実務で感じた事-実施設計編
この記事はアトリエ系設計事務所で働く新人が設計事務所での実務経験を通して出会った出来事を忘れないようにまとめたノートです。
ベテラン設計者や組織設計の方からすれば常識なような事ばかりかと思います。自分の気づきメモとして残しておくようなスタンスで記載してます。随時更新
□そもそも実施設計とは
実施設計とはどんなものなんだろうか。実施設計をネットで調べると工事用の図面と出てくるが僕の理解は工事用の施工図を書くためのガイドラインであり、基本設計を肉厚し、工事費用を正確に積算するための図面という理解である。リノベーションや住宅など工事費用がかけられない案件では施工図を省略する事も多いと思いますがその前提で記載しています。
□設備、構造、他コンサル、協力メーカーのスケジュールコントロール
実施設計はマラソンみたいなものだと思う。チームの各走者が気持ちよく走るには意匠設計者のコーディネートが重要である。意匠、構造、設備、の取り合いは現場まで問題になるし、大きな現場になると別途工事の取り合いもある程度の把握が必要になる。それらを上手く取りまとめるための設計スケジュール構築が重要な作業になる。
□水勾配、構造レベルの設定
これも急ぎで設計が必要な内容である。実施設計では水の流れを図面に書く必要があり、サッシ廻り、手摺と床との取りあいが問題になる個所が多い。
□仕上げの整理
基本設計事概算でのVEや設計調整を行い、確定した仕上げを仕上げ表にまとめていく。仕上げ表から平面詳細図、矩計図、標準詳細がスタートできる。
□壁種の整理
壁種の整理が出来れば性能部分は8割型完了出来たのではないかと思うほど重要な作業。
仕上げのみでなく区画や性能が壁種の整理に隠されている。壁種が決まると枠見込みが決まるので建具との取り合い整理が可能になる。
□枠、建具の整理
壁種をもとに建具と壁の納まりを検討していく。
壁種同等の性能を担保する建具を検討していく必要がある。
建具が取り付く枠形状を同時に整理しておけば平面詳細図の完成が見えてくる。
□特別詳細のキャッチボール
メーカー品のサッシ、シャッター、屋根など詳細図が必要になる物は平面詳細、矩計図がまとまった段階で各メーカーに作図依頼を行う必要がある。ある程度時間が必要になる。
□平面詳細図の寸法は墨出しする気持ちで
平面詳細図の寸法はかなり細かく書いてありいっぱい書いてある方がやった感が出て良い気持ちなような気もしますが墨出し位置を現場に伝えるための図面でもあると思うので建具、雑壁の位置がきちんと通り芯から拾えるように記載する。
□矩計図とは
矩計図は詳細を書く図面だと思っていたが立体的な関係性を把握する図面だと今は思っている。
梁のレベルがどこにあって、床とスラブがどう取り合うかが記載されている唯一の図面である。設備の配管ルートの検討にも使用するので実施の前段階でタタキが必要になる。
□建具表が難解
建具表は何度やってもいまいち達成感がない図面である。建具の全ての仕様が拾える図面である。revitのプロジェクトだと建具の姿図は作らずに仕様リストという形での建具表を作成する事があるらしい。ということは必要なのは姿図ではなく仕様が書かれたリストのように思う。
□ピット情報をどこに書くか
ピットの平面図として書くか平面詳細図として書くか社内でも意見がわかれている。意匠図で必要な情報は人通口と連通管位置、釜場位置などか。
ピット内の水勾配情報など考える平面図だと情報が多すぎて平詳だと少なすぎるように思う。
プロジェクトのスケールによって使い分けていく必要がある。
□最後の砦外構図
敷地全体のレベル関係や切土盛土を記載する必要がある。もちろん舗装や樹木なども重要であるが実施設計の初期から中盤で気にしておきたいのが建物と外構との取り合いである。
側溝とサッシの取り合いとその排水計画。敷地内の排水計画が重要。
□サイン図はお金を入れ込む
だいたい時間が無くデザインを詰めるまでいけないのでサイン図は割り切ってそれなりの金額が入るような仕様で設定していければと。
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