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第2の『新感染』!?NETFLIXの韓国ゾンビ映画『#生きている』感想・レビュー

『#生きている』ってどんな映画?

今年9月8日からNetflixで配信された韓国産ゾンビ映画の最新作

『#生きている』

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韓国では今年の6月24日から映画館で封切られると、新型コロナウイルスの感染が広がった2月以降初めて観客数100万人を突破する大ヒットを記録。
Netflixでも配信2日目でグローバル・ムービーチャートの1位となるなど、世界でもヒットを記録してるんだってさ(ニュースサイトより)

最近『パラサイト』をはじめ、世界的に韓国映画の存在感が増している中、
特に盛り上がりを見せている(と個人的に思ってる)のが、そう!

ゾンビジャンル!!

マ・ドンソク兄貴を一躍スターダムに押し上げた『新感染』や、まさかの歴史物とゾンビを掛け合わせた『キングダム』など、ジャンルを広げる斬新な設定とハイテンポな演出、それでいてウェルメイドなストーリーを特徴とする作品が流星のごとく現れては、全世界を驚かせているんです!

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▲このマ・ドンソクが最高にカッコいいんですね〜( ˊ̱˂˃ˋ̱ )ホレボレ

そんな韓国産ゾンビ映画の最新作ということで
かなりの期待を胸にwktk、本作を鑑賞しました!

結果は……ウーン

ちょっ〜と展開粗目なところもあり、期待し過ぎてしまったけれど、全体的には十分満足の行く1本、という感じdeth!!

ガチなひきこもり系ゾンビ映画

今作のユニークな要素といえば、”ガチのひきこもり系ゾンビ映画”というところ(ガチってなんぞやw)

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先に簡単なあらすじを紹介すると、

ある朝、主人公・ジュヌが目を覚まし、いつものように学校をサボって
オンラインゲームに勤しもうとすると、周囲の異変に気づく。
団地の中庭を覗いてみると、
なんと大量のゾンビたちが団地の住人を襲い始めているではないか。
怖くなったジュヌは、そのまま部屋に閉じこもり、家族の帰りを待つことにする。
しかし、一向に家族は帰ってこない。
1週間、2週間と経つにつれ、水や食料が足りなくなり、電波も届かず誰にも助けの連絡が取れない。
極限状態の中、絶望に追い込まれたジュヌの前に、別の生存者ユビンが現れるー。

と、ここまでが中盤までの展開なんですが、
すでにお分かりのように、”引きこもりの主人公”という設定に合わせて、
物語は基本、彼が住む部屋だけを中心に進行していきます。

近年のドラマ『ウォーキング・デッド』や『バイオハザード』シリーズのように、世界を横断するような、大規模なスケールのゾンビ作品とは真逆な感じですが、
ジャンルの原点であるジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』が、閉鎖されたショッピングモールを舞台にしていたことを考えると、原点回帰的な作品とも言えるかも。

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▲これを見てないゾンビ映画ファンは、フェイクなんだなぁ


ただし初代『ゾンビ』では、ショッピングモールで他人同士が共同生活を送る、集団の引きこもりだったのに対して、この映画では、部屋で主人公1人がひたすら孤独に閉じこもる、孤独の引きこもり(決して孤独のグルメではない)の様子が描かれます。

このあたり、リアルなコミュニティを避け、ひたすらSNSやネットに生きる、現代の若者像が反映されているのかな〜なんて感じたり

あとは舞台を「団地」に設定したのも、ゾンビジャンルとしては新鮮だと思ったし、
『吠える犬は噛まない』『目撃者』など、個人的に好きな韓国映画に「団地」がよく出てくるので、嬉しい限り( ^∀^)ニッコリ

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▲いまやアカデミー監督のポン・ジュノ作『吠える犬は噛まない』でも、いい感じの団地が出てきましたねぇ…

ユ・アインの演技力


ただこう書くと、ゾンビものに期待するサバイバルアクションというより、前衛的な舞台劇ぽくって、「オイオイ、それ、エンタメとして退屈なのでは…?」と懸念される方が出てきているハズ…

現に、前半はほぼジュヌの一人芝居が続く展開だし。

そんな方は、安心して。
ジュヌを演じるユ・アインの演技力が素晴らしいんです!

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『ベテラン』ではホントにホント〜にどうしようもなく、強烈な憎々しい悪役を、『ザ・バーニング 劇場版』では不条理な状況に巻き込まれつつ、感情を表に出さない繊細な青年役を演じ、その幅広い演技力で世の映画ファンを魅了してきた彼ですが、
今作では、徹底して”普通”の、今どき青年を演じています。

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▲『ベテラン』でアインが演じたチョ・テオは、まじめに映画史上でもベスト級に最低(最高)な悪役なんです!

普通の青年が、突然自宅の周りを、人を喰い殺すゾンビに囲まれてしまったら…
果たして映画の主人公のように、バッドを握りしめて、勇敢に隣人を助けに行くのか?

否!

困惑の末、怖くて怖くて堪らずに、ロックしたドアに家具を積み上げ、ただひたすら怯えながら引きこもるハズ。少なくとも僕はそう(`・ω・´)ビシッ!
そんなアインの演技がとてもリアルで、自然と感情移入してしまいます。

その後、部屋での1人サバイバルという、ダニー・ボイル監督の『127時間』を連想させる展開になっていきますが、そのサバイバルな過程がなかなかフレッシュで面白いんです。

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▲おしっこを飲む&〇〇を切るとこしか覚えてないよ『127時間』

例えば、
TVからラーメンのCMが流れて、1つだけ残っていたカップラーメンを思わず食べてしまうというシーンや、
水道が止まり、飲み物が父親のウィスキーしか無くなったため、暗い気持ちで仕方なく呑み始めたら、案の定出来上がり、酔ったその勢いでラップを聴きながら踊り狂って、無理やり気持ちを上げてくシーンなど、
1人で部屋に閉じこもっている状況ならではの小ネタが、なかなか親近感が湧きつつ、今まであまり見たことない感じで、良い塩梅でした。

パク・シネのビジュアル力


そうしたアインの演技力や、身近な小ネタの数々により、
すっかり感情移入した状態で中盤を迎え、極限のサバイバルの中、ジュヌがいよいよ絶望の淵に追い込まれてしまった時、満を持して登場するのがパク・シネ演じるユビン。

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▲こりゃ、引きこもりには反則でしょ…ʅ(◞‿◟)ʃ

希望のないディストピアな世界の中で、唐突に現れる彼女の、
そのあまりにフィクショナルで美しいビジュアルは、死のうとしていたジュヌが生きる希望を取り戻すには、十二分な説得力があるぞ…と心の底から頷きました(T ^ T)ワカル

基本的にこの2人がメインのキャラクターになるんですが、
ユビンがジュヌとは正反対のタイプなのも、コンビとして面白いんです。

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ジュヌがゲームオタクの引きこもりなのに対し、
ユビンは登山やアウトドアが趣味で、サバイバル能力が高い系女子
イコライザーのマッコールさんばりに、椅子と包丁を組み合わせた自作の魔改造ブービートラップをドアに仕掛けるなど、完全にこの世界に適応できちゃってます(いや、ヤバない?)。
ただし、貴重な水を使って植物を育てるとか、心の優しさも持ち合わせているという死角のなさ。

このあたりの情報を、必要最低限のショットや、ジャージャー麺の食べ方などで描いていく演出は上手いな〜と感じました。


飽きさせないテンポ感


演出という点でいうと、前半のパンデミックの描き方に無駄がなく、とってもテンポが良いんですね。

そもそもゾンビものの面白さの1つに、日常が徐々に非日常へ侵食されていく描写があるじゃないですか。

『アイアムアヒーロー』の素晴らしいワンショットシーンや、『ショーン・オブ・ザ・デッド』のコンビニへ買い物に行く2つの間違い探しシーンとかとか。

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▲『アイアムアヒーロー』のバランス感が、かなり近いと思ったりして


ただ今作では、冒頭3分も経たずにゾンビパンデミックが起き、日常が崩壊します(さすがに早すぎて笑いました)

普段の描写が全くないまま、いきなり非日常へ変化するために、ギャップ感や人物への感情移入度がどうしても薄くなっちゃってますが、
自分のように、ゾンビものを見慣れた人からすると、決まり切った定型をすっ飛ばし、本題の部分から始まってくれるので、なんともありがたいと思えたりして。

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▲主人公も驚いちゃうほど、速攻で来ます。奴らがw

その後も、適度なタイミングで共感ポイントや多様な種類のハプニングを折り込み続け、起伏を作りつつ、物語を引っ張って行く、チョ・イルヒョン監督のエンタメな演出力は、この人ホントに新人!?と疑いたくなるほどでした。

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▲写真右のイケおじがチョ・イルヒョンさん


経歴を調べてみると、アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI、American Film Institute)出身で、アメリカでも活動していらしたと。また原作も、ハリウッドで活躍しているシナリオ脚本家マット・ネイラーのものということで、なるほど、韓国映画というより、どっちかというとハリウッド映画な印象を受けたのはそういうことか!

散見されるご都合主義


はい、とまぁ、ここまでは褒めポイントを挙げてきましたが、
残念なポイントもいくつかございました…。

それが、設定や展開のいくつかがご都合主義に感じられたこと。

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▲今作のゾンビさんは、かなりエネルギッシュな”走る系ゾンビ”

例えば、ゾンビの設定ですが、
基本的に視覚よりも聴覚が優れているらしく、音に敏感に反応して集まってくるという性質上、主人公たちは声や物音を出さずに生活しなければならない、という描写がある。しかし中盤以降、ある程度声や物音を出しても、ゾンビが襲ってこないシーンが所々見られ、設定のバラつきを感じてしまいました。

また、主人公たちがゾンビに囲まれてピンチのシーン
例えば、ユビンの中庭での格闘シーンや、終盤の屋上に続く非常階段での攻防シーンなど、明らかに有利な状態のゾンビたちが、手加減して主人公たちを逃しているように見えてしまい、どうにもリアルにハラハラができなかったのが残念でした…(゚ω゚)シュン

ネタバレしないようにしつつも
最後の最後、〇〇が登場するシーンも、今どき
音もなくそんなタイミングで現れるか!?と
手垢のついた記号的な展開に、ちょっと冷笑すらしてしまいまして。

こういった部分は、
逆に、制作陣のハリウッド的バックボーンの悪い部分
出てしまっているのかもしれないなぁと。

まとめ


改めて振り返りですが、
『新感染』といったA級作品と比べると、B級洋画的なリアリティの薄い描写が散見されるものの、全体的にはエンタメとドラマのバランスが取れ、かつ適度にフレッシュな要素も追加されたゾンビ映画の良作だと思いました!

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あと、忘れるところだった…!

フレッシュでいうと、
今作の”テクノロジーが人をつなぐ”というテーマも
ゾンビジャンルで描かれると新鮮に感じたところ。

今どきの、ネットリテラシーがある青年が主人公だからこそ、
非常事態に陥った時、YouTubeやSNSで動画や写真を投稿して情報を共有したり、ドローンを使って食べ物を渡したり、ゾンビから守ったり、スマホの絵文字で誰かを元気つけたりと、
ネットやデバイスが、人と人をつなぐ役割を果しうるものだと自然に描かれていて、ありがちな”ネットが人との関係を希薄化する”という定説に囚われていないのがすごく良かったです。

ということで、
韓国ゾンビ映画が好きな方は、絶対的に見て損はない映画だと思いますよ〜!

オススメ!!


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