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ほんの紹介『テレワークの教科書』

テレワークとオフィスワークを併用するためのコミュニケーション機会の作り方、工夫が参考になります。

オフィスワークと併用が現実的

新しくテレワークを導入する際、必ずしもすべての業務をテレワークに変えなければいけないということはありません。可能な限り、テレワークとオフィスワークを併用することをおすすめします。出社日がないままテレワークが続くと、企業やチームから孤立しているような感覚に陥る人が多くなります。この感覚の影響は、意外と大きいものです。孤立感が高まると、落ち着いて仕事ができなくなり、チーム全体の生産性が下がる場合もあります。リアルなコミュニケーションがあってこそ、人とのつながりを感じやすく、組織に所属している実感が持てます。所属意識は、仕事のモチベーションを維持するために大切です。

テレワークで働くと、従来のオフィスワークと比べて、オンラインコミュニケーションが重要に

テレワークでは、メールやチャットの使用頻度が上がります。対面でのコミュニケーションを主とするオフィスワークに比べて、文字のコミュニケーション、つまりテキストコミュニケーションが圧倒的に増えます。オフィスでなら何気なくできる雑談も、テレワークでは文章で表現することになります。オフィスワークと併用する場合は、オフィスの対面コミュニケーションをオンライン化することも大事になってきます。同じチームでも、出社しているメンバーだけで対面の打ち合わせをすると、テレワークをしているメンバーにはその情報が届きません。そのため、やりとりをお文字に起こし、資料を電子データにして、オンラインで情報を共有する必要が出てきます。または、テレワークをしているメンバーに情報を共有するために、出社していてもオンラインでコミュニケーションを取ることになります。

テレワークでは場所を選ばずに働けるため、旅行中や帰省中にも勤務日を設けて、滞在先で仕事をすることもできます。

休暇中の旅先で仕事をする、いわゆるワーケーションをすれば、良いリフレッシュになり、生産性の向上も期待できます。帰省先でも仕事ができれば、長期の帰省も難しくなくなり、帰省ラッシュの影響も受けにくくなります。

テレワークのときこそチームの理想が問われる

実際にテレワークをうまく運用できている職場ばかりではありません。一度はテレワークを試してみたものの、定着しなかったという話は珍しくありません。テレワークがうまくいかないときこそ、一緒に働くチームの軸が問われる。自分たちはどの方向に向かって仕事をしているのか、何をしたくてやっているのかといった、共通の理想を改めて共有する必要があるのです。もちろん、これは本来オフィスで一緒に働いている場合にも必要なことです。しかし、特にテレワークでは、とりわけ理想を明確にしておかなければ、チーム内で話が噛み合わなくなる恐れがあります。テレワークで働いているときは、チームメンバー同士でしっかりと話し合いをしなければ、仕事がすすまなくなります。今までは感覚的にやってきたことが意外とうまくいっていなかったり、仕事に関するチーム内の認識が全くすれ違っていたり、ということが、テレワークによって浮き彫りになります。

テレワークが根付かない職場のよくある問題

ICT環境に関する問題
・ICT環境の整備、セキュリティの確保
・外出先でデバイスを紛失・破損して、情報が漏洩や消失するリスク
・コミュニケーションツールの選び方や使い方がわからない
・自社保有サーバからクラウドサーバに切り替えるべきか迷う
・会社がデバイスを支給する予算がないが、社員の私物を利用するのは不安
・社外で使える安全なネットワーク環境を知りたい
・自宅の作業環境やオフィス環境が悪く、生産性が落ちる
コミュニケーションの問題
・一緒に仕事をするチーム内の、コミュニケーションの維持
・オンラインで気軽に話しかけられない
・コミュニケーションツールの使い分けがよくわからない
・業務の指示は直接話す方が早く、オンラインでは面倒に感じる
・必要な情報が十分に共有されているか心配
・顔を合わせられないと、人間関係に影響が出そうで不安である
・このまま職場の人に会えなくなるのは寂しい
マネジメントの問題
・メンバーが離れている状態でチームをまとめていく、マネジメントの問題
・テレワークで各自の作業環境が異なるなかで、いかに業務効率を下げずに成果を上げていくか
・チームメンバーに伝えるべきことが、今まで通りに伝わらない
・チームメンバーからの相談が減った
・業務の進捗が把握しづらくなった
・テレワーク中にチーム内で揉め事が起こったら、どう解決すればいいか
・勤怠管理が負担になり、テレワークを避けられるようになってしまった
・テレワークをはじめて、うまく仕事が回らなくなった
・オンライン会議で発言が少なく、なかなか結論が出ない
・テレワークでも、正しく人事評価ができるのか

テレワークでもオフィスワークと変わらないレベルで仕事をするには、チームワークが欠かせない。そのために、制度、ツール、風土の3つの側面から、組織の見直しを図る。

制度。テレワークにおける就業規則や人事評価制度、給与制度など労務管理のためのルール
ツール。テレビ会議システムやチャットシステム、グループウェアなどのICT環境(ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク)、作業環境(自宅、オフィス)
風土。組織のメンバー間で共有されている価値観のことで、仕事における行動や考えに影響を与える。テレワークをする人に対する反応、あるいは社内で共有されているテレワークの位置付けが、テレワークの普及にとっては最も重要です。

風土は場づくりとチームづくりから

場づくり。コミュニケーションの場をつくるチームメンバーが離れ離れになるテレワークの環境でも、お互い言うべきことをいい合える場を整えること。そのためには、コミュニケーション手段の選択肢を複数設けること。仕事に直接関わるやりとりから雑談、ちょっとしたつぶやきまで、さまざまな発信を思い思いにできる環境の整備が求められます
チームづくり。コミュニケーションを武器にして、テレワークで成果を上げられるように、チームをマネジメントすること。テレワークでは、チームメンバーそれぞれの進捗状況の把握が困難になったり、オンライン会議で意思統一をするのが難しくなったりします。そうした課題を解決して、チームワークを高めて成果を上げていくためには、マネジメントの方法も見直していく必要があります。

テレワークでチームを見直すチェックリスト

マネジメントに関すること
・伝えるべきことを明確に伝えられているか?
・相談がしやすい環境ができているか?
・制度を利用しやすい雰囲気になっているか?
・チームメンバーが状況を把握できているか?
・チーム内で十分に話し合いができているか?
・報告ばかりになって、相談が減っていないか?
・業務が属人化していないか?
・活発な会議ができているか?
・チームメンバーの仕事を適切に評価できているか?

オンラインでコミュニケーションを確保する

とにかくやりとりをする頻度を増やすように心がける
チャットで伝わらないことはテレビ会議で顔を見て話す
業務に必要な情報はグループウェアで共有
チャットでなんでも話せる分報。とりとめもない会話を気楽にかわすための場。孤独感を解消する。雑談チャットが会話のハードルを下げる
一対一のテレビ会議ザツダン。社員それぞれの状況や、社内で起きている問題を把握する。
テレビ会議での勉強会やランチ会。チームワークを高めるためのコミュニケーションの機会を意識的に増やす。
対面のコミュニケーション。同じ空間で同じ体験をしたり、面と向かって会話をしたりして、はじめて伝わることもある。全社イベント。

テレワークでもオフィスワークでも、マネージャーがやることは基本的には同じ

チームメンバーに目標や方針を伝え、それぞれの行動や議論を促す場をつくり、最終的な意思決定をする。テレワークでは直接顔を合わせないため、空気感をつくるような方法ではチームをまとめることが難しくなる。そのためオフィスワークのとき以上に、マネージャーには言葉(文字)で伝える能力が求められるようになる。
オンラインのやりとりでは空気感の共有が難しくなるため、マネージャーもチームメンバーの反応を掴むのが難しくなる。チームメンバーにも、いつも以上に言葉で伝える意識を持つように促す必要がある。

マネージャーの二つの役割

人材マネジメント。メンバーの仕事への意欲を高めて、力を発揮できるよう支える。気軽に相談できる風土をつくる。特にテレワークでは、オフィスワーク以上に相談がしにくくなる。マネジャーが相談に乗れる時間を確保しておいて、チームメンバーに公開する。チームメンバーの状況を把握してサポートする。
プロジェクトマネジメント。プロジェクトの目標を達成できるように、チーム全体の業務工程を管理する。情報共有で、個人の仕事をチーム化する。

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