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サブスクビジネスのノウハウを人材派遣の採用に応用してみる

派遣会社の採用担当の皆様、こんなお悩みありませんか?

「応募は集まっているけど、ほとんど稼働につながっていない・・・」
「せっかくマッチングしたのに、1~2ヶ月で辞めてしまった・・・」
「毎月採用活動してるのに、ほとんどスタッフさんが増えない・・・」
「採用チームと営業チームのコミュニケーションが上手くいかない・・・」

引用:派遣会社さんの採用担当の方の心の声
採用担当の方と営業担当の方の優先順位が一致していないことも多いと伺っています。

そんなお悩みをかかえながら、日々様々なパートナー企業と採用計画を進めているのではないでしょうか?

おそらく、人材派遣の会社さんがわれわれのような求人広告・WEB広告代理店に期待するのはただ一つ、「媒体の効果を出してほしい」ということだと思います。

「かしこまりました!がんばって提案します!」と、代理店の担当は元気良く返事するでしょうが、ここで1つ確認しておかなければいけない事があります。

求人媒体の"効果"とは何か?

派遣会社さんの採用支援を20年近くお任せいただいてきましたが、最近になって会社さんによって方針に大きな違いが出ていると感じます。

昔ながらの、「とにかく応募数集めてくれさえすれば良い」という会社さんもあれば、「売上UPにつなげるところまで一緒に考えてほしい」という会社さんもいらっしゃいます。

前者であれば、求人媒体の効果=応募数、それに関連する応募単価となり、後者であれば、求人媒体の効果=稼働数、稼働単価になるかと思います。

営業部門や代理店さんとの間で、目標の優先順位はすり合っていますか?

上記のような求人媒体A、B、Cがあった時、最も"効果"が良いのはどれでしょうか?

このあたりの判断は結構難しいなと感じます。全社的な方針だけではなく、部門のミッションや担当の方の役職によっても重視する指標が違う可能性もあります。

必ずしも絶対的な正解があるわけではありませんからね。迷いますよね…

迷った時は原理原則に立ち返るのがセオリー。派遣事業の売上を方程式に分解してみましょう。

派遣会社さんの売上UPのためには、稼働人数・単価・稼働期間のUPが必要ですね

「何を今更、当たり前のことを。。。」と思われるかもしれませんが、この方程式を見てちょっと思ったことがあります。

これって"サブスク"サービスに似てませんか?

「え?サブスク?」と思われたかもしれませんが、月額料金を払って契約する、あのサブスクです。ちなみに、私はAmazon prime派です。

サブスクサービスの売上は有料登録者数✕月額料金で、その前に無料登録者数がいますよね

人材派遣会社は、企業が必要とする"労働力"であるスタッフさんを派遣することで一定の料金をいただくビジネスモデル。SaaS=Software as a Serviceという言葉がありますが、いわば人材派遣はStaffing as a ServiceのSaaS企業、人類最古のサブスクビジネスであると言えるのではないでしょうか?

となると、現在サブスクビジネスの界隈で様々な業績指標(いわゆるKPI)がありますので、その知見を人材派遣の求人効果検証に活かせるではないか?ということで、以下の4つの指標をピックアップしてみたわけであります。

「ウチの支店のユニットエコノミクスは~」とか言ってみたくなりませんか?

マーケティングやSaaS事業に携わる方ならおなじみのものですが、改めて4つの指標について確認しておきましょう。

CAC(顧客獲得単価)

人材派遣における"顧客"とはスタッフさんのこと。つまりCACとは新規スタッフ稼働単価

1つめの指標はCAC(顧客獲得単価)です。人材派遣ビジネスにおける"顧客"とは派遣スタッフさんになりますね。ということは、CACとは新規スタッフさんの稼働単価=採用単価とイコールと考えられます。1人のスタッフさんが稼働するために、求人広告費がいくらかかっているかという指標です。

稼働単価・採用単価と言われれば、皆さんイメージしやすいかと思います。

LTV(顧客生涯価値)

LTVとは派遣スタッフさんが入社から退職までに稼いでくれる売上または利益のこと

LTVとはLife Time Value、顧客であるスタッフさんの生涯の価値を指します。派遣事業の売上は、クライアントである派遣先企業でスタッフさんが働いてくれた金額になるわけですから、スタッフさんが満足して長く働いてくれるほど、LTVは上がることになります。

「LTVは稼働後の話なので、求人の効果とは関係ないのでは?」

と感じるかもしれませんが、求人原稿の内容と実際の職場や仕事内容にミスマッチがあると、スタッフさんは希望とは違うお仕事をすることになります。すると、早期の退職につながりますよね。ということで、このLTVも求人の効果と考えても良いのではないでしょうか。

ROAS(広告費用対効果)

広告経由の売上を広告費で割った値がROAS。つまり、掲載した広告費がいくらになったか。

サブスクはもちろん、WEBマーケティングでよく使われる指標がROASです。ひとことで言えば、掛けた求人広告費が最終的にいくらの売上になったか?という投資対効果と考えるとイメージしやすいかと思います。

ここで言う"売上"は、いつ時点のものなのか、色々な考え方ができますが、2つめで計算したLTVを使うと正確な数字が出せそうですね。そうなると、広告費とは、そのスタッフさんたちを採用する時に掛かった費用ということになります。

広告費を投資する立場から見ると大事な指標ですね。計算するのはかなり難しそうですが、基準を決めればなんとか頑張って集計する価値はあるのではないでしょうか。

ここまでくれば、残りは簡単です。

ユニットエコノミクス(顧客あたり採算性)

ひとことで言うと、LTV(顧客生涯価値)をCAC(稼働単価)で割ったものと考えてください

ユニットエコノミクスって・・・顧客あたり採算性なんて日本語で言われてもわかりづらいですよね。すみません。

結論から言うと、LTV(顧客生涯価値)をCAC(稼働単価)で割ったものがユニットエコノミクスです。式の意味を考えると、スタッフさん1人を採用するのに掛かった金額に対して、いくらの売上になっているか?という投資効果を確認できることがわかります。

多くのサブスクビジネスでは、このユニットエコノミクスが最低3以上となるような目標を設定しています。月単位で予算計画を立てているとした場合、採用費用を3ヶ月で回収する、と言われればイメージしやすいかもしれません。なかなか使い勝手のありそうな指標ですよね。

他にも、ARPU(顧客あたり平均収益)とかCCR(顧客解約率)のような指標も考えたのですが、ちょっと求人広告費の"効果"というより営業面の影響の方が大きそうなので割愛させていただきます。

これらの指標をどのように効果改善に活かせば良いか?

ちょっと極端な例ですが、具体的に4つの指標の計算をご紹介した図

まず、実際の例をもとに4つの指標をイメージしてみます。

上の図でご紹介したAさんとBさんは、それぞれ違う媒体から違う案件で稼働しています。それぞれに、広告費や稼働単価が出るかと思います。Bさんの方が稼働単価は高いけれど、その後長く働いてくれたことからLTVやROAS、ユニットエコノミクスはBさんを採用した媒体の方が良い数字になります。

「いやいや、求人の効果を判断するなら稼働までで十分でしょ。」

わたしも最初そう思っていたんですけど、実際計算してもらうと想像とは違う結果になった会社がいくつもありました。

同じ月に同じ案件の募集をして、応募後の対応・稼働後のフォローも同じように行っているにも関わらず、あきらかに特定の求人媒体からのスタッフさんが長く働いてくれているという傾向があったのです。(驚きですよね)

特定の媒体のアピールをしたいわけではないですし、会社ごとにおそらく集計結果も変わるでしょうから、ここでは具体的な媒体名は伏せさせてもらいますけど。。

また、媒体ごとだけではなく、拠点ごと、派遣先ごと、案件ごと、求人代理店ごと、などなど様々な切り口で出してみると、新しい発見があるかもしれません。実際、これらの指標を評価制度と結びつけようと試みている派遣会社さんもあったりします。

なんだか色々な活用方法がイメージできそうですね。

派遣事業の採用に新しい視点を追加してみる

ここまで色々と書いてきましたけど、正直まだまだ応募数や応募単価を指標に求人募集を行う派遣会社さんは多いです。

それ自体は全然問題はありません。しかし、今後少子高齢化を迎えるなか、大量の登録者を集めて採用・稼働していくという今までの採用モデルは徐々に厳しくなりつつあります。

サブスクのビジネスモデルを参考にしてLTV、ROAS、ユニットエコノミクスなど新しい視点から採用を見直し、事業の拡大に貢献する媒体の効果検証、そして社内の体制などを見直してみませんか?(必要であればお手伝いでします。)

最後におまけとして「THE MODEL」という本を参考に、人材派遣事業の主要な指標と役割分担をまとめたスライドを置いておきます。

THE MODELの"あの図"を、人材派遣の選考プロセスに当てはめてみるとこんなイメージ

こんなイメージを持って取り組んでいただくと、考えやすいのではと思います。人材派遣を営む皆様の採用と事業が(そして当社への発注量が)、今以上に成長していくことを楽しみにしています。


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