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実務で感じた事-基本設計、計画系

この記事はアトリエ系設計事務所で働く新人が設計事務所での実務経験を通して出会った出来事を忘れないようにまとめたノートです。
ベテラン設計者や組織設計の方からすれば常識なような事ばかりかと思います。自分の気づきメモとして残しておくようなスタンスで記載してます。随時更新

◽︎計画、基本設計の大切な事
多くの人に共感してもらえるようなわかりやすくて魅力的なコンセプトを提案するのが意匠設計者として大切な作業であり、魅力的な計画にするにはこの風呂敷をどこまで大きく敷けるか考える必要がある。実際、実施設計、現場監理は計画でひろげた大風呂敷を畳んで整理していく作業なのかなと思う。

□遅すぎず短すぎない工程計画

スケジュールの作成はPMが入るpjではPMの所掌範囲になると思うが小さなPJ等の場合意匠設計者の仕事になる。スケジュール作成の際に気をつけたいのは施主とのキャッチボールの時間をきちんと反映する事である。構造設備、他コンサルとの調整、やり取りで発生する時間も充分考える必要がある。

◽︎ボリューム検討
小さな敷地では斜線制限の制約で建築がほとんど決まってしまう事もある。
諸条件を整理し、revitで逆日影、逆斜線のmaxボリュームをつくり検討するのが早いと思う。

◽︎駐車場計画の重要度
大規模な建築になればなるほど、必要な駐車台数、駐車場法による規制などが厳しくなってくる。計画が進むほど取り返しがつきにくくなる。ベテランの先輩ほど駐車場に厳しくなる印象。

◽︎ごまかしの少ない計画を目指して
基本計画、基本設計の段階はごまかそうと思えば、ごまかしが効いてしまう。
実施図、申請図など図面を進めるたびに苦しくなってくる。特に避難距離、敷地内通路、廊下幅などの計画の寸法はしっかり抑えておく必要がある。

◽︎区画の判断
竪穴区画、防火区画など大規模な建築になればなるほど火の制約もたくさん出てくる。意匠的な見せ場に絡む話も多い。綺麗なガラスカーテンウォールにしたいのに区画の折り返し部分に該当していたら実施設計でどんなにディテールを詰めても失敗してしまう。区画の制限で空間が決まってしまう事も多い。 区画の内容と面積は実務を始める上で一番最初に頭に入れること。

◽︎平面の色分け
計画段階や基本設計の段階ではよく平面図に色をつけて考え方を整理する事がある。
施主や社内の打ち合わせに条件を整理して伝えるのに使う事が多い。
平面計画が同じでも色分けの切り口を変えるだけで全然違う問題がわかることがある。僕は平面計画のあとに色々なルールで色分けして使い方を確認する作業をしている。

□条例の確認

当たり前の事ですが、計画を進めて意外な落とし穴となるのが条例でした。都内であれば地区条例や緑化条例などがなかなかヘビー。境界からのセットバックなどはこの条件が一番厳しい事が多い。機能によっては空地が必要となる場合もあるのでボリュームスタディの段階で押さえる事。

□防水範囲の押さえ

防水は建物という箱である以上一番大切な性能なように思う。基本設計で防水を行う範囲と仕様をきちんと決めておかないと実施設計での構造設備の調整が非常に厳しくなってくる。地階がある場合の地下水の確認も重要である。

□建具性能の整理

建具については設計を行う敷地、条件によると思うが耐風圧、気密性など既製品のサッシが持っている性能をきちんとメーカーカタログを読み込む事。遮音性能を問われる条件の場合は遮音性能も早めに抑える必要がある。

□既製品を使う所、製作品を使うところの整理

既製品と製作品はコスト差で実施設計での作図量に大きな違いが発生する。そのため基本設計の段階でどこを製作でやりどこを既製品にするか整理を行う必要がある。

□やっぱりお金が大事

お恥ずかしい事に僕は基本設計時に概算を取って予算内に計画が納まっていた事が一度だってない。それを踏まえて早めに概算を行う事がとても大切である。概算後のVE検討も当初のスケジュールに組み込むなど余裕が必要。

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