「ロストケア」を観て
月並みな言葉になりますが介護の現実とこれからについて深く考えさせられました。
映画では、訪問介護士として働く斯波宗典が、老人たちを殺害したとして検事の大友秀美に追及されるというストーリーが展開されます。
斯波は、老人たちに安らかな死を与えたと主張し、大友はそれを犯罪として断罪しようとします。
私は斯波の行動には共感できませんでしたが、彼が抱える苦悩や思いには一定の理解を示すことができました。
彼は自分の仕事に誇りを持ち、老人たちの幸せを願っていましたが、現実は彼の理想とはかけ離れていました。
聖書の言葉をとても大切にしている中で、彼なりの解釈が行動をよりすすめるきっかけになったのは明らかです。
彼は老人たちの苦しみや孤独を目の当たりにし、自分にできることは何なのかと悩みました。彼は自分なりの答えを出し、行動に移しましたが、それは社会的に許されることではありませんでした。
一方、大友は正義感の強い検事として立派な役割を果たしていますが、彼女の判断が本当に正しいのかどうかは確信できませんでした。
彼女は法律や倫理に基づいて斯波を裁こうとしますが、彼の言葉や行動に心を揺さぶられます。
彼女は老人介護の現場や問題について知らなかったことに気づき、自分の立場や価値観に疑問を持ち始めます。
見えるものとみえないもの
ではなく、
見たいものと見たくないもの
と表現していた部分です。
彼女は最後まで自分の信念を貫きますが、それが正解なのかどうかは観る者に委ねられます。
映画は、介護の問題を多角的に描き出し、観る者に自分ならどうするかという問いかけを残します。
私はこの映画を通して、自分の周りの環境や世の中の仕組みに目を向けることの大切さを感じました。
そしてその周りの環境や世の中の仕組みがこういった「お見送り」「しあわせを与えた」と他人事で終わらせてはいけないとより強く思いました。
「死んだほうがマシ」という言葉を目にしたり耳にしたりします。
本当にそうなのでしょうか?
介護をする人もされる人も苦しくて絆という呪縛に陥ってる人は現実の世界でもたくさん居ると思います。
死んだことがないので、死んだら楽になるなんて、言い切れないしわからないです。
だからといって「生きてるだけで丸儲け」という言葉を信じるだけでも良くないと思います。考え方としては共感できる部分もあります。
そうは言っても世の中の仕組みや環境を変えられないし、介護は負担だと嘆くだけで終わらせてはいけないと思います。
ただひとつだけ言える事は
「他人事」と思わない事だと思います。
「じぶんごと」と考えることから、見えてくるものは増えていくと思います。
答えは人それぞれです。正しいか間違っているかというこの映画で起こった出来事に対して裁いたり判断する事ではないと思います。
生きているからこそ、喜びや楽しみばかりが多くあるに越したことはないですが、苦しみや悲しみもあるから人間だと思います。
一日にひとつでも、ありがとうを伝えたり聞くだけで、辛いこともしんどい事も含めて、明日が楽しみになる今日と想像を超える創造が積み重なっていくと思います。
大切な人はもちろん、自分も他人も一日でも一秒でも長く生きてもらうために、自分の出来ることを積み重ねていきたいです。
オープンでフリーのノートとマガジンです。