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ふしきの 〜和酒会席、日本酒と料理の店〜

先日

ミシュランの一つ星レストランであり、日本酒と料理のペアリングで有名な

「ふしきの」

という神楽坂にある日本料理屋さんに行きました。

僕自身もこの「酒と料理」を売る仕事をしているのでずっと行きたかったのですが、なかなかタイミングが合わず来れていませんでした。

ですが、待った甲斐があったと言わんばかりの経験が出来ました。

僕なりにまとめてみたので、良かったらお楽しみ下さい。

入口

神楽坂の駅を出て5、6分場所にあるこの「ふしきの」。

小さな通りをさらに一本奥へ行った、かなり静かな場所の建物の2階にあります。

一応、看板はありましたが(撮り忘れた)

入口もこのような感じで、まるで普通のマンションの一室のようでした。

中に入ると、木の香りのする静かな店内。

一個数万円もするお猪口がギャラリーのように売られていました。

おそらく、気に入った方が買って行くようにでしょう。

右には個室があり、左にカウンターが広がっていたので僕は左に進みました。

調理道具などはほとんどなく、木のカウンターが広がり、目の前には綺麗にされたテーブルセットのみがありました。

店内の様子を写メ出来るほど度胸のない僕は目の前ののセットだけ写真を撮りました。

おしぼりの置き方が綺麗。

店主に「ビール要りますか?」

と聞かれたものの、日本酒をしこたま飲みたかった僕は一言断りをいれ、最初から日本酒をいただきました。

最初の一本はこちら

田光 純米吟醸 赤磐雄町

香りはマスカット系。

よく冷えていて、旨味はそこまで強くなく、スッキリしています。酸が良い感じで立っていて、キレが良いのですが、口の中に入れる事で香りが立つので、よくあるスッキリした日本酒と比べると余韻は長めです。

日本酒としては有名な「作」と同じ米どころの鈴鹿にあるのですが、家族経営でやっているために出荷量が少ないのが難点です。

今年はもう手に入らないとか。

来年また飲めるのを期待したいです。

そして、ペアリングディナーなのでもちろんお料理も出ます。

カマスの焼き霜と蕪と菊花の酢漬け

カマスは臭み抜きの塩を当てているくらいで、味は強くなく焼き霜の炭の香りが心地良かったです。
梅酢は鰹節の香りもあり、甘さは控えめ。菊花と蕪の甘酢漬けの方には柚子が振っていて、とにかく香りが良い最初の一品。

梅酢の物と合わせる事で酸がやわらぎ、お酒の米の味が出てくるイメージです。

温度が少し上がっているという事もあり、スッキリだと思っていた田光の印象が少し変わりました。

これがペアリングか、と。

次に行きます。

こちらは加賀ノ月 山廃 純米吟醸

純米酒の3年、5年、7年の熟成酒を合わせたものでタンクで寝かせていとの事。

常温で出てきて、蜂蜜のような香りが印象的でした。
まろやかな口当たりで旨味がしっかりとしていて甘味があり、深い。余韻も長く、心地良くなれるお酒。

味の濃さを段々と上げていくワインと違い、最後の方に重いのがくると飲むのがしんどくなってしまうという考えからちょっと重めの日本酒を序盤から入れているそうです。

確かに、終盤に重めの日本酒はキツイですね。

このお酒と合わせた料理はこちら。

子持ち鮎の甘辛煮と銀杏の揚げ物

よくある甘辛煮よりは塩がやや強めの味付け。子持ち鮎の持つ魚卵の旨味の複雑さと山廃の複雑さがマッチしている。

やや塩っぽい味付けとやや甘めの日本酒とが合わさり、良いバランスになってます。

次です。

栗駒山 特別純米酒

梅のような穏やかな香り。ぬる燗で出てきました。

酸はビリビリと立っているが、スッキリしているお酒という印象。

このすっきり感、するっと感は宮城のお酒の特徴のようです。

そう言えば、乾坤一や日高見、伯楽星など、食事と合わせる事の多い県ですね、宮城って。

合わせたのはこちら

少し年季の感じられる椀に入った温物。

甘鯛の潮汁です。

丹波しめじと蕪が添えられてました。

甘鯛の骨で出汁をとった汁でかなり繊細な味付けです。

甘鯛の臭みみたいなものは全く感じず、蕪もしめじも味自体は薄めで、その分甘鯛の味と塩分を存分に楽しめる一品でした。

出汁って温かいほどに味を感じられる食べ物で、ひと口目よりも、舌の温まった二口目の方が美味しいのが通説です。

そこで、この椀の中にない酸味があり、かつ味の綺麗な日本酒を舌の冷えないぬる燗で提供していただきました。

合う、そして落ち着く組み合わせ。

お椀が来たので、次は刺身です。

そのお刺身と合わせるために出てきたのが

竹雀 純米酒 常温 山田錦30% 五百万石70%

こちらは常温でした。

香りは米の甘い香りです。

飲み口は水のようで、日本酒度がプラス13度と糖分はかなりなさげ。旨味は弱く、スッキリしている。

ただ、喉を通り時にピリッとした感覚があるので、スルスル飲めると言うわけではないです。

五百万石がベースになっている理由がわかるようなお酒です。

これに合わせるお料理はこちらでした。

1週間熟成のクエ

土佐酢をかけた一品。かなりコリコリしていて、噛めば噛むほど甘味が出てきます。

魚臭さは全くなく、土佐酢の酸味がバランスをとってくれる印象です。

もみじおろしのピリッとした辛味と竹雀のピリッとした後味が同調して良い感じです。

この1週間熟成のクエのために、全量五百万石なのではなく、30%の山田錦を混ぜたのかなと思う一品でした。

ついでですが、小宇宙のような器でした。

伝え忘れいましたが、全てのお酒に対して、違うお猪口が用意されていました。

最初の一杯の分は撮り忘れてます。

コースはこれで半分ですが、長くなってしまったので一度切ります。

後編も見ていただけたら幸いです。

では^ ^


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