱さに親しみを覚えます。ファシリテーターが自らをさらけ出すことで、ストーリーに自分を重ね、つながりを感じてくれます。
③障害・葛藤を扱う。人々が物語を愛するのは、障害や葛藤のハードルを乗り越える変容というキーラインがあるからです。私たちも身近な人が変容を成し遂げたのを見たときに自分もそれが可能かもしれないという希望がわくことがあります。
④聞き手の存在を理解して組み立てる。ストーリーは、参加者との相互作用によって命が吹き込まれ発展します。そのためには、参加者の現状や状況を理解した上で組み立てることが必要です。いきなり変化を強要するのではなく、現在への感謝や承認を行った上で、変化の必然性を訴える配慮も求められます。
⑤その場からつくる。ストーリーを新鮮で、心地よい緊張感を持って話すためには、いつも同じ話を繰り返すのではなく、当日の参加者の興味・関心からはじめてみたり、彼らの反応によって伝え方を変えてみるなど、その場で起こっていることをリソース(資源)として活用しその場からつくって語ることも重要です。

抵抗勢力を味方につける

抵抗する側には、それだけの正義があります。それを無視することなく、尊重して進めることで、理解や協力を得やすくなります。

介入のための6つのポイント

①コンテントだけでなく、プロセスの観察を怠らない
②タイミングを逃さない
③センターピンを外さない
④抽象に逃げない
⑤感情で介入しない
⑥介入者のままで終わらない


考えることを阻む5つの大きな壁

①経験の壁
②前提の壁
③抽象の壁
④選択肢の壁
⑤文脈の壁

キックオフ

期待の声VTR、自社の存在意義の明示、サクセスストーリーMAPの共有、私の約束

ワークショップ

カンパニー・ヒストリーレビュー、DNA発見ダイアログ、ペインティングアート、フィーリングチェックイン、リーダーズアナザーストーリー、焚き火ダイアログ

社員総会

キーノートスピーカーとの全体対話、えんたくんダイアログ、自店舗への落とし込み、ビジョンムービー、漢字一文字ネットワーキング

表彰式

役員花道出迎え、物語表彰状の授与式、副音声で解説、創業の地ムービー、双方向システムを活用した全社戦略プレゼン、受賞者スピーチと全員からのお祝いコメント

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